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【ガチンコ対決 第2弾】いま買うべきプリメインアンプが決まる!

デノン「PMA-A110」vs マランツ「MODEL 30」 最強のミドル級アンプはどっちだ!?

2021/06/18 生形三郎/土方久明 構成:季刊・オーディオアクセサリー編集部
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それぞれトレンドをしっかりおさえつつ高い実力を誇った

土方 今回の取材では、デノンとJBLの組み合わせの良さは、新しい発見でした。自分が求めている、まさにJBLサウンドでした。マランツは駆動力が高くて、今回試聴していないスピーカーであっても、満足に鳴らしていたでしょう。また、プレーヤーとアンプを同じメーカー同士でも試聴しましたが、やはり間違いない組み合わせでしたね。

生形 同じメーカーで組み合わせた時は、やはりそのメーカーの方向性が強まる感じがありましたね。逆に、他のメーカーと組み合わせた時の方が、また違った良さが出ると思ったので、デノンとマランツで組み合わせても面白いんじゃないかなとも思いました。

土方 アキュフェーズのプレーヤーをレファレンスに使用しましたが、アキュフェーズとの組み合わせも素晴らしかったですからね。

生形 誌面的には両機対決のジャッジを下したいところですが(笑)、今回は、スピーカーを駆動するアンプという性質上、一律でどちらのモデルがオススメとは言えないですね。組み合わせるスピーカーによってかなり違いがありましたので。

土方 つまり、相性が悪いと満足する音は出せません。だからスピーカーの個性を伸ばすもスポイルするも、アンプ次第だと言えますね。そう言った意味では、デノンもマランツも、いまのトレンドをしっかり押さえながら高い実力を確認できたので、どちらも本当におすすめです。今回の記事を参考に、あなただけの最強の組み合わせを見つけてほしいですね。

■総括〜比較試聴を終えて〜

両モデルの魅力を引き出しながら高い実力を再確認した機会だった(生形)

今回のアンプ対決も、両モデルの魅力が引き出された興味深い結果となった。マランツは、低インピーダンス・スピーカーでもグリップ良い俊敏な低域再生が印象的。高域側も、しっかりとしたエネルギーがあり音場描写が立体的で、全般的に明瞭性に富む華麗な駆動力を展開した。相棒であるSACD 30n同様に、同ブランドの新たな方向性を指し示すものだろう。

対するデノンは、良好な帯域バランスを主体としながらも適度にメリハリの効いたサウンドで、ときに音楽再生を驚くほど情感豊かに牽引していた。そのプレゼンスは、まさしくデノンの伝統を現代的な形で引き継ぐものと実感した。外観的にも、110周年記念モデルカラーであるグラファイト・シルバーの筐体と、それを司るアイコニックな大口径ボリュームノブをセンターに据えた佇まいは、純粋に、精悍な格好良さに溢れている。

加えて、それぞれ内蔵フォノイコや内蔵DAC(PMA-A110)も十分な音質を備えており、両モデルの高い実力を再確認した機会であった。



制動力が高かった「マランツ」音楽性が抜群だった「デノン」(土方)

前号のSACDプレーヤー編に続き、今回も“ガチ”なプリメインアンプ対決である。しかも3種類のスピーカーを用いて、アンプの持つ音色や音調、スピーカーの駆動力までも厳密に確認できる、またとない機会となった。

最初は「レビュアーが違えば評価も変わってくるのでは」とも考えた。しかし生形氏と私の意見はほぼ一致していたように思う。

マランツの「MODEL 30」は明るいサウンド傾向で、ステージング表現が広いし、クラスDアンプによるスピーカーの制動力の高さに感心した。

デノンの「PMA-A110」は、超弩級モノラルパワーアンプ「POA-S1」譲りの、UHCMOSによるシングルプッシュプル回路を搭載し、クラスを超える駆動力と情緒的な表現、さらに適度な色艶が相まって音楽性も抜群だった。

そして3種類のスピーカーとの相性は間違いなく存在する。その振れ幅は予想を超えており、マッチングが良いとクラスを超えた音を出すことができる。



本記事は『季刊・オーディオアクセサリー181号』からの転載です。

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