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【特別企画】グレードが上がるごとに素材やシールドを強化

“ココロが動く”コード・カンパニーのRCAケーブル。エントリーから頂点まで、7グレードの違いを徹底試聴

2021/10/29 鈴木 裕
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英国を代表するケーブルブランドとして、日本でも絶大な人気を誇るコード・カンパニー。前回のスピーカーケーブルに続き、今回は「RCAインターコネクトケーブル」の魅力を紹介する。テスターにはコード・ケーブルのヘビーユーザーでもある鈴木 裕氏が登場。同社のエントリー「C-line」から、頂点の「Chord Music」までを一気に試聴。ランクに応じたそれぞれの魅力を体験する。

テスターの鈴木 裕氏

■考え方や技術がみえる7つのグレードを比較

RCAインターコネクトはそのケーブルメーカーの基本的な考え方や技術が見えてくる。コード・カンパニーの7つのグレードを入門クラスから聴いて、どんな音が聴けるかを簡潔にお伝えしよう。

コード・カンパニーの製品を取り扱うアンダンテラルゴの試聴室にて7モデルのRCAインターコネクトケーブルを比較。LINNのCDプレーヤー「CD12」とKLIMAXプリアンプの間でテストを行った

●「C-line」音の色彩感が魅力的で、好バランスな再現性

「C-line(Cライン)」10,560円 (1.0mペア/税込)

同社はエントリーモデルから、ノイズ対策や、アレイテクノロジー(プラグで発生する信号反射の問題への対策)を採用している。その音は、サウンドステージ的には音像はセンターにまとまり、帯域レンジは超高域も最低域も欲張らない。音の色彩感がきちんとしていて、嫌な音の成分を聴かせない。好バランスにまとめた音のキャラクターだ。

●「Clearway」高域方向の情報量が増大し、音楽を明確に描く

「Clearway(クリアウェイ)」20,900円(1.0mペア/税込)

「C-line」をベースに開発。プラグは接点に銀メッキを施し、線材の圧縮によるインピーダンス変化を防止する形状を採用。シールドも二重になっている。このグレードから英国の本社工場にて職人が手作りで製作している。その音は、低域は程よく締まりつつ押し出しが良く、高域方向の情報量も増えている。エネルギー感や音のテンションが高まり、音楽を明確にくっきり描いてくるキャラクターだ。

●「Shawline」質感表現力が高く、総合的に実体感が強まる

「Shawline(ショウライン)」41,800円(1.0mペア/税込)

接点だけでなく、導体の線材自体にも銀メッキ処理(しかも、特性のいいダイレクトプレーティング)。絶縁材はFEP(フッ素樹脂)を採用している。音の背景が静かになり、録音現場の空間がしっかりと、しかも大きなワクとして見えてくる。位相性能が上がって、前後方向のレイヤーの描き分けや、天井方向の表現も上手。音のしなやかさや、重さや厚みといった質感表現力が高いのも特徴的で、それらが総合して実体感が強まっている。

●「Epic」ハイファイ性能が向上し、帯域レンジも一気に拡大

「Epic(エピック)」85,800円(1.0mペア/税込)

「Shawline」の材質をよりクオリティの高いものに。手に持った感じもしっかりとして、見た目の質感も高い。その音はハイファイ性能が上がり、たとえば音色感の再現の精度や微妙な音量変化(いわゆるデュナーミクの表現)が良くなっている。帯域レンジ的にも低域、高域方向にエクステンド。音のコントラストやテンションがナチュラルなのも特色で、さまざまな音楽に対応できる懐の深さを持っている。

●「Signature」キメ細かく潤いのある音。空間表現がさらに広がる

「Signature Tuned ARAY(シグネチャー チューンド アレイ)」165,000円(1.0mペア/税込)

上位モデルに採用されているプラグを使い、PTFE(いわゆるテフロン)のカバーを装着して接点圧と振動コントロールを行っている。アレイ技術もさらに入念な「チューンドアレイ」だ。その音はS/N感が素晴らしく、音のキメが細かく、潤いがある。サウンドステージはさらに広く、やや手前にも展開。音の出方がていねいで、落ち着いた上質なタッチ。ヴォーカルの表情が見えてくる感じもあり、情緒が濃い表現だ。

●「Sarum T」透明感が向上し、超立体的な音像と空間を再現

「Sarum T(セイラム ティー)」440,000円(1.0mペア/税込)

タイミングの正確性など特別に優れた特性の絶縁材、タイロンを採用。スーパーアレイ技術を投入。銀メッキをかけた接点や線材の表面はポリッシュしている。音の透明感がさらに圧倒的に良くなり、微妙な音色感や微小領域の再現性が向上している。漂うような成分も、グイグイ来るような低音も得意だ。高周波のノイズによって引き起こされる付帯音や音像の癒着がなく、極めて立体的に音像や空間が見えてくる。

●「Chord Music」一段と豊かな色彩感を放ち、ハートに響く力が極上

「Chord Music(コードミュージック)」836,000円(1.0mペア/税込)

絶縁体はタイロン、シールドはさらに厳重になり、磁気シールドも採用されている。その音は明瞭な色彩感を持ち、音楽を訴える力が素晴らしい。オーディオは機械だが、機械から出ているような感覚がなくなってくる。低域のニュアンス成分の豊富さと共に高域のナチュラルさが極上。音は耳で聴いているが音楽はハートで聴いていて、そのハートに響く音なのだ。ずっと聴き続けていたい再生音だった。

コード・カンパニーの基本的な音は、何かを足すのではなく、振動やプラグでの反射の問題、高/低周波に対するシールドなど、再生音の足を引っ張る要素を除去しつつ、音楽信号の大事なところ、ハートに響く音を聴かせてくれるメーカーだ。上位になるにつれ、オーディオ的“性能”が上がりつつも、ココロが動く度合いが高まっていく。素晴らしい技術と誠実な見識を持ったメーカーだ。

(提供:アンダンテラルゴ)

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本記事は『季刊・analog vol.73』からの転載です

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