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ヴァイオリニスト ビルマン聡平さんと聴く! ドルビーアトモスとハイレゾによる新日本フィルの高音質配信をレポート

公開日 2021/02/02 14:45 山之内 正
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2020年初頭より世界に大混乱をもたらしたパンデミックは、人と人との交流の機会を大きく奪ってしまった。特に音楽業界への打撃は大きく、コンサートやライヴは中止、あるいは人数を絞っての開催を余儀なくされている。しかしそんな中で、「オンライン配信」によって新たなファンを獲得しようという試みが急成長している。

東京・墨田区に拠点を置く新日本フィルハーモニー交響楽団は、コンサートの臨場感を自宅でもぜひ楽しんでもらいたいと、高音質・高画質にこだわった実験的な配信をスタートさせている。その配信を、オーディオ評論家の山之内正氏が新日本フィルの第2ヴァイオリン首席奏者、ビルマン聡平氏とともに視聴した。ドルビーアトモス、ハイレゾの具体的な視聴システムプランと合わせ、クラシックの最先端の取り組みとして紹介しよう。




■新日本フィルの高音質ライブ配信を自宅で体験!

この1年、家で過ごす時間が増えて音楽の聴き方が変わった。定額配信で一日中音楽に浸ったり、映像ストリーミングでライヴの雰囲気を味わったり、これまでと違う音楽ライフを楽しんでいる人も多いはずだ。コンサートには出かけにくくなってしまったが、これまでとは違う楽しみ方にもいろいろな発見がある。

クラシックの演奏会は無観客や人数制限を伴う形を経て、公演の頻度が少しずつ戻り始めているが、まだまだ元通りとはいかないのが現実だ。そんななか、生演奏の醍醐味を伝えるために世界中のオーケストラが奮闘している。昨年は無観客ライヴの配信やリモート演奏などが話題になったが、クラシックファンは音質や画質にこだわるリスナーが多いので、さらに本格的な取り組みへの期待が高まっている。

1月24日17時にスタートした新日本フィルハーモニー交響楽団のオンデマンド配信は、そんなファンの期待に応える注目のプロジェクトだ。同オーケストラが本拠を置く東京のすみだトリフォニーホールで昨年11月に行われたベートーヴェンプログラムのコンサートをライヴ収録し、U-NEXTとThumvaという2つの配信メディアを活用して高品質配信を敢行したのだ。

ベートーヴェン生誕250周年を記念して開催された演奏会の模様を、U-NEXTとThumvaという2つの配信サービスでオンデマンドで配信している

これまでの映像配信との重要な違いは2つあり、配信メディアごとに特徴がある。U-NEXTはドルビーアトモスの立体音響とマルチアングルを組み合わせてホールでも体験できない臨場感を追求し、一方のThumvaは96kHz/24bitのハイレゾ配信で高音質を極めることが狙いだ。どちらもチケットを購入して対応する再生環境さえ用意すれば期間中に何度でも楽しめるというスタイルで、料金はそれぞれ2000円。この価格がリーズナブルと思えるかどうかは、その中身にかかっている。

ドルビーアトモスで立体的に楽しめるU-NEXT、音質スペックの高いThumvaと、視聴環境に合わせて配信サービスを選ぶことができる

いずれも前例がない画期的な配信方法なので、筆者は強く興味を惹かれた。2つともチケットを入手し、自宅試聴室で実際に体験してみることにした。新日本フィル第2ヴァイオリン首席奏者のビルマン聡平さんにも同席していただき、演奏家の視点から見た高品質配信の感想もうかがうことができたので、併せて紹介することにしよう。

山之内氏の試聴室にて筆者(左)とビルマン聡平さん(右)

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