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【PR】評論家・生形三郎氏が聴く

業界初の新技術でKEFの人気スピーカーがさらに進化!「LS50 Meta」の実力に迫る!

公開日 2020/10/01 06:30 生形三郎
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MATは、「Metamaterial Absorption Technology」と呼ばれる技術で、香港のAcoustic Metamaterials Group(AMG)と共同開発され、これまでオーディオ以外の分野で活用されていた「Metamaterial」を、オーディオ機器で活用できるようにしたもの。

LS50 Metaに搭載されているMATユニット

Metamaterialは“マテリアル”という名前が入っているが、素材や物質そのものを指すのではなく、構造や技術自体を指しているそうだ。プラスチックなどの既存の素材で特殊な構造をつくることで、個々の搭載製品にとって必要な働きをする物質をつくりあげることを狙ったものだという。

ここで用いられているMetamaterialは、Uni-Qドライバーのトゥイーター背面から放射される背圧成分を消音・吸収するために使用されている。MATの実物写真をご覧頂くと分かるように、まるで迷路のように構成された、深さ11mmで30種類の長さを持つ「回路(溝)」の集合体によって、背圧で生じた600Hz以上の音響エネルギーの約99%を吸収するのだという。それらの回路は、1/4波長共振器として機能するといい、溝の長さに応じた周波数で共振を起こしてエネルギーを吸収する構造のようだ。

MATの実物を確認する生形氏

KEFによると、同等のパフォーマンスを得るには、十分に設計された50cmの長いテーパーチューブが必要になるといい、さらに、それを非常に薄い円盤状のMATで実現していることは驚くべき性能と言える。他社製スピーカーで採用されている同様の技術としては、ユニット背面に対して逆テーパー上の長い消音チューブを設ける構造や、背圧をダンピングしながらコントロールするホーン・ローディング構造などの手法があるが、作用している周波数帯域が同一ではないにせよ、このMATはそれらに比べて非常にコンパクトなサイズで実現されていることが特徴的である。

なお、Acoustic Metamaterials Group(AMG)が公開している動画資料をネット上で閲覧できるが、発せられた音響ノイズに対して、従来的な吸音材や遮音材を用いずに、やはりMATのように複雑な回路構造を持つ軽量な構造物によって大きく音響エネルギーを吸収する様子が確認出来る。

KEFは、これらの吸収効果を「音のブラックホールのような役割を果たし、音の歪み削減、および音声の乱れ防止を実現する」と表現するが、Metamaterialは、様々な分野への応用の可能性を持った非常に興味深いアプローチと言えそうだ。同社の開発エンジニアであるSebastien Degraeve氏は、MATの開発意図に対して、「ドライバーユニットやキャビネットによって人工的につくられてしまう音ではなく、音楽そのものを聴くために、ドライバーユニットの背後に生じるノイズを吸収したかった」と説明している。

スピーカーユニットの背後にMATを搭載することで背圧成分を吸収

■従来モデルと比較試聴。その進化ポイントは?

では、MAT技術が搭載された「LS50 Meta」を実際に試聴して、従来モデルからどれほどの向上を感じ取れるかを検証してみたい。比較試聴は、昨年にオープンして注目を集める、東京は有明にあるKEFのコンセプトギャラリー「KEF Music Laboratory」で実施した。

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