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【PR】音質や使い勝手を速攻レポート

ビクター新完全ワイヤレス「HA-FW1000T」速攻レビュー! 伝統の“ウッド”搭載機がついに登場!

公開日 2021/10/20 11:30 高橋敦
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ノイズキャンセリングとしては「Qualcomm Adaptive ANC」を採用。Qualcommの最新Bluetoothチップによって提供されるこのノイキャン機能は、イヤーピースの密閉度や周囲の音を常に監視し、ノイキャンの動作をリアルタイムに最適化してくれる。

また本機は、完全ワイヤレスにしては珍しくイヤーピースを耳の奥まで入れる形状であり、そのイヤーピースは前述のスパイラルドットPro! おかげでパッシブでの遮音性は完全ワイヤレスの中で最高クラスであり、アクティブのノイキャンと合わせての体感的な静かさは十分すぎるレベルだ。

三角形のような特徴的な形状も装着感の良さに寄与している

外音取り込み機能も「タッチ&トーク」として搭載し、高い遮音性と会話時等の利便性を両立。

通話周りの使い勝手も、片耳通話対応、イヤホン操作でのマイクのミュートも可能と万全。マスク着用時の声のこもりを補正する「新マスクモード」も搭載する。

マスクモードなど昨今の社会情勢に配慮した新機能も搭載

他の基本スペックにも穴はない。バッテリー駆動は、ノイキャンとK2をオフでAAC伝送という条件にはなるが、イヤホン単体で最大9時間。左右独立伝送技術は「Qualcomm TrueWireless Mirroring」を採用。防水も必要十分のIPX4を備えている。

充電ケースを手に持ったところ

操作性の面では、タッチ&トークを右の1回タッチでさっと呼び出せるのが嬉しい。対してノイキャンとK2のオンオフは左と右の4回タッチへの割り当て。これらは頻繁にオンオフする必要はなく、基本的にはオンのままでよしという想定からだろう。

スマホアプリなどを用いずに本体のボタンだけで楽曲の再生/停止や各種機能のオン/オフなどすべての操作が行える

■ウッドの個性と総合力の高さを絶妙なバランスで兼ね備えるサウンド

ではいよいよそのサウンドについて。aptX Adaptive対応スマホにて、Apple Musicのハイレゾロスレスおよびロスレス音源を中心に試聴しての印象だ。

現在、有線のウッドドーム振動板搭載イヤホンのサウンドには二つの系統がある。ウッドらしさを強くアピールするウォームでボリューミーな音像描写が特徴的なHA-FW1500のそれと、そういったウッド振動板らしさも継承しつつ、現代ハイエンドイヤホンらしい空間表現等のレベルも引き上げたHA-FW10000のそれだ。

このHA-FW1000Tのサウンドは後者、HA-FW10000の方向性に近い。

音像はしなやかで優しい感触を備え、やや大柄。しかし頭の中に広がる空間が素晴らしく広いおかげで、そのやや大柄の音像と音像の間には十分なスペースが確保される。各楽器の音がそれぞれ十分な存在感を発揮しつつ、お互いに被って邪魔することはない。ウッド振動板イヤホンに期待される個性とハイエンドイヤホンに期待されるトータルクオリティの高さを、絶妙なバランスで兼ね備えるサウンドだ。

ホセ・ジェイムズ「Just The Two of Us」を聴いたときに得られた感覚は特に印象的だった。

ふと気がつくと、まるで場面ごとにカメラが切り替わっていくかのように、その場面で主役や大切なアクセントになる楽器に意識が引き寄せられ、その楽器が大きく映し出されているようなイメージで聴くことができていたのだ。

冒頭ではまずエレクトリックピアノが揺めき、続いてベースがメロディを一節。そして歌が始まり、そこに入ってきたギターがリズムを細やかに躍動させる。特定の楽器の存在感が最初から最後まで強いのではなく、流れの中でバトンが受け渡されていくかのように、その瞬間ごとの鍵となる楽器に自然と耳が向けられていく。リスナーの意識をそう誘導するようにアレンジ、ミックスされているのだろう。

その意図通りの誘導が実際に成立するのは、このイヤホンが、各楽器を広い空間に綺麗に配置し、アンサンブル全体をバランスよく描き出しているからだ。おかげでリスナーは無意識下ですべての楽器を常に把握できており、その中から曲の展開に応じて、場面ごとの鍵となる音に意識を自然と向けられるのだろう。

そのように意識が向かった先のそれぞれの楽器の描写も、この曲に限らずあらゆる楽曲で、見事なものだ。

ウッドベースやバスドラムなどアコースティックな低音楽器の鳴りっぷりの豊かさはウッド振動板イヤホン全般が得意とするところであり、本機でもやはり充実。ドラムスのタム回しともなれば、その一打一打の太鼓らしい木質の抜けと響きがたっぷりと届けられるからニンマリとしてしまう。

エレクトリックベースやシンセベースの描写も良好だ。YOASOBI「怪物」で主役級の活躍を見せるシンセベースは、肉感はたっぷり豊かに、エッジは少し和らげつつジューシーにという、実に魅力的な感触に。ボーカルの凝った空間配置も明瞭に再現される。

ジョー・パスのソロギター演奏「How High the Moon」では、弦の金属の響きと胴の木材の響き、どちらもが生々しい。あえてギターアンプを通さずフルアコースティック・ギターの生音で演奏、録音されたという、その音の特徴がそのまま増幅され届けられてくるかのよう。削ぎ落とされすぎることも肉感的になりすぎることもない、心地よいダイレクト感のある音色だ。

最後にiPhoneとの組み合わせで、AAC伝送における「K2のオンオフでの音の違い」も確認。オンでしばらく聴いたのちにオフにすると、ジョー・パスのソロギターなどアコースティックな録音では特に、演奏の気配感や音場の明るさに少しの物足りなさを感じた。なるほどそれらはハイレゾ的なニュアンスとも言える部分だ。K2は狙い通りの効果を発揮してくれている。

各サイズのイヤーピースや充電用USBケーブルが付属

■昔からの“ウッド”ファンにも新規ファンにも両方響く完全ワイヤレス

HA-FW1000Tのサウンドは、完全ワイヤレスでありながらウッド振動板搭載モデルへの期待に応え、歴代のウッド振動板搭載イヤホンを愛するファンも失望させないものだ。

そして同時に、ウッド振動板の個性と普遍的な高音質をハイレベルで両立するこのサウンドは、純粋に音のよい完全ワイヤレスを求めるユーザー全般にも強く響くことだろう。

完全ワイヤレス時代に君臨するビクターの新たなフラグシップ機の誕生だ。

(協力:JVCケンウッド)

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