国内初導入のTCL「A1s」「C1」はコンパクトプロジェクターでハイクラスの画質・音質を誇る
285°の角度調整が可能なジンバルスタンド一体型モデル
続いてC1を見ていこう。こちらはA1sに近いスペックや使い心地のプロジェクターを、より手頃な価格で求めるユーザーに向けて最適化されたモデルと言える。
扱いやすいサイズ感やフルHD/HDR対応という基本要素は維持しつつ、クオリティとプライスのバランスを調整。液晶デバイスは3.0型、明るさ230ルーメン(ISO)、スピーカー周りではパッシブラジエーターによる低音増強は非搭載と、A1sと比べればやや控えめのスペックにはなっている。
高透過率レンズに3色LED光源、TrueHueテクノロジーや光学経路の密閉防塵化といった特徴的な要素も省かれていない。機能性や操作性の面も、天板タッチボタンこそ非搭載だが、その他はA1sとほぼ変わらない。
加えて、285°の仰角調整が可能なジンバルスタンドが一体になっている筐体はC1独自の特徴。天井投影にも興味ありというユーザーには、C1がさらに魅力的にみえるだろう。


上位機種の落ち着いた画作りを踏襲し、人物の表情と動きに意識が集まる
ドラマ『グラスハート』(Netflix)は、日差しの眩しさや顔の白さ、シンバルの輝きなどにおいては、輝度の低さを感じる部分はある。であるが、派手な演出に頼らない堅実な画作りの方向性はA1sと共通。どの場面でも画面全体がうるさくなることがないおかげで視聴時の意識が人物の表情や動きに自然と集まるのは、A1sとC1に共通の特長だ。
違いを挙げるとすれば色表現で、本機は赤をやや強めに出す。夕陽のオレンジ味が増し、場面の温度感が少し高まっていた。ここは好みが分かれるかもだが、詳細設定での調整も可能だ。
映画『シティーハンター』(Netflix)を視聴すると、映像面においては、マズルフラッシュなど部分的な輝度の不足こそ感じられるが、全体的にはA1sにかなり近い。落ち着いた画作りを好む方ならこちらでもぜんぜん満足できそう。しかし音響面ではA1sと比べると音の広がりも低音の響きも少し差が出てくる。
音楽ライブ『YOASOBI「アイドル」2023.6.4@さいたまスーパーアリーナ』(YouTube)は、レーザー演出の鮮烈さは出し切れないが、A1sと比べなければ大きな不満を覚えるほどではない。落ち着いた画作りとの相性がよいアコースティック系など穏やかな雰囲気のステージであれば、A1sとの差はさらに縮まりそうだ。好みの音楽ジャンル次第では「C1で十分!」となるかも。
堅実で自然な落ち着きのある画作り。輝度の違いとスピーカーの音質が選ぶポイントになる
両モデル共通の持ち味は画作りの堅実さだ。ぱっと見ですぐ「キレイ!」となるようなインパクト重視の画作りではなく、作品を通して視聴し終えてから「うん、よかった」とより深く頷けるのは、こういった落ち着きがあり自然な画作りの方だろう。日常的に様々なコンテンツを視聴するのにも目が疲れにくそうだ。
両機の違いとしては、輝度に余裕のあるA1sの方がやはり、落ち着きの中でのアクセントやメリハリ、コントラスト表現は冴える。明るめの部屋環境での視聴が想定される場合も、投影の明るさを確保しやすいA1sの方が安心だろう。内蔵スピーカーを使用する見込みの場合も、そのクオリティがより高いA1sが優位。
ほか細かなところでは、A1sは排熱設計が優秀なのか、ファンの稼働音や排気の熱があまり目立たなかった。自分のすぐ手前に置くような設置が想定される場合はA1sの方が快適かもしれない。
実際のところは、シンプルに「予算に余裕があればA1s、コストを抑えたいならC1」という選び方でも全く問題ない。予算に合わせて選ぶ。それだけで大きな満足を得られるはずだ。最初に述べたように両モデルは、TCLプロジェクター参入の初手にして、プロジェクター市場のド真ん中で通用する力を備えているのだから。
(提供:株式会社TCL JAPAN ELECTRONICS)
