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Nothing初のワイヤレスヘッドホン「Headphone (1)」。KEFとサウンドを共同開発

Nothingは、同ブランド初のワイヤレスヘッドホン「Headphone (1)」を8月28日に発売する。ホワイトとブラックの2色をラインナップし、価格は39,800円(税込)。直販サイト「Nothing.tech」やAmazonなどでの販売で、8月20日から予約受付を開始した。
サウンドはKEFと共同設計
ブランド初のヘッドホンで、リアルタイムアダプティブノイズキャンセリング機能や空間オーディオ機能、マルチポイント接続などにも対応。7月に海外発表されていたモデルの日本市場投入が明らかになった格好だ。

音質面はNothingと同じ英国のオーディオブランドであるKEFと共同で設計。KEFの専用リスニングルームでチューニングするなどノウハウを活用することで、アーティストが意図したままの音を再現するサウンドプロファイルを作成したという。
なお、KEFの専用リスニングルームでのチューニングはノイズキャンセリング、外音取り込みモード、空間オーディオといった各機能使用時などさまざまなシチュエーションで繰り返し行ったとのこと。これによって、どんな環境の中でもバランスのとれた正確なサウンドを届けられるようにしたとアピールしている。

Nothing Japanでマネージングディレクターを務める黒住吉郎氏によれば、もちろん音質は以前から追求しているものの、「ハイファイサウンドに対する経験が少ないので謙虚にならないといけない」と考え、今回、KEFとの共同設計という道を選択したとのこと。
ただし、「単純にエンジンを借りたり最後のチューニングだけやってもらったということではない」と言葉を添え、共同でしっかりと設計をつくりこんだと説明した。
40mmカスタムダイナミックドライバーを搭載。ポリウレタンを使ったサスペンションシステムを採用し、精密なダンピングシステムによって歪を最小限に抑えるという。
ドライバーの振動板には高剛性ニッケル被膜を使用。これによって高音の明瞭さと低音の力強さを高め、大音量でも安定したクリーンなサウンドを出力すると同社は説明している。
Bluetoothはバージョン5.3で、コーデックはSBCとAACに加えてLDACにも対応。ハイレゾオーディオおよびハイレゾオーディオワイヤレスロゴの認証も取得している。有線接続にも対応し、3.5mmステレオミニケーブルやUSB Type-Cケーブルなどが付属する。

通常のステレオ音源を空間オーディオに拡張する機能や、ユーザーの動きに合わせてサウンドステージを調整するヘッドトラッキング機能も搭載。そのほか、自動で低音域に深みを与えるというアダプティブ低音強調機能も備えている。
ノイキャンは周囲の環境をリアルタイムで判断して自動調整
ノイズキャンセリング機能は、フィードフォワードマイクとフィードバックマイク各2基ずつの合計4基のマイクを組み合わせて使用。0.6秒ごとにリアルタイムでユーザーの周囲の状況をチェックし、ノイズキャンセリングのレベルを調整する。
前述のとおり外音取り込みモードも装備。同機能を使用することで、音楽を止めずにヘッドホンの外の音を聞くこともできる。
ペアリングしたスマートフォンでの通話時用に、AIを活用するクリアボイステクノロジーを搭載。2,800万件以上の騒音パターンを学習させることで、周囲のノイズを抑えながら、ユーザーの声を分離してクリアな通話を行えるようにするとのこと。
シースルーデザインを採用。装着性や耐久性にも配慮
Nothing製品の大きな特徴であるシースルーデザインを本機も継承。音響パーツや内部コンポーネントをシースルーで確認できる。

