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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第263回】

低価格ノイキャン完全ワイヤレス、実際どうなの?音質や機能をガチチェック

公開日 2021/09/23 07:00 高橋 敦
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EarFun Air Pro 2のノイキャンの特長は、雑踏のざわざわ感のような細かな騒音も比較的しっかり抑え込んでくれること。駅前や店舗内などの「人混みの騒がしさ」が苦手!あれをどうにかしたい!という方にフィットしそうだ。

ヒアスルーの音調も基本は自然。人の声だけ少し明るめにして聞き取りやすくしてある印象だ。

SoundPEATS T2は電車の走行音など、ノイキャンがそもそも得意とする中低域の騒音を打ち消す能力に特に優れる印象。地下鉄や人も車も特に多い都心など、「これぞ騒音!」という派手にうるさい場所で頼りになりそう。

ヒアスルーの音調は、声だけではなく物音まで全体的に明るめで聞き取りやすい。しかし物音はガチャガチャと少しうるさく感じることもあるので、必要と場所に応じてこまめにオンオフする使い方をおすすめ。

COUMI ANC-860のノイキャン性能は正直弱め。それにそもそもの遮音性も低めだ。しかし電車内のそれような明快な騒音に対して「ゴォーと唸る走行音が減衰」を実感できるだけの性能は確保。この価格にしてノイキャン!という納得感お得感は十分だろう。

それにこちらの製品はメーカー自らあらかじめ、「エアコン・空調機室外機などの低周波騒音をカットすることができます。周囲からの騒音を全て遮断することはできず、周りの人の声や、電車のアナウンス、卓上扇風機のノイズ、ノートPCのファンノイズ、キーボードの打鍵音などの高周波の音は聞こえます」と明言している。正直!

音質チェック

スペック周りはどの製品も充実。ノイキャン周りもそれぞれ納得の性能だ。
ならばあとは音質次第。こちらもまずは表にまとめた。

EarFun Air Pro 2は、おおよそフラットで超低域と超高域はなだらかに減衰するナチュラルバランスを土台に、低域を少しプッシュ。バンドサウンドでもエレクトリックサウンドでも、ベースやバスドラムのボリューム感が豊かだ。ボワンと崩れた膨らみ方になる手前までにとどめた絶妙な低音プッシュなので、どんなサウンドの曲を聴いても破綻は引き起こさない。絶妙だ。

SoundPEATS T2は逆に、低音不足は感じさせない程度に、絶妙に引き締められた低音という印象。特にベースは細マッチョ的な引き締められた強さや速さだ。高域もエッジ感やカッチリ感をしっかり出してくるタイプ。有線ハイエンドでは好まれそうな音作りのひとつだが、完全ワイヤレスのエントリー価格帯でこういう音作りは貴重だ。

COUMI ANC-860は、低域側も高域側も素直にロールオフして柔らかな音調。高音質とは言い難いが、高音質ではない音を「荒れていてうるさい音」「丸まっていてやや不明瞭な音」とかに大別するとしたら後者なので、聴き疲れしたりはしなさそうだ。音楽を聴き込むとかではなく、外出中にトーク中心に音声/動画コンテンツを流し見に流し聴きする感じで使うにはぜんぜん十分だろう。

総じて、冒頭で述べた「コスト配分がノイキャンに偏って音質とかは微妙になってたりしない?」の不安を解消してくれるレベルの音質だ。この価格帯の完全ワイヤレスでこの音ならノイキャン関係なく納得でしょ!と思える。

まさかの好結果だった!

いや正直「ノイキャン性能にせよ使い勝手にせよ機能性にせよ音質にせよどこかには無視できない穴はあるだろう。でもその上でこの価格なら仕方ないよね?」的な結果を予想して進めた企画だったのだが、まさかの好結果。

EarFun Air Pro 2とSoundPEATS T2のノイキャン性能は全く文句なし。サウンド面でも、Air Pro 2はエントリー機らしい音作り、T2はエントリー機らしからぬ音作り、それぞれの音作りでの完成度も高い。ノイキャンの効き方の個性も合わせて、好み次第で選べばどちらでも満足できるだろう。

COUMI ANC-860は、ノイキャン性能も音質もそれらには及ばないが、そもそも価格がもうおかしいレベルで安いわけで、コスパ的には強すぎ。このお値段で実感できるレベルのノイキャンを搭載しつつしかも防水性能は他より強かったりする。気兼ねなくラフに扱えるイヤホンがほしい方にはぴったりなのでは?

ということで、少なくとも今回チェックした3製品はどれも納得の総合力!完全ワイヤレスイヤホンの低価格化はどの部分のクオリティも大きく犠牲にすることなく進行している……



高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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