ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 5」レビュー。さらに進化した音質&ノイキャンを徹底解剖!
MTW4もパッシブな遮音性能は高かったが、MTW5はイヤホンを耳へ強く押し付けなくても、同等かそれ以上の静けさが自然に得られる。装着テストで前モデルより快適になったと答えたユーザーが73%に達したというメーカーの説明にも、実機を装着してみると納得がいく。
アダプティブANCの消音性能はMTW4も決して引けを取らない。ただ、MTW5はANCをオンにしたときの圧迫感がさらに少なく、音楽の細かなディテールを自然に見渡せる安心感がある。ノイズを強引に封じ込めて静けさを演出するよりも、音楽に意識を向けやすい環境を丁寧に整えるタイプのANCだ。
トランスペアレントモードも周囲の環境音をクリアに取り込む。ANCと切り替えても再生音のバランスが大きく崩れない。マイクプレートと音響チャンバーを見直し、新たにアダプティブ風切り音低減モードも搭載した成果だ。
風切り音を抑える機能にも、むやみな誇張がない。リスニングの自然さを最優先に掲げながら追い込んだバランスに、オーディオブランドらしい実直さを感じる。
「理にかなった心地よい空間オーディオ」
MTW5はDolby Atmosとヘッドトラッキングに対応する。空間オーディオは立体感や音の移動をことさらに強調しない。
音像を空間へ丁寧にマッピングした結果として、違和感のない音場の広がりが生まれる。オーディオブランドが考える「理にかなった心地よい空間オーディオ」の好例だと思う。
あまりに自然なので、通常のステレオ再生とどのように使い分けるべきか、かえって悩ましくもなる。一方でヘッドトラッキングは身体の動きへの反応が鋭く、音像が空間にとどまる感覚をエンターテインメントとしてわかりやすく形にしている。
「Smart Control Plus」アプリにはニュートラルを含む8種類のEQプリセットを用意する。これだけでも存分に遊べるが、MTW4の5バンドから、MTW5では8バンドへ細分化されたグラフィカルなカスタムEQにより、好みの音をさらに緻密に追い込める。
筆者ならボーカル音源の声の質感や距離感を整えるために活用する。フラウンホーファーと共同開発したサウンドパーソナライゼーションも併用し、自分の聴覚に合う音を探す楽しみがある。
前モデルユーザーの評論家も納得。「確かな世代進化の手応えを得た」
筆者はMTW4をお気に入りとして長く使い、サウンドバランス、ANC、装着感のいずれにも満足してきた。したがって、MTW4のユーザーへ「今すぐ最新モデルに買い換えるべき」だと強く促すつもりはない。
ただ、臨場感にあふれながら見通しのよい音、圧迫感の少ない自然なANC、MOMENTUMの音を損なわずに楽しめる空間オーディオや8バンドEQには確かな世代進化の手応えを得た。
約5万円のプレミアムな完全ワイヤレスイヤホンだけに、スペック表を眺めただけで決断する製品ではないだろう。だからこそ一度、自分の耳で聴いてほしい。このレポートで紹介したポイントが、MTW5を品定めする時にも役立つことを願っている。
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