構造を支える主要なパーツにはアルミニウムを採用することで、軽さと強度の両立を図った。そして、柔軟なプラスチックのパーツを配置して総合的なデザインを行っている。
すべての曲線、ライン、素材に目的を持たせるために、数え切れないデザイン検討を重ねたと同社は説明。例えばハウジングに配置された2つの円形部は、チャンバーを2つ設けていることを表現しているとのこと。
人間工学をもとにした設計によって装着感にも配慮。精密に調整されたイヤーカップの深さと調節可能なヘッドバンドが圧力を均等に分散し、どんな頭の形にもフィットし、頭や耳にかかる圧力を最小限にするようデザインしたとアピールしている。
耐久性についても配慮しており、ヘッドバンドの伸張、落下衝撃、汗、ねじれ、温度耐性といった50を超える項目でテストを実施。あらゆる使用シーンで常に同じ信頼性を持てるように、すべてのパーツの強度を検証しながら、注意深く設計したとしている。
あえての物理ボタン操作。3種類のボタンを装備
各種操作はタッチ式ではなく、物理ボタンをあえて採用。右側のハウジングに「ローラー」「パドル」「ボタン」という3つの物理キーを装備している。これによって、タッチインターフェースにありがちな誤操作を防いだり、目的の操作のためには何回タッチすればよいのかを覚えるストレスの軽減などを図った。
「ローラー」は、PCマウスのクリックホイールのようにくるくると回転させると音量を調節できるというもの。また、クリック(押し込み)で音楽の再生/停止、長押しでノイズキャンセリングと外音取り込みモードの切り替えが行える。
「パドル」は、上記「ローラー」と並んで配置されているキー。左右に倒すことで楽曲のスキップや、ポッドキャストのエピソードのジャンプが行えるほか、倒しっぱなし(長押し)にすると早送り/早戻しができる。
「ボタン」はその名の通り一般的なボタンで、デフォルトの状態ではクリックでスマートフォンのスマートアシスタント機能が起動。スマホアプリ「Nothing X」で割当を変更可能で、Spotifyを開いたり、最新ニュースをチェックしたり、ChatGPTを起動したりといった使い方もできる。

なお、同時発表のフラグシップスマートフォン「Phone(3)」と本機をペアリングした場合は、「ボタン」を押すことで「ChannelHop」機能を利用可能。同機能では最近使用したオーディオアプリやお気に入りアプリを切り替えられる。
ChannelHop機能は本機以外のNothing製スマホにも順次展開予定。ただしアプリやサービスによって、一部機能へのアクセスが限定される場合があるという。
バッテリー性能は、ノイズキャンセリング機能オン時に最大35時間、オフ時に最大80時間の音楽再生が可能。5分間の充電で最大5時間再生が可能な急速充電にも対応している。
再生周波数帯域は20Hz - 40kHzで本体質量は392g。前述のUSBケーブルなどのほかキャリングケースも付属する。
スマホアプリ「Nothing X」で音や操作をカスタマイズ可能
スマホアプリ「Nothing X」では、上述した「ボタン」のキーアサイン変更のほか、イコライザーによるサウンドカスマイズなど様々な機能が利用可能。カスタマイズしたサウンドプロファイルを他の人やコミュニティとシェアしたりといったこともできる。

Phone (3)と本機との組み合わせ時には、Nothing Xアプリから「Essential Space」機能を利用可能。ヘッドホンの「ボタン」を長押しするとボイスメモを録音でき、Essential Spaceがその内容を判断して自動で整理してくれるという。


なお、Essential Spaceは「Phone (3a)」にも搭載されているが、Headphone (1)で同機能を使えるのは(型番末尾に「a」がつかない)Phone (3)との組み合わせ時のみ。今後は他のNothing製スマホとのペアリングでもEssential Spaceを使えるようにしていくとしている。
本日Nothing Japanが開催した製品発表会では、上述の特徴とともにHeadphone(1)に込められたこだわりについて黒住氏が説明。
近年のヘッドホンはどのブランドも似通ったデザインになりつつあると分析し、それに対してNothingの手掛ける初のヘッドホンは「音楽を聴くだけではなくて、着けている時も、何だったら操作している時でさえも『これいいな、これ使いやすいな』と、そんなことを感じさせるパーソナルなヘッドホン」に仕上がったと自信を見せた。































