限界を超えた高みへ到達。オーディオテクニカの新旗艦完全ワイヤレス「ATH-TWX9MK2」速攻レビュー
オーディオテクニカが約3年ぶりにプレミアムクラスのワイヤレスイヤホンを刷新する。ポータブルオーディオのサウンド、そして使い心地の良さにはまだ超えるべき限界があったことを気が付かせてくれる、新たなフラグシップ「ATH-TWX9MK2」だ。
2022年に発売された先代機「ATH-TWX9」は、バランスの良いサウンドと、質の高い静寂で包み込むアクティブノイズキャンセリング(ANC)、そして「Connect」アプリに画期的な機能をいくつも盛り込んだ “ぜんぶ入り” のワイヤレスイヤホンだった。
その後、2023年にはそのコンセプトを受け継いだ弟妹機「ATH-TWX7」も誕生。コミュニケーションデバイスとして活用することも想定した両機は、そのハンズフリー通話性能の高さも多くのユーザーから認められている。
ATH-TWX9MK2は、先代機から基本的な技術と設計を継承しながら、基幹要素から細部に至るまで丁寧にブラッシュアップしたオーディオテクニカによる究極のワイヤレスイヤホンだ。本稿では、その贅沢なサウンド体験を中心に、本機の実力を深掘りしたい。

ハード面での使いやすさをそのままに、ユーザビリティを細やかに強化
音質評価の前にプロダクトデザインの魅力にも触れておこう。本機は先代機同様のステム(スティック)デザインを採用。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色を用意し、どちらも本体のメインカラーを充電ケースに合わせ、初代とATH-TWX7でも好評を得たマット塗装で質感を仕上げている。
また、ブラックにはグロスダークライラック、ホワイトにはシャンパンゴールドがコンビカラーとして組み合わせられており、外観を華やかに演出。マット塗装部分は指で触れると適度なグリップがあり、イヤホンのリモコンを操作したり、ケースから取り出す際にも安心して扱える。


リモコンは本体側面のセンサーとステム(スティック)の部分に配置したボタンの両方を使う。音量のアップダウン、ANCとヒアスルーの切り替えなど、それぞれの操作がタッチセンサーとボタンに分けて配置されている方が覚えやすく、またミスタッチによる誤操作も防げると筆者は試しながら感じた。もしキーアサインが覚えにくければConnectアプリから設定を自由に変更できる。

オーディオテクニカのワイヤレスイヤホンは、いずれのモデルも接続性能がとても安定していて信頼度が高い。筆者も長くATH-TWX7を使ってきたが、iPhoneやAndroidスマホ、PCを問わず、イヤホンを起動してからとてもスムーズにペアリングしたデバイスとつながる。
本機を複数のデバイスにマルチポイント機能で接続している間は、現在つながっているデバイスをConnectアプリの表示から識別したり、「接続機器の管理」設定からステータスを常時確認できる。ワイヤレスオーディオのマルチポイント機能を可視化して、ここまでわかりやすく、使いやすくしたイヤホンは他にあまり類を見ない。

本機には独自開発のコンフォートフィットイヤーピースが同梱されている。イヤーピースの導管と傘の部分に異なる硬度のシリコンを使い、フィット感とノイズキャンセリング効果の向上に貢献する。導管の長さもショート/スタンダード/ロングの3種類に分かれている。
同梱のイヤーピースは交換することによってサウンドにバラツキが出ないように設計されているので、あとはフィット感と遮音効果を吟味しながら自分に合うものを選べばいい。筆者は両耳ともにスタンダードのラージを選択した。

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