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創立50周年記念第2弾モデル

オーディオ銘機賞 金賞にふさわしい風格。アキュフェーズ「C-3900」レビュー

2020/11/21 角田郁雄
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■さらに色づけは少なくなり、滑らかな質感が加わった


C-3900の音を聴く
ここで音質についても触れておこう。実は私は長年、アキュフェーズ・オンリーのサウンドを自宅で堪能し続けている。10年ほど前の音質傾向としては、中低域に厚みのある暖色系の音質傾向であったが、5年ほど前からその傾向に変化が現れた。機器の色づけが少なくなり、音の透明度や解像度が高まった印象を受けたのである。

プリアンプでは、C-3850を使った時、色づけは極めて少なくなり、音楽に内包する情報をストレートに再現しているように思えた。そして今回、私は僥倖にもC-3900を早々に愛用することができたが、さらに色づけは少なくなり、弱音再現性が高まり、ダイナミックレンジが極めて広くなった印象を受けた。

私が唯一、音質的に変化を感じたことは、ビロードやシルクのような滑らかな質感が加わった印象を受けたことである。また、音の立ち上がりの点で、瞬間的に弱音から強音へと変化する旋律では、俊敏な立ち上がりを鮮明にし、ハッとさせられる高い音圧をスピーカーから聴くことも多くなった。

これと同時に極めて高いS/Nと低い歪み率により、再生音源に内包する空気感、空間の広さと奥行き、演奏のさまを、生演奏のような臨場感で再現するようになったことを実感している。S/N 3dBの向上の影響は極めて大きく、眼前の景色が一気に豹変し、深い感動をもたらしてくれたのである。

おそらくアキュフェーズは、諸特性を徹底的に進化させることにより、再生音源から、生演奏に匹敵するかのような空間性と演奏の実在感を引き出すことを追求していると、私は推察するのである。

こうした、落ち着き、存在感のあるデザインと、着々と進化させてきた独創的な技術を搭載するC-3900は、金賞を受賞するにふさわしいモデルと言えるのである。国内のみならず、海外でも高い評価を受けることであろう。私個人としても喝采を贈りたい。


【C-3900の仕様】
●周波数特性:3Hz〜200kHz +0 −3.0dB、20Hz〜20kHz +0 −0.2dB●全高調波歪率:0.005%●入力感度・入力インピーダンス(定格出力時):BALANCED 252mV 40kΩ(20kΩ/20kΩ)、LINE 252mV 20kΩ●定格出力・出力インピーダンス:2V 50Ω●SN比(定格出力時:118dB●最大出力レベル(20Hz〜20kHz):BALANCED/LINE OUTPUT 7.0V、RECORDER REC 6.0V●最小負荷インピーダンス:BALANCED/LINE OUTPUT 600Ω、RECORDER REC 10kΩ●クロストーク:−90dB/10kHz●消費電力:47W●サイズ:477W×156H×412Dmm●質量:24.6kg

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