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【PR】特筆すべき対応力の高さ

小さくとも驚きの満足感、JBLの新スタジオモニター「4309」はファンだけが楽しむのはもったいない

2021/09/03 土方久明
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対する4349も軽くご紹介しておこう。本モデルはJBLモニター50年の集大成として登場したミドルサイズの2ウェイスピーカーだ。

ミドルサイズ 2ウェイスタジオモニター「4349」。440,000円(税込/個)

同社モニターシリーズにおける現在のフラグシップ機「4367」の技術を搭載したコンプレッションドライバー「D2415K」と、「HDI-X ウェーブガイド・ホーン」によるトゥイーター部を持ち、ウーファーは最近ではほとんど見かけることがない30cm口径で1200FE系ユニットの最新系である「JW300PG-8」を搭載する。

この大口径ウーファーこそ本モデルの大きな魅力だろう。こちらもエンクロージャー正面には、±0.5dBステップでツイーターとミッドレンジのレベルを微調整できるスイッチ式トリムコントロールを装備する。キャビネットサイズは445W×737H×343Dmmで、質量は37.7kgとミドルクラスながら迫力十分の外観だ。

確かなJBLらしさとモニター的サウンドを両立、新世代スピーカーの実力を体感

ここからはいよいよ4309を視聴してみる。先述した通り4349と比較しながら、ハイレゾ、ストリーミング、アナログと多彩なソースを用いて4309の実力をチェックしてみた。

試聴環境は、マランツのプリメインアンプ「NR-1200」でハイレゾとストリーミングソースを再生、レコードはRegaの「Planar3 mk2」を用い、NR-1200のフォノイコライザーを利用した。

スピーカーセッティングについては、両モデルとも、左右の距離をエンクロージャー中心部からおおよそ2mとして、極わずかに内ぶりに配置した。

まずは、4309の音についてご紹介したいのだが、最初に感じ入ったのは、本スピーカーはコンパクトながらJBLのスタジオモニターに共通するグルーブ感溢れる音をしっかり感じられたことである。そして新世代機らしく、よりソースに忠実なサウンド傾向を聴かせたことだ。また、リスニング位置に対するサウンドステージの変化が少なく、センター付近の幅広いポイントで正確な音像とステージ表現を実現していた事も記しておきたい。

試聴にはマランツのプリメインアンプ「NR-1200」、Regaのアナログプレーヤー「Planar 3 MK2」を用意した

ということで、JBLといえばまずはジャズだろうと、クリフォード・ブラウン「メモリアルアルバム」(Liberty Records 1964再発 mono)を再生した。しっかりと前へ出てくる、飛び出しの良いクリフォード・ブラウンのトランペットは、手が触れられそうなリアリティある表現。アート・ペッパー「Meets The Rhythm Section」(Analogue Productions 1992年再発 33回転盤)は、ジャズ好きが好みそうなスモーキーなグルーブ感を持つ、分解能が高いサウンド。アート・ペッパーのサックスは色艶が良く、レッド・ガーランドのピアノは立ち上がりが良くタッチの表現も秀逸。

と、ここまでは、今までJBLが得意とするジャズによるレビューであり、予想に違わず相性に間違いはないが、4309の特徴はもう1つある。それが多くのジャンルへの対応力の高さだ。

帯域バランスが予想以上にフラットで、低域を無理にブーストすることもなく、音離れが良くグルーブが高い。例えばハイレゾで聴いたダイアナ・クラール 「ディス・ドリーム・オブ・ユー」(96kHz/24bit)は、ボーカルの質感にクセがなく、しっかりと前へ飛び出してアピールしてくれるから最高だ。ピアノの適度な色艶が良く、ベースのリアリティも非常に高い。ジョン・ウィリアムズ 「ライヴ・イン・ウィーン」(96kHz/24bit)は、トランペットや金管楽器が前方に飛び出す、奥行きのあるサウンドステージが展開。抑揚にも追従する音楽性の高さが印象的。

Amazon Music HDを用いたストリーミング再生でも、スピーカーの分解能の高さが活かされる。EDM楽曲のA.C.E 「Fav Boy(Steve Aoki's Gold Star Remix)」は、エレクトリックシンセサイザーの音の粒子がスピーカー前方に広く放出され、メロディアスな本楽曲の魅力を1つ1つの音がしっかりと伝えてくれる。ランキングチャートを賑わすタイトルも、JBLらしさのあるモニターサウンドによって楽しめるので、聴くジャンルやソースを問わない。

世代を問わず満足できる、JBLモニタースピーカーがますます充実

それでは、4309は4349と比べてどうか? 結論から言えば、間違いなく4309は4349などの大型モデルのDNAを受け継いでいる。

流石に低域のレンジは30cmウーファーを採用した4349が魅力的だ。特に4349はこの大口径ウーファーを採用しているにもかかわらず、低域がだぶつかない。4343/4344などのスピーカーを数年かけてセッティングして得られるような、スピードと重量感を両立した低域が呆気なく出てくる。

「4349」最大の特徴と言える30cm径のウーファーユニット「JW300PG-8」

同社の以前のモデルと比べても、一聴してワイドレンジで安定感のあるサウンドが魅力。この完成度の高さが4349の特筆点だ。

一方で、キックドラムやベースなどのレスポンスや音の立ち上がりは4309も頑張っており、ホーンによる前への飛び出しは同一の印象。さらに小型キャビネットの恩恵である、スピーカー周りの余裕のある空間と新型ホーンによって、ステージング表現がとても秀逸なのだ。

また、4309のもう1つの利点としては、小音量でも音痩せが少なく、ステージも収縮せず広がりを維持してくれるところ。さらにアッテネーターで高域のレベルが調整できるので、ニアフィールドからリビングなどリスニング距離に合わせることができる。また、1950年代などジャズやロックの古い音源であれば、高域のレベルを上げて、バランスが取れる。

フロントバッフルには高域微調整が可能なスイッチ式UHFトリムコントロールを搭載。8 - 20kHz間を±0.5dBでコントロールが可能だ

4309は、小型で設置性が良いが、外観はまさしくオーディオファイルが憧れ続けたJBLのスタジオモニターだ。ジャズからクラシック、EDMまで幅広いソースをグルーブ高く表現できる。価格も考えると、このスピーカーをオールドファン向けだけにしておくのは、あまりにももったいない。

現在ヘッドホンをメインに使っている方でスピーカー再生にチャレンジしたいと思う方や、安価で音楽性の高いスピーカーを求める、オーディオの初心者や若い世代にも最適である。

対する4349は、大型のエンクロージャーがもたらす流石の再生能力で、部屋とコストが許せるのであれば、30cmウーファーによる迫真の低域とホーンの音の飛び出しを一気に取得できる。まさにオーディオ的な快楽に溺れるスピーカーなのだ。

まとめとして、両者とも購入後の満足感が驚くほど高いモデルである。どちらを選んでも後悔はしないだろう。

(企画協力:ハーマンインターナショナル)

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