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『モスラ』『地球防衛軍』『空の大怪獣ラドン』『妖星ゴラス』『海底軍艦』の5作品

東宝SF特撮の金字塔が4Kで蘇る。『モスラ』『ラドン』『地球防衛軍』など計5作のUHD BDを徹底解剖!

公開日 2026/10/02 18:30 伊尾喜大祐
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『妖星ゴラス』1962年

『妖星ゴラス』発売・販売元:東宝
4Kリマスター 4K Ultra HD Blu-ray:税込7,150円(税抜6,500円)
4Kリマスター Blu-ray:税込6,050円(税抜5,500円)
(C)1962 TOHO CO., LTD.

シネスコ画面いっぱいのミニチュアは必見! 4ch音声はDolby Atmosアップミックスでも絶大なサラウンド効果

開巻早々、宇宙船隼号が禍々しく燃える怪星に飲み込まれる、シネスコ画面フル活用の絶望的なスペクタクルが展開する『妖星ゴラス』。

4Kリマスターでミニチュア特撮の精緻なディテールが徹底的に掘り起こされた本作は、大画面再生で迫る圧倒的なパノラマ感が大きな魅力となった。特にCH14の南極ロケット建設シーンでは、氷の海を割って進む輸送船団、行き交う無数のヘリや雪上車、資材を引き揚げるクレーンが点在する建設風景に息を呑む。

そしてCH19ロケットの一斉噴射シーンでは、画面を覆う炎と音場を揺るがす轟音が圧巻だ。CH22鳳号や宇宙ステーションの出発シーンでは、姿勢制御ロケット噴射の合成と操演が見事にシンクロする。

※本編はカラー
(C)1962 TOHO CO., LTD.

CH25の天変地異では、水没する有楽町・勝鬨橋の作り込みの緻密さに加え、押し寄せる水流と稲妻の閃光の表情までも克明に描き出される。映像は暖色寄りだが、白のピークはすっきり伸び、日本人のスキントーンも見事に再現されている。CH20元旦の場面では着物やおせち料理の色調が改善され、新年のめでたさも増した感がある(笑)。

音声面では、新収録のパースペクタ3chは4chステレオの多元磁気立体音響に一歩譲るが、その4chステレオはDolby Atmosへのアップミックス再生でも絶大なサラウンド効果を発揮する。CH23怪獣マグマ戦では、VTOL機の飛翔音とビームの発射音がフロントからサラウンドへ綺麗に抜ける。石井歓のスコアも聴きどころで、スペクタクル大作としての説得力も満点だ。

※本編はカラー
(C)1962 TOHO CO., LTD.

 

『妖星ゴラス』画質/音質傾向(※音声は4ch多元磁気立体音響でチェック)

『妖星ゴラス』SPEC

●製作:1962年 ●監督:本田猪四郎(本編)、円谷英二(特撮)●出演:池部良、白川由美ほか ●本編ディスク:88分、スコープ、4K SDR(BT.2020) ●本編音声:�@日本語モノラル(オリジナル)リニアPCM/�A日本語パースペクタ3ch リニアPCM/�B 日本語4chステレオ(オリジナル)リニアPCM/�CBGM DTS-HD Master Audio/�Dオーディオコメンタリー(ゲスト:梶田興治) DTS-HD Master Audio ●映像特典/63分:予告編/妖星ゴラス ピクトリアルスケッチ/東京サマーランド サイコラマ館「地球大爆発」/『妖星ゴラス』ラッシュフィルム/中野昭慶『妖星ゴラス』を語る/スチールギャラリー

『海底軍艦』1963年

『海底軍艦』発売・販売元:東宝
4Kリマスター 4K Ultra HD Blu-ray:税込7,150円(税抜6,500円)
4Kリマスター Blu-ray:税込6,050円(税抜5,500円)
(C)1963 TOHO CO., LTD.

円谷特撮の妙が細部まで味わえる高精細映像。モノラル音声の音質も確かに向上した

レンズの違いか、それともフィルム起因か? この4Kリマスター映像は、前年公開の『妖星ゴラス』よりも精細感がぐっと向上している。

海底軍艦・轟天号のドックやムウ帝国の古代文字や都市建築など、これまで見えなかった細部まで克明になった。色彩も旧盤より白ピークが伸び鮮やかさが際立っている。これは特に人物の衣装、とりわけムウ帝国の装束に顕著で、女王の赤髪も鮮烈だ。

見どころはやはりCH12〜13轟天号の発進シーンだ。無数のクレーンが立体的に配置されたドックの緻密さ、注水シーケンスで水位が上昇する様を水面スレスレに捉えた構図、そして伊福部マーチとともに水中から空へと浮上する瞬間まで、円谷特撮の妙が細部まで見えることに感動すら覚える。

(C)1963 TOHO CO., LTD.

CH19破壊された地下ドックから出撃する海底軍艦がドリルでシャッターを突き破るカットでは、先端に走る赤い火花まではっきりと見て取れる。CH20の丸の内陥没は都市崩落がド迫力で、東京湾では船舶の炎上が鮮やかだ。CH24の挺身隊突入シーンは、手の込んだ作画合成を多用した構図が非常にダイナミック!

音質も向上しており、オリジナルのモノラル音声はセリフと音楽の抜けがよくなっている。 4ch多元磁気立体音響やパースペクタ3chこそないが、DVDリリース時にリミックスされた5.1chも、包囲感と迫力で聴かせる。そして最後に小ネタだが、CH6には一瞬、『宇宙大戦争』の流用カットがインサートされる。本編に先がけての4K化がマニアとして嬉しい(笑)。

(C)1963 TOHO CO., LTD.

