公開日 2024/08/13 06:45

ピュアにこだわり続けたサウンドバーの集大成。デノン「DHT-S218」のスゴさをVGP審査員3名が語る

VGP 2024 Summer金賞/テレビシアター大賞の理由とは?
鴻池賢三/岩井 喬/野村ケンジ
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パッシブスピーカーと同じ発想で行った筐体設計

筆者:VGP審査員 岩井喬


DHT-S218は2世代前のDHT-S216から基本的なスピーカー設計、筐体構造を変えず、サウンドの質を高めてきたことが大きな特長です。このS200シリーズはスリムな筐体に2.2ch構成・3ウェイ6スピーカーを収めており、左右両端に25mmトゥイーター、その内側に45mm×90mmミッドレンジを配置。

設置性の高さとリーズナブルさを追求する中でサブウーファーも内蔵した一体型であることにもこだわり、底面に向けて2発の75mmサブウーファーを配しています。マルチウェイによって広帯域再生を可能とし、より自然でダイナミックなサウンドを実現。ピュアなHi-Fi音楽再生も楽しめるよう設計されています。

S200シリーズの源流は2019年発売の「DHT-S216」で、その後「DHT-S217」と進化を続けています。デノンの本懐ともいえる音質にこだわり、アコースティック設計やオーディオ信号をダイレクトに鮮度よく伝送する「Pureモード」を実装したことが大きな特長です

またサウンドバーとして重要なサイズの制限、薄型であることを踏襲しつつ、剛性を高めながら定在波対策も施し、できるだけパッシブスピーカーに近い設計を貫くという難題を克服していることも注目点です。

アコースティックな要素だけでなく、Hi-Fiモデル由来のアンプ設計や上級機譲りの強力な電源部、さらにDSPの活用も必須です。前モデルDHT-S217からはイマーシブサウンドの「Dolby Atmos」にも対応を果たしたほか、映画でのセリフ再生を担うセンターchへの割り当てなど、サラウンド信号のデコードにもこのDSPは活躍しています。電子的な追い込みに加え、装いを変えるべく変更されたネットの開口率向上などによって、より開放的でヌケのよい、広がりある空間表現も獲得しました。

一体型だからこそサウンドは高域から低域まで、違和感ない自然な定位を実現しつつ、薄型でも十分な低音の量感が得られます。ボーカルやギターの音離れのよさ、中域成分のくっきりとした見通しのよさも魅力のひとつ。サウンドバーでも躍動感あふれる音楽再生を楽しめます。確かな筐体設計との相互作用により、サイズを超えた本格的なサウンドを実現しているのです。

ここがポイント

筐体内部はパーツがギッシリ。音をよくするための工夫が満載


サウンドバーは設置場所が限定されるため、筐体サイズの制約がありますが、DHT-S218は高域を担当するトゥイーターを2基、中域を担うミッドレンジを2基、そして重低音域を支えるサブウーファーを2基搭載と3ウェイ・6スピーカー構成を奢ります。筐体設計には、パッシブスピーカーと同様に内部定在波の対策にもこだわるなど、設計に妥協はありません。高級パッシブスピーカーと同様、基本に忠実にいい音を追求しています。

底面に搭載したサブウーファー


重低音らしい量感はもちろん、解像度の高い良質な低域を獲得するために、側面にバスレフポートを備えるほか、底面にはサブウーファーを2基搭載しています。ゴム足でテレビボードと隙間をつくることで重低音が回り込むように工夫されています。

クロスの変更は音にも影響あり


見た目の変化は少ないですが、前モデル「DHT-S217」(写真上側)からサランネットが刷新されています。よりマッシブなデザインになるようにしたのと、赤外線リモコンの透過性を高めようとしたのが目的でしたが、結果として音質にもプラスに働いたそうです。


次ページVGP審査員 野村ケンジ氏コメント

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