高精度な“サファイア”加工技術でオーディオアクセサリーに参入！　オルソニックの珠玉アイテムを徹底レビュー

■3製品いずれも共通してS/N感が良くなった（鈴木）

オルソニックの3つのアクセサリーを拙宅で試聴したが、いずれも印象的な製品だった。素材はEFG製法によるサファイアだという。

製法の詳細についてはメーカーのサイトを参照して欲しいが、その特徴は「長尺の単結晶サファイアの作成が可能」「結晶方位をコントロール可能」「組織均質性高い」他。そもそもサファイアはモース硬度で言うと「9」であり、ダイヤモンドの「10」に次ぐ硬さ。伝播スピード（m/sec）は、ダイヤモンドの17.3に対して11.2といったもの。それぞれの製品による再生音の印象は以下のようなものだ。

・スタビライザーは、盤面の微細な振動をコントロールしている方向の音で、落ち着きが増し、音の分離が良くなる。高域の微妙に歪みっぽい成分を抑制。低域の音像が明確になる。

・カートリッジスペーサーは、音の密度、エネルギー感が向上。高域の伸びやかな感じは変わらないが、低域の重心自体は下がっている。時間軸方向の音の分離が良くなりつつも、サバサバとした感じにはならず、むしろ音の微妙な余韻が聴こえるようになる。同時にトランジェントの良さも印象的。音圧もちょっと上がる。音の変化率は一番大きかった。

・インシュレーターはプリアンプの脚の下に設置して聴いたが、前後方向の音像の分離が良くなり、さわやかな空気感が漂う。サウンドステージをまとめる方向に働いた。

以上、共通してS/N感が良くなった。素材自体の物性だけでなく、ナノ単位の精密加工技術も効いているのだろう。サファイアのアクセサリー、注目である。

■これだけの音を実現するなら超ハイCPといって間違いない（炭山）

アダマンド並木は、LP時代のごく初期にレコード針の開発・生産を始め、世界中のアナログファンを支えてきた縁の下の力持ちである。戦前から続く時計や計測器などの宝石軸受けが本業だけに、宝石の精密加工／研磨はお手のもので、アナログ再ブーム真っただ中の2020年、世界初の「サファイア・オーディオアクセサリー」を引っ提げ、同ブランドは復活を遂げた。このたび、我が家に各アクセサリーが届いたので、早速テストしてみよう。

まずはインシュレーターをフォノイコの下へ敷いてみた。盤へ針を降ろし、最初の一音でもう仰天である。演奏者がまるでカッと目を見開いたように、音が超スピードで吹っ飛び、駆け抜けていくのである。音量感もグッと高まった。この力感とスピード感、S/Nの猛烈な高さは、これまで聴いたことがないものだ。

続いてスタビライザーを聴く。実測重量87gと決して重量級ではないが、スピード感がさらに向上し、音場の特に奥行きが遥かに深くなった。研ぎ澄まされた音像のシャープな定位、しかしそれでまったく耳に障らない音の高品位ぶりには、もう脱帽のほかない。

最後にカートリッジ・スペーサーを試した。「これが一番効くんじゃないか」と予想していたが、この変化の度合いには思わず溜め息をついた。解像度が激増し、音が端正に締まりながら濃厚に生の息吹を噴出する。自分なりにいいカートリッジとシェルを使っているつもりだったが、ダイヤに次ぐ硬度を持つサファイアの魅力には、もう一発でノックアウトされてしまった次第だ。

これらの製品群は、もちろん決して廉価ではない。しかし、これだけの音を実現してこの価格なら、むしろ超ハイCPといって間違いないだろう。皆さんもこの音の世界を体験してほしい。

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Specification
＜スタビライザー「OS-101」＞
●材質:単結晶サファイア●サイズ:20H×38D(Diameter)mm(外径)、7.3mm(InnerDiameter)●質量:87g
＜カートリッジスペーサー「OS-201」＞
●材質:単結晶サファイア●サイズ:16W×0.4H×16Dmm●質量:0.4g●耐荷重:5kg
＜インシュレーター「OS-301」＞
●材質:単結晶サファイア●サイズ:50H×60D(Diameter)mm●質量:56g●耐荷重:50kg
●取り扱い:アダマンド並木精密宝石(株)

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本記事は季刊analog vol.71からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから