ソニー「WF-1000XM6」レビュー! 評論家も高評価「『究極の進化』の領域に到達している」
これと対で動作する「統合プロセッサーV2」は、音声信号処理の深度を従来の24bitから32bitに拡張した。その結果、音の解像度や音場の再現力が向上している。ANCによって生み出される上質な静寂もまた、最新のプロセッサーによる連携の賜物だ。

本機専用の8.4mm口径ダイナミックドライバーは、エッジ部に細かなノッチを刻み込むことにより、振動板のスムーズな振幅を引き出し、不要な共振を抑えながら、クリアで伸びやかな高音域を再現する。

1000Xシリーズの遮音性能は、その強力さと質の高さにおいてヘッドホン・イヤホンともに折り紙付きだ。最新の本機WF-1000XM6では、筐体形状やイヤーピースによるパッシブ(物理的)な遮音効果と、電気的な信号処理によるANCのバランスを見直して、さらなる高みを目指した。
パッシブな遮音効果に頼り過ぎると、歩行時に自らの足音だったり咀嚼音だったりのような身体内を伝わるノイズを増幅させる原因にもなる。そこで、ソニーの開発チームは上記のとおりノイズキャンセルにおけるパッシブとANCのバランスを調整。ANCの性能を高める方向に舵を切り、パッシブによる遮音効果の悪影響を低減させた。
ANCのアルゴリズムはイチから書き直された。ユーザーの耳の形状や装着状態を含めた条件を統合プロセッサーV2がリアルタイムで解析しながらNCフィルターを生成、高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN3eがマイクを制御するシステムとなった。
この仕組みを支えるため、内部の通気構造も刷新し、さらにノイズキャンセリング用マイクの数も8個に増やした。新開発プロセッサーの高い演算性能を活かし、NCフィルターの処理速度は従来の3倍に引き上げられている。
WF-1000XM6のノイズキャンセリング性能をチェック!
結果として、環境変化にきめ細かく追従する、スマートなノイズキャンセリング制御が可能になった。筆者も実機を身に着けて、騒音量の多い電車や地下鉄の中、賑やかな駅の構内、商業施設やカフェの店内、比較的静かなワーキングスペースなど様々な場所で効果を試した。
一様に「すっ」と喧噪が引いていくような、穏やかでありながら強力な消音効果が得られる。カフェではANCをオンにするだけで、少し離れた席で大声で話す人の声がほぼ聞こえなくなった。音楽再生を始めると、静寂とサウンドが柔らかく溶け合う。ANC特有のプレッシャー(閉塞感)も少ない。

ただし、WF-1000XM6の高い消音効果を得るためには、事前に適切なサイズのイヤーピースを選ぶ必要がある。その上でパッシブな遮音効果を最大化するため、イヤホンを適切に装着しないと、ノイズキャンセリングの本領が発揮されない。
ソニーはイヤホンのフィッティング条件に合わせて、リアルタイムに生成されるNCフィルターが、低遮音の状態でも安定した消音効果を発揮すると、本機のANCテクノロジーの特徴を説明している。ただ、本機に限らず一般的にイヤホンの装着状態が遮音性能に影響するのは避けられい事実としてある。筆者が試した限りでは、本機もその弱点を完全に払拭するまでには至っていないように感じた。
では最良のANC効果を引き出すためにどうすればよいのか?ユーザーが事前にやるべきことが2つある。
まず「SoundConnect」アプリの「デバイス設定」に並ぶメニューから「装着」を選び、「最適なイヤーピースを判定」する。耳に合ったイヤーピースを見つけることが先決だ。
続いてイヤホンを耳に装着する段階では、形状記憶素材のイヤーピースの先端を軽くつぶしてから耳穴に入れて、先端の形状が馴染んでから、装着感のよい位置に先端を少し回転させて調整する。手順に沿ってイヤホンを正しく装着すれば、ただ何気なくイヤホンを耳に入れた状態と比べて、遮音効果が明らかに高まり、サウンドが濃厚さを増すことがわかるはずだ。
最新のWF-1000XM6はイヤホン本体のデザインが前機種のWF-1000XM5から大きく変わった。本体の幅はスリムになったものの、形状は少し縦長になり、高さも増した。
なお、このデザイン変更の影響か、筆者はWF-1000XM6をベストフィットさせるのに最初は手こずり、音質とANC的にベストなポジションに収められるようになるまで、使い込んで慣れる必要があった。
このあたりは耳の形状などの個人差にもよる部分も大きいだろうため、これからWF-1000XM6の購入を検討される方は試聴のほか、“試着”も欠かさずに行ってから判断してほしい。
