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「プレーヤー」「サーバー」「コントローラー」

ネットオーディオを楽しむためのシステムプラン − 基本概念と接続方法を徹底解説

公開日 2020/04/20 12:00 NetAudio編集部
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ネットオーディオを楽しむにあたって、どのような機材を揃え、どのように接続すればよいのだろう。現在発売されているネットオーディオ関連機器は非常に多岐にわたり、組み合わせ方も多少複雑になってきている。本稿では、ネットオーディオを楽しむための基本的な考え方の解説とともに、具体的なシステムのプランの紹介を行なっていきたい。

特にここでは、システムの上流に当たる部分、つまりデジタル音源の扱い方、再生のためのノウハウについて集中的に解説する。デジタルデータをアナログ変換したあとの下流部分、つまりアンプやスピーカーの接続方法については、これまでのオーディオの考え方とまったく変わらない。

ネットオーディオの醍醐味のひとつは、手元の端末で、好きな音源を自由に選択、再生できるということにある。そのためのシステムプランの基本は、「音源のありか(=サーバー)」と「再生を担う部分(=プレーヤー)」の2つを、どの機材が担うか、ということが重要になる。これらの製品の役割についても順に説明していこう。

タブレット上にお気に入りの音源が一覧で表示され、自在に選択・再生が可能になる



ネットオーディオを始める前にー準備編

まず、ネットオーディオを始めるにあたって、あらかじめ準備して欲しいものは、以下の通りである。
【必ず用意して欲しいもの】
@インターネット接続環境
A無線ルーター
Bスマートフォン/タブレット端末


@インターネット接続環境について
インターネット環境は、プロバイダと契約し、インターネット回線を自宅に引き込むことで実現できる。近年ではブロードバンドの光ネットワークが主流となっており、月額数千円程度で契約ができる。一軒家なのか、集合住宅なのかなどで契約が変わってくるので、プロバイダと相談して適切なプランを選択して欲しい。回線の引き込みにあたっては、ONU(Optical Network Unit)などの専用端末をプロバイダが貸し出してくれる場合が多い。

自宅ではスマートフォンなどのモバイル回線だけで十分、という方も少なくないと思うが、ネットオーディオを十全に楽しむにあたっては、有線のネットワーク環境を整えた方が音質面・利便性の双方から大きなメリットがある。オーディオ以外にも当然活用できるので、まだ導入されていない場合は、ぜひ導入を薦めたい。

プロバイダーから貸与されるONUの代表的なもの。ここから無線ルーターにLANケーブルを接続する

A無線ルーター
自宅に有線のブロードバンド回線を引くことに成功したら、続いて無線ルーターを導入して欲しい。アイ・オー・データ機器やバッファロー、エレコムなど複数のメーカーが、数千円〜1万円程度から発売している。新しく購入する場合、最新の無線通信規格である「11ac」に対応しているものであれば問題ないだろう。同居する家族の人数、接続したい端末の数などに応じて、適切なものを選択して欲しい。最近はメッシュWi-Fi対応と呼ばれ、より途切れにくい無線ルーターも存在する。


家電量販店などで入手できる無線ルーター。リモートワークにも必須のアイテム
Bスマートフォン/タブレット端末
ネットオーディオの魅力のひとつは、手元のスマートフォンやタブレット端末から、ワンタップで自在に音楽にアクセスし、再生・停止、ボリューム調整、プレイリスト作成などができることにある。普段利用している小型のスマートフォンでも十分だが、画面の大きいタブレット端末があれば、より快適な操作が可能になる。なお、Android端末、iOS端末のいずれでも使い慣れた方で構わないが、アプリによってはどちらかしか対応していないものもある。利用したいアプリがどちらに対応しているか、あらかじめ確認しておいたほうが良いだろう。


タブレット端末またはスマートフォン。普段使い慣れたものでOK
【できれば用意したほうが良いもの】

Cパソコン(Windows/Macいずれでも可)
近年のネットオーディオでは、パソコンレスで実現できるものも増えており、パソコンなしでもハイレゾ再生やストリーミングで楽しむことも十分に可能だ。しかし、より深い使いこなしを考えたい場合、パソコンを用意することで、遊び方の自由度は飛躍的に高まる。どのようなパソコンがふさわしいかは、実現したいオーディオプランによって異なる。Roonなど最新鋭のソフトウェアを動かしたい場合はハイスペックなマシンを要求されるが、たとえばCDリッピングやタグ管理のみという場合は、型落ちのPCなどでも十分に対応できる。


パソコンはMac、WindowsいずれでもOK
Dネットワークハブ
せっかく自宅に引いたインターネット回線だが、当然のことながらさまざまな電子機器で活用するために、どうしてもノイズを拾ってしまう。そのためにお薦めしたいのが、オーディオルームとそれ以外のネットワーク環境を分ける「ネットワークハブ」の導入だ。ネットワークハブは、家電量販店で購入できる数千円のものから、オーディオグレードの数十万円のものまで非常に幅広いが、ネットオーディオのスタートには数千円程度のもので十分だ。さらに音質アップを狙いたい場合に、高価なハブが選択肢に入ってくる。


ネットワークハブも家電量販店で入手できる


ネットオーディオの概念を知るーサーバーとプレーヤーとコントローラー

一番最初に、ネットオーディオのシステムプランの基本は、「音源のありか(=サーバー)」と「再生を担う部分(=プレーヤー)」の2つを、どの機材が担うか、ということが重要になる、と説明した。それを図式化すると、次のようなイメージになる。


「サーバー」とは、ここではデジタル音源を保管しておく装置のことを指す。一般的にはNASや、ミュージックサーバー、パソコンなどがその役割を担うことが多い。e-onkyo musicやmoraなどからダウンロードした音源や、CDリッピングのデータなど、とにかく「音源を貯めてあるライブラリBOX」と考えれば良い。

「コントローラー」は、【必ず用意して欲しいもの】のBに出てきたタブレットまたはスマートフォン端末のことである。この端末に専用のコントロールアプリをインストールして操作する(LINNのKazooなど、PCから操作できるものもある)。こちらは、無線Wi-Fiでルーターと接続して欲しい。無線接続に必要なSSIDとパスワードは、無線ルーターに必ず記載してある。


無線ルーターに接続するためのSSIDとパスワードは、ルーターの背面や側面などに記載されていることが多い
「サーバー」「プレーヤー」「コントローラー」、これら3つを同一ネットワーク上に設置する。こうすることで、「コントローラー」端末から「サーバー」の音源を指定し、「プレーヤー」に送り出す、ネットオーディオの再生が可能になるのだ。

ネットオーディオのシステムがどれだけ複雑に見えても、これら3つの役割をどの機器が担っているのか? を考えるとすっきりと理解することができるだろう。それではここから、具体的なシステムプランを考えてみよう。

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