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PR自社開発の透過型液晶デバイスで自然で落ち着いた色合いの映像表現

国内初導入のTCL「A1s」「C1」はコンパクトプロジェクターでハイクラスの画質・音質を誇る

公開日 2025/09/06 06:30 高橋 敦
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グローバルのテレビ市場でトップクラスのシェアを誇るTCLが遂にプロジェクターにも参入した。しかもその先発のモデル群として投入された2機種「PROJECTOR A1s」(以下、A1s)と「PROJECTOR C1」(以下、C1)の内容に様子見感は一切ない。

可搬性も確保したコンパクトボディとフルHD/HDRというスペックに、Google TV搭載で主要のVODサービスに標準対応。映像デバイスにLCD(透過型液晶)を採用しているが、TCLグループ内にあるTCL CSOTが製造を担当するという、自社開発デバイスが投入されていることも注目だ。

TCLグループのTCL CSOTが製造する自社開発の透過型液晶デバイスを採用している

そして、両モデルとも価格はオープンだが、A1sは税込56,990円前後、C1は税込35,990円前後という手が届きやすい価格帯であり、現在のエントリークラスのプロジェクターとして、しっかりとボリュームゾーンに打ち出してきた。

カジュアルにプロジェクターを楽しみたいユーザーに刺さる、コンパクトプロジェクターカテゴリーの“ド真ん中”に、TCLが培ってきた開発力や企画力を全力投球してきたのだ。それは同社がプロジェクターでもトップブランドを狙う、そのための“ド真ん中勝負”なのだろう。

A1sとC1は、同社初のプロジェクターながらも、その“ド真ん中”で十分に通用するだけの競争力が与えられている、初手にして勝負手モデル。本稿では両モデルの特徴と実力を紹介していこう。

プロジェクターの実機を用いて画質・音質チェックも実施した

独自技術「TrueHueテクノロジー」で映像を最適化する高画質技術を搭載

「PROJECTOR A1s」

A1sの映像力の源たる4.45型・透過型液晶デバイスは、TCLグループのディスプレイパネルメーカー「TCL CSOT」が開発し供給。それに3色LED光源と高透過率レンズを組み合わせ、600ルーメン(ISO)の明るさで映像の土台を作り上げている。

A1sのレンズ部。デバイスは4.4型・透過型液晶を採用している

そこから映像要素をフレームごとに最適化する独自技術「TrueHueテクノロジー」による調整などを経て、最終的な映像がアウトプットされる流れだ。光学経路の防塵密閉化による耐久性確保も長期使用を見据えると嬉しいポイント。

内蔵スピーカーは、定格出力は左右各8Wの計16Wだが、瞬間最大出力は余裕の85W。低音増強機構パッシブラジエーターも搭載されており、小型プロジェクターとしては特筆に値する75Hz付近までの低音再生能力を有している。

プロジェクターの左右に8W出力のフルレンジスピーカーを1基ずつ内蔵している

角度調整対応のハンドル/スタンドと設置性を高めるオート機能を多数投入

設置面積はA5判より一回り小さい約19cm×13cm程度。置き場所も収納場所も確保しやすい。デザイン面でのアクセントにもなっている天面側ハンドルと底面側スタンドは実は仰角調整機構も兼ねている。内部でつながっているハンドル/スタンドのパイプを底面側に長く引き出すことで、最大15°の仰角を持たせることができる仕組みだ。

本体にはメタル素材のハンドルが導入されている

本体上部に突出しているハンドル部を本体下部に下げていくことで、投写映像に角度を付けることができる

そして設置して電源を入れれば、オートフォーカス、自動台形補正に自動スクリーンフィット、障害物回避機能が働き、一定レベルの視聴環境がすぐさま完成。そこから手動でさらに追い込むことも当然できる。加えて本体天面にも、シンプル&フラットな筐体に合っているタッチセンサー式の操作ボタンも用意する。

プロジェクターの本体前面には投写距離などを感知するセンサーを備えている

操作画面はGoogle TV機として標準的で、癖がなく使いやすい。リモコンにはYouTube/Netflix/Prime Videoのダイレクトボタンを用意。内蔵マイクによる音声操作も可能だ。使い勝手においても現在のプロジェクターのトレンドを完璧にカバーしている。

A1sの背面端子部。HDMI×1基、USB Type-A×1、ステレオミニ×1基を装備

自然なコントラストの落ち着いた色合い、余裕のある輝度表現も特徴的

A1sの画質と音質を暗室でチェックした

では、音元出版視聴室にて画質・音質をチェック。映像モードは主に「映画(HDR10)」、音声モードはひと通り確認して「映画」をリファレンスとした。

ドラマ『グラスハート』(Netflix)を視聴してみると、冒頭の野外フェスの場面は、まず強い日差しの再現が求められ、急な豪雨となってからは暗い光景の描写力が求められるという、映像機器にとってもハードな展開。

映像モードは、標準/鮮明/映画/ゲーム/カスタムのモードを用意。HDRフォーマットが入力された際は、HDR専用のモードに切り替わる

本機はその輝度の余裕で日差しの再現もこなしてくれたが、より見事な表現を見せてくれたのは豪雨となってから。黒衣のフードから覗く不健康そうな白い顔や、雨に打たれるシンバルの輝きなど、白や光の存在感が際立った。全体の暗さとそれらとのコントラストのおかげで場面全体もビシッと決まっていた印象だ。

また夕陽が差し込む室内の場面にて、夕陽のオレンジを強く出しすぎず、落ち着いた色合いで表現してくれたことも好ましく感じられた。

メニュー画面からは、設置性を高める機能である「自動台形補正」や「オートフォーカス」、「自動スクリーンフィット」やデジタルズームなどの調整が可能

「自動スクリーンフィット」機能では、投写するスクリーンサイズを自動で判別して最適な投写サイズに調整してくれる

音の広がりや低音の響きまでしっかりと感じられる満足度の高い音質も成す

映画『シティーハンター』(Netflix)では、薄暗い地下空間での銃撃戦のシーン。銃口からほとばしるマズルフラッシュの鮮烈さなど映像面にも満足させられたが、音声再生の充実にはさらに強く満足。音の広がりや低音の響きまでしっかりと感じられ、アクションシーンの派手さやスケール感を損なうことがなかった。このサイズ感のプロジェクターの内蔵スピーカーとしてはかなりハイレベルだ。

音声モードは、AIオーディオ/スタンダード/映画/音楽/スポーツ/カスタムから選択できる

音楽ライブ『YOASOBI「アイドル」2023.6.4@さいたまスーパーアリーナ』(YouTube)は、レーザー演出の眩さ、暗い中に浮かび上がる蛍光ホワイト的な衣装など、ライブ演出の再現においても輝度の余裕を発揮。音モードは意外と[音楽]モードより[映画]モードの方が、大会場ライブらしいスケール感を演出してくれて好感触だった。音声モードの柔軟な選択も本機の使いこなしポイントになりそうだ。

投写面にある障害物などを避けて映像を映し出すことができる「障害物回避」機能も標準で装備

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