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PRコルグの配信システムでオーディオイベントをネット配信

「Live Extreme」が「OTOTEN」と邂逅。“音がいい生中継配信”の裏側をレポート!

公開日 2022/07/29 13:00 編集部:小野佳希
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今回のOTOTENでは、スピーカーでの再生を想定したステレオ音声と、ヘッドホン再生を想定したバイノーラル録音音声を用意。それぞれに48kHz/24bitと96kHz/24bitで配信し、合計4種類から選べるようにしていた。

OTOTENの配信では4種類の音声を用意

Live Extremeでステレオとバイノーラルを同時配信するのは初の試みだとのこと。過去にはアーティストのコメンタリー配信も行っており、画質音質を変えた配信だけでなく様々な活用方法があることも特徴のひとつだ。

会場で収録した音と映像をミックスし別室のLive Extreme用PCに送信

編集部記者も実際に体験させてもらったが、なるほどたしかにバイノーラル音声は非常にリアルで生々しい。会場の空気感をしっかりと感じ取れた。

また、視聴中にステレオ/バイノーラルやビットレートを変更しても、信号が切り替わる瞬間にプツっと音が一瞬途切れるようなことがない。ストレスを一切感じることなくコンテンツを楽しめるというのは、当たり前のようだが実は重要なポイントであるように思う。

さらに言えば、Live Extremeを採用した配信はウェブブラウザ経由で視聴可能なため、専用のアプリをPCやスマートフォンにインストールする必要がない。今回のOTOTENセミナーのような、スポット的な配信を見るためにわざわざアプリをインストールするというのは心理的な壁も高くなってしまう。そういう意味でもLive Extremeは魅力的だ。

ほぼすべてのOS、ほぼすべてのブラウザでの再生に対応

なお、スマートフォンではAndroid/iOSの制約上、ブラウザでの視聴はロスレスまでの対応になる。ハイレゾ対応は専用アプリの開発が必要になるが、その場合は配信サービス業者に対してコルグが技術支援してくれるとのことだ。また、Android OSを採用したポータブルプレーヤーの一部で、PC同様にブラウザからハイレゾ視聴が可能なモデルもある。この点については以前の高橋 敦氏の記事も参照してもらえればと思う。

配信サービス業者にも魅力的なポイント多数。360 Reality Audioにも対応可能



OTOTENの配信では、スピーカーから出た音をマイクで拾う “空気録音” を実施。ステレオ配信用にスピーカーの前にマイクを立てたほか、バイノーラル録音用のマイクをORTF式のセッティングで客席そばのいわゆるスイートスポット付近に設置。会場でミックスしてリアルタイム配信するという手法が採られた。

空気録音で講演や楽曲再生デモの音を収録

バイノーラル録音も実施

OTOTEN配信のコルグ担当者は、「空気録音した音を視聴者がスピーカーで再生する場合、部屋の残響音を多く含んだ配信を聴くことになります。これだとスピーカーや機器の音を純粋には評価しにくい側面があるのではないでしょうか。また、ヘッドホン用のミックスをスピーカーで聴いた時の違和感も感じていました」とコメント。「Live Extremeの場合は、複数のミックスを配信できますので、まずは、スピーカー用、ヘッドホン用両方の配信を同時に実施することになったんです」と、今回の手法に至った背景を説明する。

OTOTEN音声部回線図

そして、「今回はソニーさんからハイレゾ帯域まで収録できるマイクロフォンをお借りできたので、同社の『ECM 100U』を8本を使用したORTF 3D方式によるマイキングでヘッドホン用のイマーシブミックスを作りました」と説明。「また、『ECM 100 NMP』はなるべく部屋の残響を受けないようにオンマイクでセッティングをおこない、さらに左右のタイムアライメント調整も施しました」と、可能なかぎりスピーカーからの出音そのものを配信できるようこだわったのだと説明してくれた。

次ページLive Extreme採用の配信サービス増加に期待。今後がますます楽しみ

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