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ピアノ&ギターの不滅のデュオ作

【ソフトレビュー】ビル・エヴァンス&ジム・ホール『アンダーカレント』。エソテリック・リマスターで演奏の生命感がさらに高まる

公開日 2026/01/21 06:35 鈴木 裕
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ジャズやクラシックの名作アルバムを、エソテリック独自のマスタリングにより新たに蘇らせる「名盤復刻シリーズ」。ジャズの傑作、ビル・エヴァンス(ピアノ)&ジム・ホール(ギター)による『アンダーカレント』が新たなDSDマスタリングを施したSACDハイブリッド盤として登場した。

大間知基彰氏責任監修、リマスタリング・エンジニア東野真哉氏によるリマスターの真髄を聴く!

二人の演奏にダイレクトに向かい合える

1962年の春に録音されたという本作。デュオ・アルバムの傑作とされていて、筆者は復刻されたアナログレコードで聴いてきたが、エソテリックのリマスタリング盤で聴いて、より深く演奏を楽しめた。

『アンダーカレント +4 ビル・エヴァンス&ジム・ホール』(ESOTERIC ESSJ-90317)

結論めいたものから書かせてもらうと、ここでの演奏、デュオとはいえ、エヴァンスのプレイの方が饒舌で主導的ではあるが、ジム・ホールのプレイも多彩で深い味わいがあり、そのインタープレイが聴いていて実に楽しい。つまり、ジム・ホールの存在感が上がっているように聴こえるし、それが音楽としての総合力を高めているように感じる。

特徴的なのは音の透明感が明確に上がっていることで、しかしここで直ちに付け加えなければいけないのは、磁気テープに起因するヒスノイズも、低域の暗騒音もカットされていない点である。

今までの経験則からしても、こういうものをカットしてもいいことはあまりない。

理由を考えてみると、ヒスノイズも、低域の暗騒音もマスターに残っているということは、プロデユーサーなりアーティストが、ミックスダウンやカッティングの課程で残しておいたほうがいいと判断した結果のはずだからだ。

ちなみに収録時点でエヴァンスもジム・ホールも共に30歳で、リーダー作を1タイトル出しただけという意味では、ほぼ互角のキャリアと言えるかもしれない。

いずれにしても、これから『アンダーカレント』を聴こうと思った時には、持って来たレコードではなく、エソテリックのリマスタリング盤を再生することになるだろう。

なぜならば、その方が二人の演奏にダイレクトに向かい合えるからだ。演奏の生命感が強く伝わってくるし、この内省的でセンシティブな音楽の何たるかにより深くひたれるからだ。

付け加えるならば、一般的にリマスタリングの作業においては、周波数特性をいじったり、あるいはコンプレッサーを使う等して、音圧を高める場合が多いが、エソテリックのリマスタリングでは、これらは施されていない。

マスターのデータをできるだけ良い状態で再生し、それをDSDのフォーマットで録音、SACDとCDのハイブリッド盤として製品化している。

以前から思ってきたが、「アンダー・カレント」のエソテリック盤を聴いて、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」をエソテリックでリマスタリングしてほしいと強く考えるようになった。

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