 

『海底軍艦』画質/音質傾向(※音声は日本語リニアPCMモノラルでチェック)

『海底軍艦』SPEC

●製作:1963年 ●監督:本田猪四郎(本編)、円谷英二(特撮)●出演:高島忠夫、藤山陽子ほか ●本編ディスク:94分、スコープ、4K SDR(BT.2020) ●本編音声:�@日本語モノラル(オリジナル)リニアPCM/�A日本語5.1ch(2003Remix) DTS-HD Master Audio/�Bオーディオコメンタリー(ゲスト:梶田興治) DTS-HD Master Audio ●映像特典/139分:1968年新版本編/特報/予告編/海底軍艦 ピクトリアルスケッチ/轟天号 内部構造再現モデル/未使用特撮映像/「海底軍艦」研究ガイド/スチールギャラリー

特典映像の見どころもご紹介!  各タイトルのハイライトは?

各ディスクに収録された特典映像についても触れておきたい。

各レビューに記載した特典映像の収録時間を見ると、意外なほどに長尺なことに驚くはずだ。まずは全作品共通で、特報や予告編が4Kリマスター版で収録。さらに絵コンテをスライドショー形式で紹介する「ピクトリアルスケッチ」がHD画質で全タイトルに収録されており、これも旧盤BDにはない新規特典だ。

各作品に縁のあるゲストを招いたオーディオコメンタリーはDVDから継承され続けてきた特典。すでに鬼籍に入られた方もあるため、当時以上に史料価値は高いと感じた。それでは各特典映像のハイライトも紹介していきたい。

『空の大怪獣ラドン』
4Kリマスターの色彩補正の参考に使用された「三原色分解版」本編を4K画質で全編収録。これ自体はリマスターが施されておらず、フィルムのホコリやキズも残っているが、かえって名画座で観た本作の記憶を呼び起こしてくれるのがうれしい。

『地球防衛軍』
「特撮未使用映像」にはマーカライトファープ発進シーンなど、「合成・飯塚定雄氏 秘蔵合成テストフィルム」には様々な光線の作画テスト映像を4K画質で収録。さらに田中友幸プロデューサー、そして美術スタッフだった比留間伸志氏が防衛隊の行軍やモゲラ登場シーンの舞台裏を捉えた、家庭用8mmカメラ撮影のメイキング(HD画質)も超貴重!

『モスラ』
『地球防衛軍』と同じく、田中友幸プロデューサーが8mm撮影したメイキング映像。インファント島上陸や島民の踊りの撮影風景が記録されている。

『妖星ゴラス』
1974年頃に東京サマーランドの大型映像施設・サイコラマ館で上映された短編「地球大爆発」を4K収録。『妖星ゴラス』『日本沈没』、そして4Kリマスターが待たれる『世界大戦争』など、東宝特撮屈指の天変地異・都市破壊・炎上シーンなどで構成された、10分近い短編作品だ。これぞ、まさにお蔵出し!

『海底軍艦』
速報と特報、そしてオリジナルの状態に復元された予告編。そして 1968年に上映された75分の短縮版本編を4K画質で収録。短縮版は旧BDではSD素材をHD画質にブローアップしたものだったが、今回は4Kリマスター版で収録されていてびっくり!

初号試写以上のクオリティでは…?  作り手たちに心から拍手を

お届けしてきた東宝SF特撮UHD BDレビュー、いかがでしたか。

旧盤BDでは黄ばんで見えていた白が、今回はSDRながらダイナミックレンジが大きく改善され、白ピークがすっきり伸びて色調全体が大幅に向上した…。これは5作品に共通する進化だ。

この飛躍的なクオリティ向上を果たした名作群をホームシアターで上映しながら、当時の映画館で観客たちが味わったであろう迫力に何度も思いを馳せた。そして、ひょっとしたら僕たちはいま、完成直後の初号試写以上のハイクオリティで映画たちと向き合えているのかもしれない…と。

昨年の「ゴジラ周年記念作品4KリマスターBOX」から引き続き、「最後のパッケージメディア」と言われるUHD BDに、作品のすべてをアーカイブせんとするディスクの作り手たちの気概に心から拍手を贈りたい。

今回ご紹介したタイトルはすべて、伊尾喜大佑氏の自宅にあるホームシアター「イオキネマ」にて鑑賞

そして! 『ゴジラ』シリーズの4Kリマスター版UHD BD/BDのリリースの再開決定という、うれしいニュースも飛び込んできた。TOHOシネマズの企画上映「ゴジラ・シアター」でミレニアムシリーズまでの28作品が4Kリマスター版で上映されたが、UHD BD/BDでのリリースは残すところあと14作品。

12月16日には第8作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』、第10作『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』、第16作『ゴジラ』(BOX収録版の単品化)、第23作『ゴジラ2000 ミレニアム』。年明け2027年2月17日には、第14作『ゴジラ対メカゴジラ』、第15作『メカゴジラの逆襲』、第20作『ゴジラVSメカゴジラ』(いずれもBOX収録版の単品化)に加え、第26作『ゴジラXメカゴジラ』、第27作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の「機龍2部作」と、メカゴジラ映画5作品が一挙リリースとなる。

「ゴジラ・シアター」上映でも素晴らしい映像と音響に拍手喝采だった4Kリマスター作品群。ホームシアターではどんな仕上がりを見せてくれるのか…。

お楽しみは、まだまだ続く!

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