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【特別企画】“弟クラス”に留まらない完成度

幅広いマニアに推奨したい、オーディオテクニカの新ケーブル「FLUAT 500シリーズ」をチェック!

公開日 2022/10/28 06:30 炭山アキラ
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速度感を描き出すRCA、安定感ある出音のXLR。方向性の違いに注目



試聴室にあたってはリファレンスとして700シリーズを聴き、順次500シリーズへ挿し替えて音を聴き比べた。

700シリーズをリファレンスにした比較試聴も実施

RCAのインターコネクトから試聴したが、クラシックはアコースティックな響きがよく出る、ある種素朴な質感の音という第一印象だ。700よりももちろんf/Dレンジとも広くはないが、帯域内を徹底して自然な表現に調音したことによる美点ということができるのではないか。

音場は奥行き方向がやや狭まるが、そもそも500が音場よりも音像を重視した開発だというし、前述の通りオケの音像はオーガニックのシャツを思わせる自然さが味わえたから、想定通りのバランスで音が出ているのであろう。

RCAケーブル「AT-IC500R」0.7m:24,200円(以下全て税込)/1.3m:26,400円/2.0m:28,600円

ジャズはスピード感と立ち上がりがひとかどのレベルで、試聴音源はとてつもなくパルシブでハイスピードなものだったのだが、それを存分に描き出したのには思わず拍手したくなった。ローエンドこそわずかに軽くなるが、それを補って余りあるハイスピード・サウンドが快い。

続いてXLRモデルを聴く。クラシックもジャズもRCAよりややどっしりと太く安定した印象の音で、スピード感は若干RCAに譲るが、この持ち味もなかなかのものだ。同じく700と比べてもいくらか力感が下がり、低域が少し緩くなる傾向はあるものの、約半額という価格を鑑みれば、かなり近い線を狙えているのではないかとすら感じさせる。上級モデルに比べてどうしてもリソースが限られる分、表現できる幅の内側をしっかりまとめてあるという印象だ。

XLRケーブル「AT-IC500X」0.7m:27,500円(以下全て税込)/1.3m:29,700円/2.0m:31,900円

RCAとは少しキャラクターこそ違うが実力はほぼ同等。あなたのシステムがどちらも接続できるのであれば、表現の方向性の違いを生かしたチューニングが可能になるのではないかと思う。

「相当の上物」高い表現力を持ち合わせた電源ケーブル



最後は電源ケーブルだが、これはインターコネクト2機種といささか様相が違った。500シリーズのインターコネクトは多かれ少なかれ “700のジュニア版” というイメージが色濃かったのに対して、AT-AC500はっきり独立した製品という印象が強い。

電源ケーブル「AT-AC500」0.7m:19,800円(以下全て税込)/1.3m:23,100円/2.0m:27,500円

クラシックは音が生き生きと伸び、f/Dレンジともかなり広く、音場も広大に広がる。価格帯としては常識を大幅に裏切る好印象だ。一因として、ノンシールド構成の良さが現れているのではないだろうか? もっとも、これは私自身がノンシールドのケーブルを好むという要素が大きいのかもしれないが。

ジャズは全体に軽く雑味も乗るが、演奏空間全体に魂を吹き込んだような生き生きとした表現は大いに買える。低域の量感もしっかりと表現、それでいて不用意に膨らまないのが好ましい。音楽を聴いていて本当に楽しいケーブルである。ごく簡素な構成のようでいてこのケーブル、相当の上物といってよい。

昨今は電源ケーブルを自作しようと思っても、ちょっといいケーブル部と両端プラグを購入しようとすると、あっという間に数万円ということになってしまいがちだ。ましてメーカー製の完成品ケーブルともなると、切り売りの比ではない価格となることも珍しくない。

試聴に際して電源ケーブル「AT-AC500」は2本使用した

そんな中、自作では実現の極めて難しい内部まで制振材がぎっしりと詰まった両端プラグというアドバンテージを持つ、メーカー製完成品ケーブルでありながらこの価格で、なおかつこれほどの表現力を持ち合わせているのだから、コストパフォーマンスはとてつもなく優れている。

高く評価した電源ケーブルのみならず、限られたリソースで700シリーズの方向性に追従しているインターコネクトケーブル2種を含めたFLUATの500シリーズ。価格帯どうこうではなく、幅広いオーディオマニアにぜひ試してもらいたい製品である。

(企画協力:オーディオテクニカ)

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