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【特別企画】最小システムでハイレゾの魅力を堪能し尽くす

機能も音質も妥協なし! エソテリックのデジタル再生の新機軸「N-05XD」の魅力に迫る

2021/11/03 土方久明
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■ファイル再生とストリーミングを両立するエソテリックの最新鋭モデル

純国産のハイエンドオーディオブランド、エソテリックから、デジタルオーディオの高音質再生におけるひとつの方向性を導き出すような製品が登場した。「N-05XD」である。

ESOTERICのネットワークDACプリアンプ「N-05XD」(825,000円/税込)

1台で「ネットワーク再生」と「トランスポート+USB DAC再生」の両方式をサポートしているため、近年主流であるデジタル楽曲ファイルとストリーミングという2種類のデジタルソースに対応できる。内部には単品オーディオレベルのプリアンプを搭載し、さらに同社DAC製品初となるバランスヘッドホン出力まで搭載した先鋭的なオーディオ製品だ。

■強力なディスクリートDACに加え、プリアンプ部にも注目

まずはネットワーク周りからお伝えしたいが、N-05XDはなんと、エソテリック最上位モデルの「Grandioso D1X」が搭載する「Master Sound Discrete DAC」の流れを汲むディスクリートDACを搭載する。ネットワーク回路の電源部もD1X同等の構成で、スイッチング電源を使わず、大型トロイダルトランスと大容量フィルターコンデンサー等で構成された専用リニア電源で駆動される。同ブランドの05番台は、今までも上位シリーズの技術や機能をスライド投入してきたが、まさかディスクリートDACを搭載してくるとは……。

N-05XDにはブラックバージョンもラインアップ

ソースは、NASや本体に接続したUSB外付けハードディスク/メモリからのファイル再生と、TIDAL、Spotifyなどのストリーミングサービスに対応し、MQAのフルデコードも可能。操作アプリとして、ネットワーク再生で最上のユーザビリティを持つ「ESOTERIC Sound Stream」が利用できる。

プリアンプ部もかなり強力だ。フルバランス・デュアルモノ構成で、オーディオ信号のL/R、プラス/マイナスが4回路に独立した「ESOTERIC-QVCS アッテネーターシステム」と、電流伝送能力とスピードを追求した「ESOTERIC-HCLDバッファー」を搭載する。

「N-05XD」開発のキーパーソンであるエソテリック(株)取締役/開発・企画本部長の加藤徹也氏

入出力系統はたいへん豊富で、XLRバランス/RCAのアナログ入出力端子に加え、エソテリック独自の伝送方式「ES-LINK Analog」出力を搭載。「将来、同方式に対応するパワーアンプが発売されたら」と考えると楽しみだ。また、10MHzのクロック入力と、Windows/Mac等のパソコンとUSB接続できるUSB-B入力も搭載する。まさに至れり尽くせりであるが、ここからわかることは、本モデルの機能はそれぞれ単品製品同等の能力があるということだ。

豊富な入出力端子を備えたN-05XDの背面

外観を見ても、N-05XDはGrandiosoシリーズと並んでも全く見劣りがない。天井部にあるロゴの掘り込みも上位モデルとほぼ同じだし、シャーシのビルドクオリティも筆者にはほとんど同じに見えた。インシュレーターもGrandioso製品と全く同じものがついている。

本体上部には「ESOTERIC」と刻印が施されている

■最小のシステム構成でハイレゾの圧倒的な情報量を堪能できる

リスニングテストはエソテリックの試聴室で行った。試聴はスピーカーにB&W「800 D3」、それを駆動するパワーアンプは「S-03」である。いつもの取材であれば、ここに1台のプリアンプが加わるのだが、N-05XDはパワーアンプに直結できる。もちろんプリアンプを加えて、N-05XDを単体のネットワークプレーヤー/USB-DACとして使うのも良いだろう。

ソースは全てハイレゾ楽曲ファイルとした。まずは、アンドレア・バッティストーニ指揮の交響曲を再生したが、音が出た瞬間に衝撃を受けた。なんと鮮度が高く粒立ちが良い音か。とにかく耳に届く情報量が多い。サウンドステージは立体的で、抑揚表現の追従力もある。

ホセ・ジェイムズは眼前にリアルな音像として現れ、口元の動きもリアル。中域に適度な色艶があって音楽性も感じられる。良いなと思ったのはプリアンプ部の性能で、音量を絞っても低域が痩せず、サウンドステージも収縮しづらい。そしてやはり操作アプリの使いやすさは最上クラスだ。

加藤氏の説明を聞きながらボリュームの質感を確認する土方氏

本モデルを導入すれば、最小のシステム構成で、ハイレゾリューション音源の持つ圧倒的な情報をダイレクトにパワーアンプに送り込めるアドバンテージを享受できる。そして何よりも手に入れやすい価格の魅力。筆者は「この価格帯でここまで惜しげもなく機能性と物量を投入してメーカー側はコスト的に大丈夫なのか」と本気で心配している。しかしユーザーにとっては拍手喝采だろう。本当に素晴らしい製品を作ってくれた。

(提供:エソテリック)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.182』からの転載です

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