HOME > レビュー > Apple「AirPods Max 2」レビュー! 初代機と聴き比べてわかった音質&ノイキャンの進化具合

最新H2チップの効果とは?

Apple「AirPods Max 2」レビュー! 初代機と聴き比べてわかった音質&ノイキャンの進化具合

公開日 2026/03/31 22:00 山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
Apple H2チップを搭載。音質と機能を刷新した「AirPods Max 2」

アップルが4月1日に新しいワイヤレスヘッドホン「AirPods Max 2」を発売する。多くの音楽ファンに愛されるアイコニックなデザインを継承しながら、内部には最新の「Apple H2チップ」と新しいアンプICを搭載した。

この刷新が音質やアクティブノイズキャンセリング(ANC)の効果にどのような変化をもたらしたのか。実機のファーストインプレッションを報告する。

Apple H2と新しいアンプがもたらす音質向上

今回試聴したのは全5色のカラーバリエーションのうち、鮮やかな「オレンジ」のモデルだ。

アノダイズド加工を施したアルミニウムのイヤーカップ、メモリーフォームクッションによる柔らかな装着感のイヤーパッド、そして荷重を分散するニットメッシュのヘッドバンドといったMaxらしい意匠は健在だ。

ニットメッシュのヘッドバンド
イヤーパッドは着脱交換が可能

デジタルコネクタにはUSB-Cを採用する。アップルは2024年9月にApple H1チップ搭載のAirPods MaxをUSB-C化して、続く2025年4月のソフトウェアアップデートではUSB-C有線接続によるロスレス再生にも対応させている。

今回のAirPods Max 2もこの流れを汲み、iPhoneやMacなどのデバイスとUSB-Cケーブルで直接接続することで、最大48kHz/24bitのロスレス再生を標準でサポートする。

ワイヤレスの利便性と、有線による高音質再生の二段構えであるところが、AirPodsシリーズの中におけるMaxの特徴になる。

USB-CケーブルでiPhone、iPad、Macなどに直結してロスレス再生が楽しめる

まずはiPhone Airとワイヤレス接続し、Apple Musicで配信されている楽曲を中心にリスニングを開始した。パフォーマンスを比較するため、2020年発売の初代AirPods Maxもリファレンスとして用意している。

総じて、サウンドはいっそうリアリティを増している。初代モデルが備えていたフラットでバランスの良い特性を維持しながら、わずかに不足を感じていた「音の立体感」が豊かになった。

チャンネルセパレーションの向上が目覚ましく、バンドの演奏はボーカルと各楽器との距離感、演奏空間のスケール感が手に取るようにわかる。

幾多りらの楽曲『Actor』では、より素直になったサウンドバランスが心地よい。透き通るボーカルの音像が間近に迫るような迫力があり、歌手の口元の表情まで優しく滑らかに描き出す。

楽曲冒頭のボーカルのハミングでは、繊細な声の表情と抑揚のニュアンスが浮かび上がり、聴き手を楽曲の世界観へと瞬時に引き込む力がある。

新旧AirPods Maxを聴き比べた

低域の描写力も進化を遂げた。バスドラムやベースの沈み込みがとても深い。足元の安定感が高まっている。それでいてリズムは重くなりすぎない。

エレクトリックピアノのハーモニーに耳を傾けると、先代のMaxよりも新しいMaxは音の層が厚みを増していることがわかる。余韻がゆったりと美しく、空間に広がる。

金管楽器のハーモニーも艶やかで、高音域が無理なくすっと自然に立ち上がる。新しいアンプICがもたらしている恩恵だろう。

馬場智章のアルバム「ELECTRIC RIDER」から『Season of Harvest』を聴くと、サキソフォンのメロディの切れ味と深みに圧倒される。

高音域を不自然に強調することなく、メロディを内側から輝かせるような痛快な鳴りっぷりだ。新しいMaxはアコースティック楽器の音色再現が極めて忠実であると感じる。

ベースラインは軽やかでありながら、やはりどっしりとした安定感がある。チャンネルセパレーションが明瞭になったことで、バンド各楽器の分離が鮮明になり、定位が力強く固定される。

ドラムスのクラッシュやハイハットの粒立ちも鮮烈だ。パーカッションは軽やかでありながら、柔らかな丸みを帯びている。

新しい高ダイナミックレンジのアンプICの搭載が、音のエネルギー感をよりストレートに、かつ繊細に伝える。

新しいMaxで聴いたこの曲のリスニング感として、大きなスケールで描く音場の迫力と、そして奥行き方向への見晴らしの良さも特筆したい。

AirPods Maxはロスレス再生の醍醐味が味わえる

空間オーディオコンテンツにおいては、音場表現の豊かさが極まる。

古楽器カルテットのネヴァーマインドが演奏するバッハの『ゴルドベルク変奏曲』を聴くと、その確信はさらに深まった。

オルガンの重厚な響き、トラヴェルソ(木製フルート)の柔らかなタッチとブレスの繊細な息づかいもいい。

バイオリンとヴィオラの弦がしなり、しっとりとした音色を響かせる。空間内を音が鮮やかに移動する様は、H2チップの高度な演算能力がなせる業だ。

AirPods Max 2のワイヤレス再生と、USB-C接続によるロスレス再生も聴き比べてみたところ、明確な差異が感じられた。

大貫妙子のアルバム「MIGNONNE」から『横顔』を聴くと、冒頭のベースが身体の芯に響くような深みのある低音として再現される。

ロスレス再生時にはボーカルの繊細な表情が一段と克明に浮かび上がり、ギターのカッティングが放つ余韻の彩りが増す。

ロスレス再生に触れてみると、AirPods Max 2が目指した「忠実な原音再生」により深く踏み込める手応えがある。

USB-Cコネクタを採用。有線接続による空間オーディオ再生も楽しめる

USB-Cケーブルは必ずしもアップルの純正アクセサリーである必要はない。両端がUSB-Cコネクタであれば、市販のUSB-Cケーブルでこの醍醐味を手軽に味わえる。

今回はコンビニエンスストアのセブン-イレブンでも取り扱われている、BeatsのUSB-Cケーブル(税込2,480円)でも試したが、十分なクオリティを実感できた。

精度を増したANCと外部音取り込み

アクティブノイズキャンセリング(ANC)の効果については、公称の「1.5倍」という数字に相応しい実力を体感した。

今回はレコード店に隣接する、少し騒がしいワークスペースの個室などでANC機能の実力をテストした。

AirPods Max 2を装着して、ANCをオンにした瞬間に周囲の喧騒がしんと静まり返る。その静寂の質は極めて高い。さらに音楽を再生すれば、そこは瞬時にして贅沢なプライベート・リスニングルームに変わる。

外部音取り込みモードについても検証した。新しいMax 2の外音取り込みはとてもクリアに聞こえる。むしろ、初代のモデルよりも周囲の音をより積極的に拾う印象だ。

各社のヘッドホン・イヤホンにおける外音取り込みの「自然さ」は、ユーザーの好みが分かれるところだ。筆者の基準ではAirPods Proシリーズの外部音取り込みが最も、「デバイスを装着していない状態」に近いクリアなリスニング感だと思う。

精度を増したANCと外部音取り込み。適応型オーディオはマニュアルによるカスタマイゼーションにも対応する

対して、AirPods Max 2の外部音取り込みは「やや聞こえすぎる」傾向があった。例えば、後方で会話する人物の声が予想以上に近く迫って聞こえてくることがあった。ヘッドホンを外して、後ろを振り返るとその人物との距離が意外にも遠かったことがわかって驚いた。

ただし、これは音楽を再生していない状態での印象だ。実際にリスニングを開始すると、この「環境音強め」なバランスが功を奏し、音楽を楽しみながらも周囲の状況を的確に把握できる。納得感のあるバランスだ。

ただ、可能であれば今後のアップデートにより、外音取り込みの強弱をユーザーが任意に調整して固定できるようになれば、使い勝手がさらに良くなるだろう。

MacBook NeoにAirPods Max 2を接続。コントロールセンターからサウンド設定に入るとヘッドホンのノイズコントロールモード、空間オーディオ、会話感知の切り替えが素速くできる

ペアリングしたAirPodsの詳細設定。macOSからでもiOSと同じ詳細な機能設定にアクセス可能だ

AirPods Max 2はオーディオ特化型のウェアラブルコンピューター

Apple H2チップを載せた効果は音質の向上に留まらない。AirPods Pro 2で高く評価されたスマート機能の数々が、ついにワイヤレスヘッドホンにも提供されたのだ。

ハンズフリー通話を試した。「声を分離」する機能により、バックグラウンドノイズを低減しながら話者の声が立体的に前へ押し出される。

AirPods Pro 3と比較すると、サイズの大きなAirPods Maxはマイクレイアウトの自由度も高いためか、音声の安定感は本機が上回る印象だ。

オンラインミーティングにおいて、相手に声の聞こえ方でストレスを与えないことは重要だ。ビジネスシーンにもMax 2が重宝すると思う。

「会話感知」や「Siriのヘッドジェスチャー操作」といった機能も違和感なく統合されている。

特にライブ翻訳機能のレスポンスはスムーズだ。外国語で実施されるプレスカンファレンスやプレゼンテーションを聞いて、ある程度の内容を把握したい時に、AirPodsシリーズのライブ翻訳機能が真価を発揮する。

さすがに、AirPods Max 2はヘッドホンなので、対面会話の際にヘッドホンを装着したままライブ翻訳を活用することには、筆者もやや抵抗感がある。

例えば友人どうしによる会話など、ヘッドホンを装着したままのコミュニケーションが可能な場面で、AirPods Max 2のライブ翻訳も上手に使いこなしたい。

会話感知にヘッドジェスチャーによるSiriの通話応答操作、ライブ翻訳など多彩な機能を追加した

価格が9万円に迫るAirPods Max 2は、ワイヤレスヘッドホン市場においてかなり高価なモデルだ。

しかし、Apple H2チップがもたらす充実のプロセッサパワーを背景としたライブ翻訳などの機能を体験すると、本機はもはやワイヤレスヘッドホンというカテゴリーを超え、「オーディオ特化型のウェアラブルコンピューター」と呼ぶべき唯一無二の存在になったことを強く実感する。

それでもやはり、約9万円のワイヤレスヘッドホンが安い買い物であると安易には言えないが、AirPods Max 2の充実したサウンドとノイズキャンセリング、そしてスマートなユーザー体験の融合において、いまこのプロダクトに匹敵するほかの選択肢が見当たらないことも確かだ。

オーディオファイルはもちろん、最新テクノロジーを搭載する製品を自身のライフスタイルの一部にしてみたいユーザーにとって、AirPods Max 2はこれ以上ないほどの満足感をもたらしてくれるだろう。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック: