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音楽の喜びを存分に引き出す。究極のオーディオラック「グランドタワー」を徹底解剖

公開日 2022/02/21 06:35 林 正儀/井上千岳/生形三郎/鈴木 裕/炭山アキラ/福田雅光
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■エネルギーの損失が少なく本来の音質がストレートに発揮される(井上)

フレームに使っているチタンパイプの構造を見ると、これがただのラックでないことがよく分かる。パイプの中身は中空ではなく、緻密に計算された様々なものが詰まって制振と吸音をこれでもかというほど確実にしているのだ。またジョイント部も鋳造ではなく切削である。A7075という極めて硬質なアルミ合金を、こうした複雑な形状にくり抜くのがいかに大変なことか。通り一遍の剛体構造とは幾つも次元の違うような制作工程には、ちょっと気の遠くなるような思いがしたものである。

ここに置かれたコンポーネントからは、エネルギーの損失が非常に少ない。同時に余分な響きからも解放されて、本来の音質がストレートに発揮されるのである。

ピアノはまさしくコンサートグランドらしい芯の太さと華麗な音色の変化を備えているし、室内楽では弦楽器の瑞々しさと粘りの強さがどちらもたっぷりしている。そしてオーケストラの壮麗で峻烈なフォルテが耳を奪う。ダイナミズムの幅が広いのだ。鮮やかさと力感。対極的な要素を真正面から捉えて、正しい音を立ち上げる。

■静けさや透明度に驚くばかり。音楽本来の軽やかさに満ちた表現が快い(生形)

アンダンテラルゴから新たに登場した「グランドタワー」は、同社グラン・ソロの多段仕様となるオーディオラックだ。グラン・ソロ同様に、超々ジュラルミンA7075削り出しによるコーナージョイントや、φ32mmチタンパイプによって驚異的な高剛性フレームを実現。中段棚板やラック脚部には精密なスパイク構造による徹底した振動対策を実施している。さらに、パイプ内壁には、シリコン多重コーティング処理の実施や羊毛を挿入するほか、同社サイレントマウント・テクノロジーを応用したキャンセルウェイトを内蔵して制振および吸音を行うなど、共鳴抑制も徹底して高音質を追求している。

アンダンテラルゴの試聴室で、今回のグランタワーと同社リジッドタワーとを比較試聴したが、両者には如実な違いが現れていた。リジッドタワー自体かなり高い性能が実現されているのだが、今回のグランタワーは、それを上回る静けさや音の透明度を獲得しており、ただただ驚かされるばかりである。とりわけ、鮮明かつ音楽本来の軽やかさに満ちた表現が快いオーディオラックなのである。

■野生のようなエネルギーで、圧倒的な実在感を引き出す(鈴木)

従来から評価の高かったリジット・サイレンス・シリーズ。モットーとしては「軽量・堅牢・コンパクト・高い静粛性」といったものだが、そこからグラン・ソロ(オーディオテーブル)やグランタワー(多段ラック)への開発はけっこう時間がかかった。完成したものを見るとパイプを太くして、その分、ジョイントのパーツをごっつくしただけのように見える。しかし各部をじっくりと観察しだすと、そのひとつひとつが大きな意味を持っていることに気づかされる。

たとえば超々ジュラルミンA7075から削り出したジョイント部。リジッドシリーズのようにパイプ両端の中に入れこむ形式ではなく、パイプの外側を包み込む設計に変化。そしてその外側に掘られた溝の深さや間隔の問題。ひとつひとつが決定的に大事なのだ。

従来モデルだって音楽そのものを聴ける素晴らしいクオリティだったのに、これらグラン・ソロ、グランタワーに載せ変えただけで野生のようなエネルギーが出てきて、圧倒的な実在感をもたらしてしまう。オーディオの怖さと快楽を体現しているようなラックだ。

■ここまで剛性感豊かで開放的な音を生むラックを私は知らない(炭山)

アンダンテラルゴのラック作りには、揺るぎなきポリシーが感じられる。強度部材の鳴きをしっかりと抑えながら響きを殺さず、機器に由来する振動は速やかに床へと逃がすことで、ラックへコンポーネントを押し込めることによる音へのダメージを極限までゼロへ近づけようというものだと、鈴木 良代表のお話を伺うにつけ、また同社ラックの作りをしげしげと眺めるにつけ、肌で感じることができる。

本作は1段タイプのオーディオテーブル「グラン・ソロ」の発展形というべき多段タイプで、φ32mmのチタンパイプは非常に巧みな防振が内部に施され、嫌な鳴きは一切ないが、音を殺しすぎたつまらない音にもならないという、絶妙のチューニングが施されている。切り欠きの形状がさらに進化し、大半のコンポーネントが設置できる形状を保ちつつ振動が集中する中心を大きく切り抜いた、独創的な棚板も健在だ。もちろんそれらは精密なスパイクで支持されている。

こんなに剛性感豊かで開放的な音を引き出すラックを、他に私は知らない。永遠の憧れというほかない名作である。

■超精密技術の粋を結集。立体感のある描写力に圧倒される(福田)

オーディオラックといえども、最先端で開発している構造や設計は素材の技術、高精度加工など精密な作りに現代の動向を感じる。アンダンテラルゴの最高級ラックの詳細は、知れば知るほど気の遠くなるような世界である。製造は人まかせにできない、という話は別メーカーからも聞いたことがあったが、この精度とこだわりは設計者だけが実現できる。

アンダンテラルゴは超精密技術の粋を集大成したようなラックを製造する。それはオーディオの魅力をより進化させるためである。最先端のオーディオ製品の真価を最高に発揮するオーディオラックは、どのようにあるべきなのか? 機器を支える構造としてボード材や支柱構造の物理的な音質性能を研究し、最高の性能を完成したのが「グランドタワー」ということになる。

その成果はどのようなものなのか? 試聴すると、単にS/Nや解像度が高いというものではないことが理解できる。音の格調が高くクオリティは極めて高い。混濁が少なく純粋であり、立体感のある描写力に圧倒される。ヴォーカル帯域の存在感や遠近感のある表現力、音質的にマイナスになる要素はできるだけ排除して、プラスに作用して、製品の魅力をさらに引き立てているのだ。

(提供:アンダンテラルゴ)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。

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