「Grandioso K1X」をグレードアップ

エソテリック旗艦プレーヤーの臨場感をさらに高める、強化電源「Grandioso PS1」の効果に驚愕

角田郁雄
2021年01月21日
エソテリックの一体型SACDプレーヤーの最高峰「Grandioso K1X」の背面には、大きなDC電源入力が搭載されている。これは専用電源「Grandioso PS1」を接続するための端子で、K1Xへの電源供給をデジタルとアナログを完全分離し、さらなるシステムのグレードアップを図ることができるというものだ。そのクオリティを角田郁雄氏が解説する。

専用電源Grandioso PS1(左)とSACDプレーヤーGrandioso K1X(右)。PS1の価格は1,200,000円(税抜)、K1Xは2,800,000円(税抜)

■オーディオマインドを掻き立てる独自DACを搭載するK1X

エソテリックが満を持して登場させたFPGA制御ディスクリート構成の「Master Sound Discrete DAC(以下、ディスクリートDAC)」。私はこの規模の大きな基板を見て、オーディオマインドが掻き立てられる感覚を憶えた。これを搭載した「Grandioso P1X+D1X」によるSACDデジタル・プレイバック・システムによる音楽は、まさに生演奏に迫る臨場感、躍動感を披露してくれた。

そして、その後に登場した一体型SACDプレーヤーのプレステージモデル「Grandioso K1X」。本機は明らかに「P1X+D1X」の技術を踏襲しており、ディスクリートDACの性能の高さを存分に披露し、オーディオファイルの注目の的となっている。

私は本機を初めて試聴した時、その再生音楽に深い感動を受けた。そして、内部技術のディスクリートDACの動作原理などを確認し、リアパネルに2式の大型コネクターがあることを知った。これは専用電源「Grandioso PS1」を接続するものだという。

「Grandioso PS1」のフロント部。高剛性な重量級の肉厚パネル・エンクロージャーや独自のピンポイントフットで万全の振動対策を実現

私は僥倖にもGrandioso K1XにPS1を追加することによる、驚愕のシステムの技術と音質を確認することが叶った。PS1の電源構造は、想像すらしなかったほどユニークで、マッシブである。説明しよう。

■電源回路を分離、DAC部とアナログ回路のみPS1で独立駆動させる

まずSACDプレーヤーK1X自体の電源にはトロイダル・トランスが4式搭載されている。この4式の独立した電源部が、(1)左右のディスクリートDACと (2)アナログ回路(バッファー・アンプ段) (3)デジタル処理回路 (4)VRDS-ATLASディスク・メカニズム駆動に電源供給を行なっている。

これだけでも一体型SACDプレーヤーとして、オーバー・クオリティと言いたくなるほど、充実していると感じていた。しかし、さらなる高音質化を実現するために、このPS1が開発されたのだ。

その内容は、K1Xのデジタル回路用電源回路とVRDS-ATLASディスク・メカニズム駆動用電源回路だけを使用し、PS1はディスクリートDAC用の電源回路とアナログ回路(バッファー・アンプ段)用電源回路(左右独立)に使用している点が大きな特徴となっている。なおK1XとPS1は専用の高音質12芯DCケーブル2本で接続する。

左の図は「K1X」単体での電源系統。右の図は「PS1」を追加した場合の給電の仕組み。メカニズム駆動電源とデジタル回路駆動電源のみを「PS1」で、さらに左右独立で給電する仕組み

PS1の内部には4式のトロイダル・トランスを搭載。つまり4系統の電源回路を搭載しているのである。その結果として、ディスクリートDACとアナログ回路は、完全に左右独立した電源部で駆動されることになり、前述のK1X内部の2式の電源部を含めると、K1Xは実に6系統の電源部で全体を動作させることになる。

「PS1」の内部。オーバースペックと言えるほど巨大なトロイダル・トランスを4基搭載。電源の容量的にも余裕が生まれ、この点でも音質的なメリットが実現できる

これは、大袈裟に思われるかもしれないが、K1X内部のデジタル処理部および、VRDS-ATLASディスク・メカニズム駆動用電源回路と完全分離させることにより、トランスの振動やトランスの漏洩磁束が、アナログ回路に与える悪影響を大幅に低減させることができ、高音質化が実現できるのである。電源の容量的にも余裕が生まれ、音質に絶大に貢献するのである。理想的なデジタルとアナログ電源回路の分離と言えるであろう。

なお、同社のトロイダル・トランスは、回路の消費電力に対しては、オーバースペックと言えるほど大型で、音質を重視するために金属カバーなどに封入させないとのこと。平滑コンデンサーには同社カスタムメイドのニチコン製を採用し、アナログ段の±電源には音質を極めたスーパー・キャパシターEDLC等を採用している。さらに筐体構造にもこだわり、重量級肉厚アルミパネルを使用し、徹底した振動対策と高音質化を行うと同時に、トランスと、その他基盤を別に配置するデュアル・レイヤー構造を採用している。

全体を支える脚部には、同社独自のスパイク構造を進化させたピンポイント・フット(特許取得)を使用し、音質に影響する微小振動までも低減させている。なおPS1のリアには、他に2式の電源コネクターがあるが、これは、既発売のSACDプレーヤー「Grandioso K1」のアップグレード用となっているようだ。

■弱音の再現性が高まり、空間描写性が高解像度に

さて、実際にK1XとPS1を組み合わせて試聴を行った。最初はK1X単体での音質を聴き、次にPS1を接続して、聴き比べを行った。

Grandioso PS1のリア部。出力は左右独立式で、外側のAはK1X専用、内側のBはK1専用(要アップグレード)となっている

その音質の違いを少し極端に表現するなら、K1Xだけの音質は、高解像度で広い空間にリアルに演奏のさまを描写することが特徴であるが、音色的には暖色系で、ゆったりとした音の立ち上がりを感じさせる。

次にPS1を接続すると、明らかに引き締まった音へと変化し、音の立ち上がりも俊敏になった。弱音の再現性も高まり、微細な倍音が浮き上がり、演奏が生々しくなる。演奏の臨場感や空間描写性が、明らかに高解像度になる。

例えば私の愛聴盤である『クワイエット・ウィンター・ナイト』の女性ヴォーカルは、時折、体の向きを変えて歌う様子までもが鮮明に浮かび上がり、マイルス・デイヴィスのライブ『タイム・アフター・タイム』でもエンジニアの巧みなミックスとマスタリングの良さをさらに実感させてくれている。これは素晴らしい効果である。

K1XとPS1の組み合わせは、まさに世界を驚愕させるハイエンドSACDプレーヤーシステムとなることであろう。

(協力:エソテリック)


(編集部注)旧モデルであるGrandioso K1にも「PS1」が接続できるようDC入力を追加するアップグレードサービス「VUK-K1PS1」も用意している。価格は150,000円(税抜/引取、出張納品費別)。

本記事は季刊オーディオアクセサリー vol.176からの転載です。本誌の詳細及び購入はこちらから

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