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<特別対談>オーディオ評論家が語る“推し”アルバム。ティアック「701シリーズ」で魅力を検証!

公開日 2023/04/04 06:30 土方久明/生形三郎 構成:ファイルウェブオーディオ編集部
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「今のヒットチャートから音源を持ってこないと若い音楽ファンがついてこない!」



ーーそれでは早速1曲目からそれぞれプレゼンテーションしていただきましょう。まずは土方さんから。

土方 ヒットチャートを毎日追いかけている人間として、いまのオーディオ業界に言いたいことがあります! マニアックな音源もいいんだけど、やっぱり僕の感覚としては、今のヒットチャートから音源を持ってこないと若い音楽ファンはオーディオに入ってきませんよ! ということで今回はテイラー・スウィフトから。アメリカのシンガーソングライターで、昨年発売になった『Midnights』は10作目のアルバムです。その1曲目の「Lavender Haze」を持ってきました。

テイラー・スウィフト『Midnights』(FLAC 48kHz/24bit)

聴きどころに関しては、凝った音作りと低域です。もともとカントリーをバックボーンに持つアーティストで、下のレンジはかなり広く取っていますが、上はナチュラルテイスト。それから、逆位相を使って独特のステージングを作っているところなど、今の音作りの特徴が非常によくわかります。

「ヒットチャートから音楽を持ってこないと若い音楽ファンはオーディオに入ってきません!」主張する土方氏

ーー続けて生形さんからもお願いします。

生形 いまの土方さんのプレゼンを受けて、私はレッド・ホット・チリ・ペッパーズから「Black Summer」を持ってきました。ジョン・フルシアンテが戻ってきたことでも話題のアルバム『Unlimited Love』ですが、ハイレゾだけではなくこれはアナログ盤もリファレンスとしてよく聴きました。僕は中学校の時バンドでドラムをやっていたんですが、実はレッチリのカバーもよくやっていました。中坊のクセにチャド・スミスのマネをしようと頑張って(笑)

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『Unlimited Love』(FLAC 44.1kHz/24bit)

実は最近のレッチリのアルバム、すごく音が良くなっているんです。以前あるインタビューで、レコーディングはアナログ録音をするようになったと話していて、それも理由の一つかなと思っています。

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土方 レッチリ、めっちゃくちゃいいですね! 僕もリファレンスに使っていいですか!(笑)。一つ一つの楽器の存在感があるし、音がナチュラル。オーディオシステムのチェックにはバッチリです! テイラー・スウィフトは作り込みが特徴ですが、これは非常に自然なロック。皆さんにおすすめです!

生形 ベースのフリーによると、おそらくベースはコンプレッサーもリミッターも使っていないそうで、音質にも配慮して作品づくりをおこなっているようです。いま土方さんがおっしゃった通りナチュラル。それでいて味が濃い。アナログ録音のせいなのか、楽器の音に存在感があって、アナログのネガティブな要素はない。もっさり感がなくてすごくいいかなと思っています。

土方 今回のティアックのシステムでは、その音がちゃんと出ているからすごいですね。ちゃんといい音源を持ってきた時に、それをこのシステムはちゃんと出してくれています。逆にテイラー・スウィフトはどうですか?

生形 私は普段あんまり聴かない音楽ですが非常に楽しいというか、気分が上がってすごくいいですね。音響的にも低域の部分やタイトなところが入っていたり、アンチフェイズというか、定位しないパートの音も入っていたりテクニカルなところもあって面白いと思いました。

土方 701シリーズでは僕も初めて聴きましたが、改めてこの曲はレンジ広いなと思いました。今の曲ってシンセでなんでも作れちゃいますが、安いアンプだと再生が難しくて破綻しちゃったりするんですよね。また、フルバランス+デュアルモノ構成というのも効いていて、ステージング的に面白いかなと思いました。

オーディオショウでもヘビーローテーション。録音もこだわりのアルバムをチェック!



生形 それでは次は私から。ボブ・ジェームスの『Feel Like Making Live!』。これも昨年流行りましたね〜。スタジオレコーディングで、演奏のフィーリングもさすが熟練の技が光ります。またサラウンドでも録られていたり、レコードでも出たりといろんなフォーマットで発売されました。3曲目の「Maputo」。

ボブ・ジェームス『Feel Like Making Live!』(FLAC 96kHz/24bit)

土方 私は女性ヴォーカルを。オーディオショウでもよくかけているのでご存知の方も多いと思いますが、アデルの『30』から「To Be Loved」。聴きどころとしては、イントロのピアノの色彩感に加えて、ヴォーカルの透明感を感じてほしいです。

アデル『30』(FLAC 44.1kHz/24bit)

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土方 「Maputo」、いいですねこれ。音がいいからボリューム上げたくなりますし、広がりがあって気持ちいい。特にボブ・ジェームスのピアノはなめらかで色艶があって、でもドラムはカチンってした硬質感もある。その対比の聴かせ方や透明感は素晴らしいですね。

生形 今おっしゃっていた特徴は、まさにこのティアックのシステムの特徴が出ていると思います。すごくなめらかで気持ちいい。ディスクリートDACの魅力というか、甘味がギュッと滴るスイートな感じがあります。アデルも、透明でありつつ甘く密度感がありますね。

透明感や楽器の質感の違いの描き分けはUD-701N(上)のディスクリートDACの魅力の一つ

ーーちなみに私もボブ・ジェームスはリファレンスでよく聴きましたが、このアルバムにはエレピとアコースティックと両方使っているんです。そのニュアンスの違いがしっかり出てくるか? というのもよくチェックポイントにしていました。

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