カッコいいのは大前提、では買うべきはどっち? NothingとCMFのヘッドホンを徹底比較
NothingとCMF、ワイヤレスヘッドホンを選ぶなら?
ユニークかつ洗練度の高いシースルーデザインを採用したスマートフォンやイヤホンで、異彩を放つ英国ブランドNothing(ナッシング)。ハードウェアの基本性能の高さに加え、斬新かつ使い勝手の良いユーザーインターフェイスなど、ソフトウェアの面でも独自性が高く、コモディティ化が進む分野でも特異な存在と言える。
そのNothingが新たに手掛けるのがヘッドホン。ブランド初となるオーバーイヤー型ワイヤレスヘッドホン「Headphone (1)」は、同社スマートフォンと同じテイストのスケルトンデザインを採用する個性派だ。
また同時期に同社のサブブランドであるCMF by Nothing(以下、CMF)からも、同じくブランド初となるオーバーイヤー型ワイヤレスヘッドホン「CMF Headphone Pro」が登場している。
これら2モデルは同じNothing社の製品であるが、それぞれのブランドコンセプトに沿って、デザインのみならずヘッドホンとして違いがあるのも面白い。
本稿では、Nothing社のフィロソフィーやブランド展開の狙いを意識しつつ、ヘッドフォン2モデルそれぞれのデザインや機能、音質を比較検証していく。製品に込められた想いを紐解けば、両モデルに適したユーザー像や選び方のポイントもよりはっきりと見えてくるだろう。
Nothing公式サイトおよびAmazon「ブラックフライデー」にて、「Headphone (1)」と「CMF Headphone Pro」が、お得に購入できるセールを実施。対象期間とそれぞれの割引率は以下の通り。
直販サイト:11月20日(木)0:00 - 12月2日(火)23:59
Amazon:11月21日(金)0:00 - 12月1日(月)23:59
Headphone(1):39,800円(税込)→33,830円(税込)15%オフ
CMF Headphone Pro:15,800円(税込)→12,640円(税込)20%オフ
Nothing「Headphone (1)」〜KEF監修サウンドのプレミアム仕様〜
本製品を目にすれば、誰もがその外観に心を惹かれるだろう。Nothingらしいシースルーデザインを採り入れており、同ブランドのスマートフォンと並べても一貫性を感じる洗練度の高さが魅力的だ。
筐体は一部にアルミ素材を使用しており、高品位かつアクセントにもなっている。Nothingスマホとの相性はシームレスと言えるほどの完成度で、このポイントだけでも購入の動機になりそうだ。
サウンドチューニングは、Nothingと同じく英国の老舗オーディオブランド・KEFとのコラボレーションがポイント。音質にこだわるユーザーにとって大きな魅力と言えるだろう。


機能面も充実。今や標準と言える人気のANC機能は最大-42dBを謳うハイブリッドタイプで、通話時のマイクノイズリダクションも4基のマイクとAIを活用した高度なもの。ほか、ヘッドトラッキングも利用できる空間オーディオ、アダプティブ低音強調、再生ソースを瞬時に切り替えられるChannel Hop機能などを搭載し、「Nothing X」アプリで直感的に操作できるのもモダンだ。
価格や機能からはオーディオとしてハイエンドモデルと言えるが、Nothingスマホと一緒に持ち出して「プレミアムな日常」を楽しむライフスタイル提案的な要素も持ち合わせている。
Hi-Fiファンにもおすすめ。フラグシップモデルに相応しいサウンド
試聴はスマートフォン「Nothing Phone (3)」と組み合わせ、LDAC接続で主にハイレゾファイル再生を行った。
まずはイコライザー系機能をオフにした状態で本機の基本音質性能をチェック。筆者がリファレンスとしているSusan Wongの「How Deep is Your Love」(96kHz/24bit、FLAC)は、しっとりと落ち着いた雰囲気を濃厚かつ滑らかに表現。持てる高解像度性能を誇示せず、音楽性の高い表現はKEFのサポートを感じる部分で、本物を知るハイファイファンの感覚にも適うだろう。
本機は40mmと大口径のカスタムダイナミックドライバーを採用しているが、歪を感じないナチュラルな押し出し感も心地よい。「ベースエンハンス」と呼ぶ低域増強機能があり、5段階で調整が可能なので、好みに合わせて調整すれば、そうしたアドバンテージをより多く享受できるはずだ。
EQは手動調整のほかに、専門家のプロファイルが利用可能なのも面白い。これはCMF Headphone Proには無い機能。本機は基本音質に優れ、多彩な機能とKEFのチューニングにより、リスニング体験を昇華。同社が満を持して送り出したフラッグシップモデルに相応しい格を備えている。
「CMF Headphone Pro」〜ファッション性と長寿命が魅力〜
外観は各所に丸みを感じるポップな雰囲気。「CMF by Nothing」ブランドのスマホやスマートウォッチとのコーディネイトを主眼に置いていると考えられるが、個性はやや薄めで抽象的な雰囲気があり、Nothing Phone以外との組み合わせも想定した製品と読み取れる。
一方、イヤーパッドは別途販売されていて、消耗品の交換用というよりは、異なるカラーを組み合わせてコーディネイトを楽しもうという提案。こうした根底に流れる遊び心に、「やはりNothing」と思える共通項を見いだせる。
ANCはハイブリッドタイプ。-40dBを謳う実力派で、ANCオンの状態でも最長50時間再生できるバッテリー性能が自慢。ANCオフでは同100時間とHeadphone (1)よりも長く、フライトのような長時間の連続利用ほか、日常でも充電の頻度を少なくできるメリットが得られる。
ほか、通話時のマイクノイズリダクションも3基のマイクを利用する本格仕様で、日常のヘッドセットとして頼もしい機能と性能を備える。手に届きやすい価格設定でありながら、随所に「Nothing」のエッセンスが感じられ、ヘッドホンを装着している時間を愉しみに変えてくれる1台。毎日繰り返す通勤や通学などの日常を、少し楽しく飾ってくれるに違いない。
