【特別企画】PL-5900のコストバリューも良好

“もはやアクセサリーにとどまらない”電源ケーブル。サエク「PL-9000」はシステムトータルの音質を高める

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大橋伸太郎
2021年02月10日
■PC-Triple Cにフルテックのプラグ、高品位パーツを贅沢に投入した電源ケーブル

サエクの電源ケーブルに2機種「PL-9000」「PL-5900」が加わった。新たな最上位「PL-9000」は、プラグ部にフルテックのNCF電源プラグを採用したことが注目される。NCF(Nano Crystal Formula)は、ナノ単位の特殊セラミックとカーボンパウダーを一定比率で調合し振動吸収効果を生み出す新素材で、フルテックはプラグ本体のナイロン+グラスファイバーの素材にNCFを調合し、制振効果に加え静電気の除去に大きな成果を収めた。

SAECのフラグシップ電源ケーブル「PL-9000」。120,000円(1.5m)、125,000円(2.0m)いずれも税抜

PL-9000に使用のNCFプラグは、フルテックのカタログではFI-50M NCFだが、特別に金メッキ処理したサエク専用(特注)品となる。導体はPC-Triple C、ケーブル構造は0.32×68の5.5sq。ケーブル外径直径15mm。

もう一方の「PL-5900」は従来のPL-5800の後継で、プラグ部にフルテックのFI-11M-N1(G)を使用。NCFではなく通常のナイロンプラスグラスファイバーだが、PL-5800より上級である分、制振効果が上がり、Fレンジと量感の伸びに期待。導体にPC-Triple Cを使用。ケーブル構造は、綿糸介在の3芯縒り合わせでケーブル外径直径13mm。

PL-5800の後継機となる「PL-5900」。3ピンのほかメガネ型プラグの「PL-5900M」もラインアップ。価格は38,000円(1.0m)、41,500円(1.5m)、45,000円(2.0m)いずれも税抜

PL-5900のプラグ部は一回り小振りだが、艶やかな黒と金のコンビネーションに仕様変更されたポリカーボネート製のハウジングは剛性感と小気味よい凝縮感があり、こちらもいい音の予感。

まず、PL-5900をアキュフェーズのパワーアンプ「A-75」に接続してみよう。プリアンプは同「C-3900」、SACD/CDプレーヤーは同「DP-750」、スピーカーシステムはB&W「802 D3」。最初に聴いたのは、重低音ソフトの定番、ジェニファー・ウォーンズの『ザ・ハンター』(SACDハイブリッド)である。

コンポーネント類はアキュフェーズ、スピーカーはB&Wの802 D3の組み合わせで試聴

ローエンドの拡張はいうまでもない。それまでは明らかに物足りなかった。シンセサイザーベースやパーカッションの揺さぶるような低音が鮮明に現れる。しかし、PL-5900へ交換の本領はむしろS/Nの向上にある。そしてノイズフロアが下がり一音一音が磨かれ輪郭の明澄さを増した結果、演奏と歌がしっかり立体的に前に出る。音場にふくらみと奥行きが出たと言っていい。

次に聴いたのが、テオドール・クルレンティスとムジカ・エテルナの『フィガロの結婚』。アコースティック楽器のアンサンブルと肉声がテーマ。レプリカピリオド楽器の響きやリズム感の再現が再生の決め手だが、PL-5900投入によるS/Nの向上は明らかで、雑味が消えて鮮度が高まり倍音成分が増し、弦楽合奏や木管の音色がなめらかになり、切れのいいリズムを刻んでしなやかに歌う。

■PL-9000は音場表現で格の違いを見せつける

ここで、電源ケーブルを最上位PL-9000に交換してみよう。PL-9000を手に取ると、プラグの重みが掌にのしかかり、ステンレスのひんやりした感触が心地よい。ハウジング部やサエクの注文で金メッキ処理された嵌合部(ナイフ部)の工作精度と仕上げの美しさは溜息が出るほどで、5.5sqの本体の頼もしさとあいまって、高品位なオーディオ機器特有のオーラがある。もはやアクセサリーにとどまる存在ではないということだ。

PL-9000をアキュフェーズのA級パワーアンプ「A-75」に接続

『フィガロの結婚』はノイズフロアがさらに下がり音場の空気が澄み、録音ホールのひんやりした空気が現れる。序曲は描写がこまやかさを増し奏者の指使いが見えてくる。楽音がいくえにも重なっても決して混濁して響きが潰れない。

『ザ・ハンター』のローエンドの伸びは、この段階でPL-5900とさほど変わらない。しかし、音場表現で格上をみせつける。具体的には、音場センター領域の音影の密度感。濃密な音の空気が奥まで深々と続いているのは初めて聴くものだ。ヴォーカル始め定位の精度も冴えている。電源供給ラインいかんで情報量がいかに豊かになるかの好例。

次に、A-75の電源ケーブルはPL-9000のまま、C-3900のケーブルを普及グレードからP-5900に交換してみよう。まだまだ伸びしろはあった。『ザ・ハンター』はローエンドがさらに拡張。空間に沁み込み床から突き上げる低音だ。ヴォーカルに生々しく人間臭い感情が溢れている。再生の上流で微小信号の純度が上がったのである。『フィガロの結婚』はさらに躍進。レプリカピリオド楽器の弱音から雑味が消え水を得たように躍動。ソリストの声はさらに輪郭の鮮明さを増し、電気的歪みの呪縛からすべて開放されたかのように、試聴室中央に高々と舞い上がる。声にまとわりつくノイズは極微で玲瓏な肉声に体温がうっすら滲む。

プリアンプC-3900にもPL-5900を投入

■リンのネットワークプレーヤーでハイレゾ再生におけるクオリティをチェック

本誌試聴室での試聴メニューはここまでだったが、好奇心と探究心に駆られ、PL-5900を自宅試聴室へ持ち込み、ネットワークプレーヤーLINNの「AKURATE DS」に接続した。パワーアンプは本誌試聴室と共通のアキュフェーズA-75、プリアンプは同C-2850、スピーカーシステムはB&W 802Diamondである。

キャロル・キッドの『オール・マイ・トゥモロウズ』(FLAC 96kHz/24bit)は音質に定評があるソフトだが、再生装置によって響きの硬さが気になる場合がある。PL-5900投入で高い周波数帯域の解像度が向上したのは顕著で、伴奏のピアノやヴォーカルがきめ細やかさを増しストレスのないしなやかな音楽が楽しめる。特筆すべきはシンバルワークの音色の変化で、うねるような生命感ある響きが生まれている。『高橋アキ プレイズ エリック・サティ-1』はピアノの倍音の放射がきめ細やかさと響きの密度を増し、ファツィオーリの漆黒の巨体を銀色の音場が取り巻く。

PL-5900/9000の投入で、アンプに限らずすべてのオーディオ機器で音質の改善効果が発揮される。システムトータルの音質が向上することを考えれば、PL-9000は納得のいく価値ある投資。一方、パワーアンプのローエンドの伸長に関してPL-5900は上位機に決して遜色がなく、コストバリューで最右翼といえよう。どの機器の電源ラインにどちらのケーブルを投入するか。オーディオファイルの眼力の発揮のしどころである。

(提供:サエクコマース)

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