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『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』4D上映を比較!4DX/MX4D、観るならどっちが良い?

2020/12/29 TEXT:CRAZY-FOR-D
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■動くシートのセッティングは「4DX」に軍配

タイトルにある“無限列車”という汽車に揺られてストーリーは進行していく。そのためオープニングから汽車の揺れを「動くシート」が表現するのだが、「MX4D」のシートセッティングは、「4DX」に比べて単調である。「MX4D」では「ランブラー」と呼ばれる地響き振動を活用するのだが、序盤から汽車の動きとリンクして細かく振動しつづける。

対して「4DX」の揺れは細かく多彩である。走る車両を捉えた全景カットでは、レールのつなぎ目をリズムよく表現し、カットが車内に切り替わるとスッと収まる。そのため車内で、嘴平伊之助(はしびらいのすけ)が興奮して暴れまくると、「4DX」ではそれがより効果的に表現できる。同じく、人間が走る歩行リズムや馬、自動車などの違いを「4DX」は繊細に描き分けられる。

さらに列車の表現では、車両の外(屋根)に出ると、「4DX」にはファンを使った「風」があるため、疾走感を肌で感じることができる。

「風」という意味においては、映画は、お館様(産屋敷耀哉)が墓参りをするシーンからはじまる。4D効果はどちらも皆無のまま静かに進む情景だが、タイトルロールに進む直前、4DXでは館内に風が吹き、お館様の横顔のカットで髪が揺れる。些細なことのように思うかもしれないが、大きな違いである。

動きスピードのある攻撃シーンではどちらも「レッグティクラー」(足元ふくらはぎ辺りの噴射)を活用するが、「MX4D」は、首の横から吹き出す空気噴射との組み合わせだけでほぼ賄っているため、徐々に飽きてくる。むしろ「4DX」のほうが静かすぎるほどだ。

■なに!“鬼の匂い”だと?

4D効果には「4DX」「MX4D」ともに「セント(香り)」の機能がある。しかし“香り”の感受性は人それぞれであり、その感度や感じ方は異なる。良い匂いならいいが、異臭・悪臭は積極的に再現するものではない。

本作の主人公・竈門炭治郎は嗅覚に優れ、善逸は聴覚、伊之助は並外れた鋭い触覚を持つという設定になっている。

本作の4D上映の注目点は、炭治郎だけが感知する、“鬼の匂い”だ。序盤の列車内で登場する鬼のシーン、汽車と融合した"厭夢”の潜む場所を探索するときなどで、炭治郎は“鬼の匂い”が強くなっていることをほのめかす。

ここで果敢にも「MX4D」は“鬼の匂い”に挑戦していると思われる。ホコリっぽい人工的な香り。これが!鬼の匂い?

当然、筆者を含め、誰も“鬼の匂い”など知る由もない。なので“気のせい”だと言われれば、謝罪するしかない。またせっかくの香り機能も、コロナのせいで全観客がマスクをしているので、なんとも残念だが、それでも何かしらただよう香りがある。これから観る方にウイットネスを託したい。

また善逸が夢の中で、禰豆子と一緒にいるシーンでは、“桃の香り”がしている。一方「4DX」は本作において「セント(香り)」機能を使っていない。


■「4DX」にしかできない「水」「雪」の効果

雨の中シーンや、海や川を舞台にした映画などでは「4DX」の独壇場になるのだが、ほかにも最近12月公開作では、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序、:破、:Q』4D上映で、使徒を倒したあとの降雨や、吹き出す赤い水の体感は、「4DX」で初めて気付かされる新発見だった。

「MX4D」の水しぶきは、「ウォーターブラスト」という名称で瞬発的に顔のあたりに水がかかる程度なので、ここぞというときに使う。本作では"下弦の壱"の厭夢の骨を断つとき、ウォーターブラストが効果を発揮する。

炭治郎が夢の中で家族に会うシーンでは、雪がしんしんと降っている。ここは雪の中を歩いている初回のみ、スクリーンに同期して雪(泡)が降ってくる。その後のシーンでは「4DX」の雪は降らない。もちろん「MX4D」にはこの機能がない。しかしながら、雪の中を進む足取りの重さをシートの「ランブラー」(振動)で表現していたのには感心した。

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