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PRイヤホン/ヘッドホンどちらの個性も引き出す

驚異的なハイコスパ!TOPPING「DX5 II」はワンランク上を行く「5万円切りデスクトップUSB-DAC」だ

公開日 2025/07/23 06:30 岩井 喬
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前モデルDX5は超低ノイズ・低歪なアンプ回路「NFCA(Nested Feedback Composite Amplifier)」を採用し、32Ω負荷で1700mW×2の出力を達成していた。これに対しDX5 IIはNFCAに代わる新技術、ハイブリッドヘッドホンアンプ回路「X-Hybrid Headphone AMP Circuit」を採用。

DX5 IIが搭載する「X-Hybrid Headphone AMP Circuit」

このX-Hybrid回路はディスクリート入力段やディスクリート出力段、オペアンプの3段ステージで構成されており、NFCAのメリットでもあった超低ノイズ、低歪、高ダイナミックレンジといった特徴を継承しつつ、回路構成を最適化することで、アイドル状態の消費電力と発熱を効果的に抑制。回路全体の電源効率を大きく向上しているという。

DX5ではヘッドホンアンプはシングルエンド構成であったそうだが、DX5 IIではフルバランス構成となったことに加え、X-Hybrid回路の効果もあり、32Ω負荷で6400mW×2、16Ω負荷では7600mW×2もの大出力を実現。2段階のゲイン切り替えも備えており、高感度なIEMから、鳴らし難い平面駆動型ヘッドホンまで、本機のみで十分に駆動できる。ヘッドホン出力は6.3mmのシングルエンド出力と、4ピンXLRおよび4.4mmのバランス出力を搭載。

6.3mmシングルエンド、4.4mmバランス、4pin XLRの3系統のヘッドホン出力。X-Hybrid回路と合わせ、感度の高いイヤモニからアンプパワーの要る大型ヘッドホンまで適切に駆動する

機能面ではシンプルかつスピーディーなレスポンスを実現する「Aurora UI」を採用したこともトピックだ。2.0型カラーディスプレイを備え、3つの物理ボタンとボリュームホイールによる直感的な操作が可能であり、複数のプロファイルを保存できる10バンドのパラメトリックEQも用意されている。ディスプレイ表示もFFT(高速フーリエ変換)やアナログVUメーター調に切り替えることも可能だ。

ディスプレイ右に3つのボタンとホイールを装備。ホイールは押し込むことが可能で、メニュー画面の項目選択などに使用する。長押しするとスタンバイ状態に

 

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発色のよいディスプレイを活かした「Aurora UI」で、サンプリングレートやメニュー画面などの文字情報もクッキリ表示。また音量や再生周波数をメーター表示して、音楽を視覚的に楽しむことができる

デジタル入力はUSBの他、S/PDIF同軸、光の3系統を用意。アナログ出力は出力レベル固定/可変の切り替えが可能なRCAラインとバランスXLRラインの2系統を備えており、出力固定の単体DACとして使えるだけでなく、レベル可変を生かしたプリ出力機能によって本機から直接アクティブスピーカーへ繋いで楽しむこともできる。

本体背面。光/同軸デジタル入力や、スピーカーやアンプと接続できるアナログ出力、付属のBluetoothアンテナの接続端子などを備える

そして電源はAC100Vを直接入力できるIECコネクターを備えており、将来的にオーディオグレードのACケーブルへの交換も可能だ。スイッチング方式と推察するが、AC直結によるロスなく潤沢な電源供給能力も支えとなり、X-Hybrid回路での安定的な大出力を実現しているのだろう。この他、対応機器間での連動を実現する12Vトリガー端子も装備。デスクトップ用途であっても重宝するリモコンが同梱されていることも評価できるポイントだ。

リモコンも付属。デスクの奥まった場所に設置しても操作に困らない

「DX5 II」音質レビュー:
イヤホンもヘッドホンも卒なく、ありのままナチュラルに鳴らす

試聴はイヤホンにビクター「HA-FW10000」、ヘッドホンにSHANLING(シャンリン)初の本格的な平面駆動型ヘッドホン「HW600」を用意。いずれも4.4mmバランス出力で接続した。音源はUSB接続したハイレゾDAP、Astell&Kern「A&ultima SP3000」から再生。

