「Bose QuietComfort Earbuds」レビュー！待望の完全ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン

■厚手の低音で大胆な音質ながら、繊細さや鋭さも再現

QuietComfort Earbudsのサウンドについて印象を報告しよう。なお、本機が対応するBluetoothオーディオのコーデックはSBC/AACだ。今回はiPhone 11 ProにペアリングしてApple Musicの音源を聴いた。

そのサウンドは、大判のキャンパスの上に大胆に筆を運び、絵の具をしっかりと乗せて描いた力強い油彩画のようなイメージだ。

太線のボーカルをゆったりと温かく響かせる。安定感あふれる、ふくよかなビブラートの印象は、湖面に映り込む穏やかな春の日射しのようだ。いつまでも聴いていたくなるサウンドなのだ。

クラシックギターの弦が柔らかくしなる様子も目に浮かんできた。乾いた余韻が静寂の中に散華していく潔さもいい。ジャズピアノの音色は温かくて血が通っている。しっとりと耳を潤してくれるようなメロディだ。

厚手の低音は、しばらく聴くうちにその懐の深さに好奇心が沸き、聴き込むほど安心感に変わっていった。芯がしなやかな低音なので、演奏の強弱が明瞭に伝わってくるし、駆け引きの緊張感が真に迫る。鋭く打ち込むパワーがあるため、音の厚みが重苦しい感じはしないし、音の輪郭も崩れない。

アップテンポなロックやポップスも、ビートをもたつかせることなく再現する。ボーカルとの分離も良く、小ピースのロックバンドの演奏にハマった。スケールの大きなロックバンドの演奏はあふれるほどの熱量を伝えてくる。マイケル・ジャクソンの『Heal the World』を聴いたら胸が熱くなった。

空間描写を広々と描くタイプのイヤホンではないと思うが、まるで演奏されたばかりの生の音楽を至近距離で浴びているような、独特の恍惚感に浸れる。例えるならば、名店の調理場で、濃厚な “一番だし” を味わうような贅沢感だ。

■圧倒的な消音パワーで、メリハリあるノイキャン性能を発揮！

肝心のノイズキャンセリング性能についても、場所を変えながらじっくりと試した。アプリから消音レベルを最大の「10」に設定すると、自動車のロードノイズからカフェなどで交わされる雑談の声までが、ピタリとシャットアウトされる。わが家で掃除機をかけながら音楽を聴いてみたところ、掃除機の吸引音がほとんど分からなくなるほどの消音パワーに圧倒されてしまった。

ノイズキャンセリング機能をオンにした際に、鼓膜を突つかれるような独特のプレッシャーは、筆者が試した限りQuietComfort Earbudsでは感じなかった。音楽をかけていない状態でも消音効果がかかるので、耳栓としても使いやすいと思う。筆者は、コロナ禍の前は飛行機で旅する機会もよくあったので、このくらいメリハリの効いた消音効果が得られる完全ワイヤレスイヤホンをずっと期待していた。待望のアイテムを早く機内で試してみたいものだ。

アプリからノイズキャンセリングの効果をスライダーで変更しても、強弱のレベルは変わるものの、音質は微塵もぶれない。ボーズ独自の音量に合わせてリスニング感を最適化する「アクティブEQテクノロジー」が、ANC機能と連携しながら聴こえ方のバランスを自動調整しているのだろう。

アプリから消音レベルを最も低い「0」にしても、StayHear™ Maxチップによるパッシブな遮音効果が高いので、屋外で歩きながら使う場面などでは十分に気をつけて使いたい。

最後にワイヤレス接続の安定感もチェックしてみたが、これはイヤホンとプレーヤーとの間、左右のイヤホン間ともに、申し分なく安定している。通話音声は人の声をやや強調し、相手に聴きやすくするチューニングが感じられ、ビデオ会議などビジネスシーンで本機を使う場面ではプラスに働くに違いない。マイクに由来するノイズもよく抑えられている。

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完成したQuietComfort Earbudsに触れると、ボーズが初のANC機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンを、時間をかけて丁寧に仕上げた意気込みが伝わってきた。QuietComfortシリーズのファンが納得するモデルに仕上がっていると思うし、ライバル製品との、明らかなキャラクターの違いも楽しめそうだ。

これまでに発売されたQuietComfortシリーズのヘッドホン・イヤホンやBose Noise Cancelling Headphones 700を満足して使っているユーザーも、ぜひQuietComfort Earbudsを試してみてほしい。きっと新たな発見があるはずだ。

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（提供：ボーズ）