Aura「LCC 1」はヘッドホンアンプも超一流!ハイエンドヘッドホンで徹底クオリティレビュー
linear classicsシリーズの第1弾パワーアンプ「LCP 1」は純粋なアナログ志向を標榜
ヘッドホンリスニングは満足できる結果となったが、スピーカー環境ではどうだろうか? linear classicsシリーズの第1弾モデルとして登場したステレオパワーアンプのLCP 1と組み合わせてみる。
LCP 1は、純粋な「アナログ志向」と「シンプルな機能性」を掲げた、いわば “伝統回帰” 的な高品質高級アンプである。定格出力は8Ω 負荷で左右それぞれ75W+75W。さらにモノラル駆動を可能にするBTL接続時には150Wの出力が得られる。
電源部には、オリジナル設計による「超薄型扁平トロイダル・トランス」をカスタムメイドで使用したリニア電源を採用。電源部に用いられるコンデンサや出力リレーにも大容量タイプが選定されている。
出力段には、ブランドの伝統である「MOSFET シングル・プッシュプル構成」が採用されており、EXICON製「EXW20N20/ECW20P20」の組み合わせを導入。これは同社の従来機と比べ、定格電流に余裕を持たせることで、出力アップとBTL 接続によるモノラル使用に対して余裕のある対応を可能にしている。
LCP 1との組み合わせも試聴、スピード感と明瞭なリアリティで音楽的に引き込む
スピーカーにBowers & Wilkins「805 D4 Signature」を組み合わせ、女性ジャズボーカルから、ホリー・コール「Comin' Home Baby」を再生。すると一気に耳が楽曲に引き込まれる。この組み合わせ、音が出た瞬間の雰囲気が良く、音が出る一瞬のスピード感、そして緊張感が出せている。
ヘッドホン同様、ベースとキックドラムに重量感とスピードがあり、ピンポイントのボーカルが空間に明瞭なリアリティを持って定位、ステージも広々としている。
そのため、ハンス・ジマーのアルバム『The World of Hans Zimmer - Part II: A New Dimension』から「The Rock Suite」を聴くと、イントロの弱音部がリアルに再生され、わずかな暗騒音のリアリティが失われず、一瞬で音楽的に引き込まれる。
LCC 1とLCP 1の組み合わせは、ローレベルのリニアリティが高い。とても薄型のシャーシだが、見た目以上にしっかりとスピーカーを支配下に置きながら、分析的に聞こえるようなこともなく、楽曲ならではの魅力を引き出してくれる。
「ヘッドホンファンもAuraに触れてみてほしい」と強く感じさせる傑作
いかがだっただろうか。今回は駆動させるのが比較的に難しいハイグレードヘッドホン、ならびに現代ハイテクタイプのスピーカーと組み合わせた。そしてLCC 1のヘッドホンアンプの素晴らしさに感激した。
ノイズフロアが低く、ローレベルの音の鮮度がスポイルされていないので、ボーカルと楽器の質感が素晴らしかった。また、バランス接続ならではのバランス回路のメリットが生き、S/N の向上、クロストークの低減、空間描写やダイナミクスの向上といった恩恵が確認できた。
スピーカーリスニングでも、アーティストとリスナーとの距離感が近く、ずっと音楽的に聴き続けることができる音を奏でるアンプ。デザインについては、ここ数年に出会った据え置き型オーディオの中でも数本の指に入る美しさだ。
linear classicsシリーズは、Hi-Fiオーディオユーザーだけでなく、耳の肥えたヘッドホンリスニングの心も掴んで離さないAuraの傑作。「ヘッドホンファンもAuraに触れてみてほしい」と強く感じた次第だ。
[SPEC]
■「linear classics LCC 1」
●入力感度:400mV(XLR/RCA)、5.9mV(PHONO) ●入力インピーダンス:100kΩ(XLR)、50kΩ(RCA)、47kΩ(PHONO) ●定格出力:2V(XLR/RCA) ●出力インピーダンス:200Ω(XLR)、100Ω(RCA) ●周波数特性:20Hz – 20kHz ●全高調波歪率:0.003% ●S/N比:113dB(RCA)、83dB(PHONO) ●消費電力(待機時):約20W(約1W) ●主な入出力端子:XLR入力×1基、RCA入力×2基、PHONO入力×1基(MM)、XLR出力×1基、RCA出力×1基、ヘッドホン6.3mm×1基、ヘッドホン4.4mm×1基 ほか ●外形寸法:430W×71H×332Dmm ●質量:6.5kg
(提供:ユキム)