まずFW10000のイヤホン再生では分離良くフォーカスの整った、明晰なサウンドを聴かせてくれる。オーケストラの管弦楽器は輪郭のエッジを適度に感じさせる、クリアでダンピングの効いた表現を楽しめた。ローエンドの弾力も良く、ハーモニーの余韻は爽やかに広がる。楽器の定位も明確で、空間表現力は高い。

特に384kHz音源であるクラシックの秋山和慶:指揮/日本センチュリー交響楽団『チャイコフスキー:交響曲第4番』の第4楽章では、音場の透明感が高く、ステレオワンポイント収録ならではのシームレスな空間性を実感。管弦楽器のハリ、分離感も良く、金管パートやシンバルの響きの鮮やかさ、太鼓のアタックのキレも十分に表現できている。11.2MHz音源でもピアノの涼やかさ、凛としたボーカルの芯の強さを感じられ、音像と余韻それぞれの描き分け、ボディ感の自然さも聴き取ることができた。

ロック音源のTOTO『TAMBU』収録「Gift Of Faith」は大口径キックドラムのエアー感を出しつつ、アタックを引き締めており、跳ね良いベースを含め、輪郭の滲みがない。ボーカルはハリ良くスマートで、シャープに際立つエレキギターはニュアンス細やかに描き切る。ハイレゾ音源ならではの情報量の多さ、解像度の高さを引き出しながらも、自然な低域方向の伸びも感じさせ、硬くならない音調のしなやかさを実感した。

続いてHW600でもチェック。HW600は厚み8μm、110mm×86mm口径の楕円形状ポリエステル平面ダイアフラムを片面7本の棒状ネオジウムマグネットで挟み込んだ構造を持ち、インピーダンスは30Ω、感度は104dBと、スペック上は比較的鳴らしやすい数値である。

SHANLING「HW600」予想実売価格:税込175,230円前後

実際に鳴らし始めると駆動力が求められる印象であり、ボリューム位置も上がるため、ゲインはHighを選択。俄然余裕のある押し出しの良いサウンドとなった。

音像は有機的な厚みを持ち、質感は滑らかで耳当たり良い。オーケストラの余韻は幾分ウォームな響きとなるが、太鼓の響きの豊かさ、管弦楽器の旋律のきめ細やかさをバランス良く両立。ポップスのボーカルは肉付きよくナチュラルで、口元の輪郭は艶良く明瞭に描かれている。

ジャズは『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』に収録されている「届かない恋」を試聴。ホーンセクションはハリ良くシャープな浮き立ちで、ピアノのほぐれ良いハーモニクスは伸び良くナチュラルだ。ウッドベースやキックドラムのアタックはみっちりとした密度の高さと、倍音の艶感を伴ったメリハリ良い描写である。シンバルの響きは優しいタッチであり、余韻の粒も細かい。

ロックはTOTO「Gift Of Faith」の大口径キックドラムやベースを厚み良く表現。アタックのニュアンスは細かく丁寧に描き出す。エレキギターのピッキングは粒立ち良く滑らかにまとめ、きつさがない。パワーコードのコシも太く、低重心な響きが安定感を生む。ボーカルは口元の動きをシャープに聴かせるが、コーラスを含め、ボディの厚みも適度に持たせ、落ち着きあるサウンドとしている。

繊細なイヤホンからパワーの要るヘッドホンまで卒なく鳴らし、機材や音源の個性をありのまま楽しめる

DX5 IIのDACとしての素性の良さ、癖のないニュートラルな表現力は、イヤホンやヘッドホンの持つ個性をダイレクトに引き出し、音源の持つ細やかな情報をロスなく伝えてくれる印象を持った。

その実力の高さはもうワンランク上を行くクオリティであり、コンパクトな筐体に似合わない機能性の高さも併せ、驚異的なハイコストパフォーマンスを有している。DX5 IIはリーズナブルでありながら本格的なサウンドを聴かせるUSB-DACの新定番として、市場を沸かせる存在となるであろう。


(協力:MUSIN)

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