<山本敦のAV進化論 第172回>

5Gの本格商用化が間近。オーディオビジュアルの世界にどんな新製品や新サービスが登場する?

山本 敦

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2019年01月25日
2019年から2020年にかけて、世界各地で5G通信システムの商用化が始まることから、最近は「5G」の話題が賑わっている。5Gが普及すると私たちの生活も大きく変わると言われている。今回はオーディオビジュアルと5Gの関わりを考えてみたい。

エレクトロニクスのイベントであるCES 2019でも5Gに関連する展示が盛り上がっていた

ITU(国際電気通信連合)と第3世代以降の携帯電話システムの標準仕様を策定してきた3GPPなどが、第5世代の移動通信システム「5G=5th Generation」の国際標準化を進めている。

5Gの移動通信システムは、現在日本国内で普及している4Gの通信システムと比べて「高速」「低遅延」「同時多数接続」の各機能が大きく優れている。データの最高伝送速度は、現状の4Gの約10倍にあたる下り20Gbps/上り10Gbpsというスピードに到達する。また遅延時間についても、4Gの約10分の1にあたる1ms以下に縮められると期待されている。

5G通信の先進性はその速度に注目が集まりがちだが、多くのデバイスの通信を捌ける器の大きさにも真価がある。現在の4Gシステムで考えてみても、都市部やイベント会場などで大勢の人が集まり、一斉にスマホを使いはじめると、通信が混雑して、通信品質が著しく低下する場合がある。

これからの時代はスマホやPCだけでなく、スマート家電やIoTデバイス、そして自動車やロボットも個々にネットワークへ接続するようになり、家の中、街中のトラフィックがさらに混み合うことが予想される。このままでは4Gシステムに限界が訪れることも明らかだった。だからこそ5Gの技術開発が求められ、全世界で大量のデータ通信が消費される時代への備えが進められてきた。

昨年12月にはクアルコムが5Gの時代を見据えたモバイル向けプラットフォーム「Snapdragon 855」とモデムIC「X50」の組み合わせを発表した

5G商用サービスは、すでに韓国や北米の一部サービス事業社で導入が始まったと伝えられている。2月末にスペイン・バルセロナで開催される世界最大の携帯電話関連の展示会「Mobile World Congress 2019」では、5G対応スマホの発表もありそうだ。

クアルコムがCESの会場に展示した「5Gスマホ」のプロトタイプ。OPPOにシャオミ、Vivoなど中国メーカーの端末が積極的だ

さて、5G対応サービスや端末は2019年から2020年にかけて本格的なローンチの時を迎える。早期のサービス開始に意欲的な地域は、北米と英国をはじめとするヨーロッパ、日本、韓国、中国にオーストラリアなど。2020年から21年にかけてラテンアメリカとインドにもロールアウトすると言われる。

昨年にクアルコムが開催したSnapdragonの発表会にて。同社も5Gは2019年前半から北米、欧州など各地域で先行して広がると見込んでいる

日本では、ドコモとソフトバンクが2019年に5Gをプレサービスとして限定的にローンチする考えを明らかにしている。本格的な商用サービス導入の時期については、KDDIや楽天も含めた4社が2020年を見込んでいる。当初は需要が高い都市部などのエリアを中心に、5Gの超高速サービスが提供されることになりそうだ。総務省では2020年代を5Gの普及期に位置付けており、この約10年間に国内移動通信システムのコアネットワークが4Gから5Gに移行するというシナリオを描いている。

日本の5G対応を進める通信キャリアとしてNTTドコモとKDDIのアナウンスが紹介された

ユースケースに応じた柔軟なサービスを提供するため、5G時代の通信網はミリ波と呼ばれる6GHz以上の周波数帯域の電波を使う無線技術(NR=New Radio)と、同じく新たな周波数帯域でありながら既存の4G通信システムと互換性を持つ6GHz未満の「Sub-6」、さらに800MHz〜2GHzなど既存の周波数帯域で提供される4Gを連携して、一体的に動作させるNSA(Non Stand Alone)構成の無線アクセスネットワークが検討されている。

クアルコムが示した5G時代の通信ネットワークのイメージ。通信が混雑する人口密集地で5G(ミリ波)/Wi-Fiを活用しながらトラフィックをさばき、郊外にSub-6や4Gを展開してネットワーク負荷を分散。広域に渡って良好な通信品質を担保する

つまり既存の4G LTEネットワークの基盤が5Gにすべて置き換わるのではなく、誰もが快適に使える通信環境を広く提供するために、4G通信システムは今後も継続的に活用されることになりそうだ。

では5Gの導入で実現する「高速」「低遅延」「同時多数接続」という、それぞれどのようなことに活用できるのだろうか?

オーディオ・ビジュアル機器への影響はあるのか

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