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【特別企画】調整機能で確実なコンタクトを実現

“圧着テンションの最適化”が秘訣。ゾノトーンの交換用バナナプラグ「LUGB-SLR」レビュー

公開日 2020/03/06 06:40 生形 三郎
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座っていた状態から浮揚したかのような躍動感。接点ホールドの重要度を確認

ピアノトリオは、演奏のスピードが増したかのように、ピアノのタッチは勢いが増し、ウッドベースもスピードに乗り軽快さを得た。ドラムスも疾走感に満ちたフィルインを叩き込んでいく。それぞれの音像は、しっかりしたボトムの骨格はそのままに、より音像が引き締められるとともに、まるで地面に居座っていた状態から腰を上げ浮揚したかのように、断然躍動的に活動し出した。

付帯感が減り、ピアノの和音や打ち鳴らされるシンバルの余韻は、他の音にまとわりつかずに綺麗に伸びていく。ヴォーカルはより正確な輪郭へとシェイプされ、オーケストラでも各楽器の一音一音が歯切れ良く奏され、軽やかさを得る。

スクリュー部分を回すことで先端が開き、スピーカーターミナルにより密着させられる構造となっている

念のため、もう一度テンションを緩めて聴いてみると、やはりスピード感は減退し、音像は平坦になってしまう。特に中低域から中域にかけての美味しい帯域の滲みが大きく、ボーカルが膨らんでしまうことが残念である。オーケストラは、ややピンぼけな質感となってしまい、ホールの残響が少し煙たく感じられる。

この差は大きく、バナナプラグ使用時におけるコンタクトのホールド度合いは、非常に重要なポイントであると改めて痛感させられた。ケーブルのクオリティをいくら高めても、接点のコンタクトが緩んでロスが生じている状態では、ケーブルの本領が十分に発揮されないということだ。

ホールド度合いを高めることは、音質にとって重要なポイントとなる

続いて、ケーブルを同社の7NSP-ShupremeXに変え、バナナプラグにLUGB-SLRを装着して試聴してみたが、同様の音質変化を確認することが出来た。

さらに、プラグの音質を確認する意味も込めて、他社製切り出しスピーカーケーブルを用いた試聴も実施してみた。

まず、ケーブルの末端には何も着けずにそのままターミナルに接続する状態と、同社のバナナプラグ・LUGB-8.5STを取り付けた状態と比較した。すると、付けた状態の方が、音に張りや力感が幾分プラスされ、押し出しと明瞭さを獲得することが確認できた。音像の輪郭が浮き立ち、程よい立体感が生まれてくるのだ。そして、その状態から先端をLUGB-SLRに付け替えると、よりシャープで明瞭な方向性へと変化したことも確認した。



以上、LUGB-SLRは画期的なアクセサリーであるということが実感できた。経年によってコンタクトが緩んできてしまうバナナプラグの難点を解消するとともに、ターミナルによって微妙に異なる穴径に対してもその場ですぐさま対応可能とするという、バナナプラグの利点を存分に活かすことを可能にした画期的なツールと言える。

ゾノトーンの先端交換式バナナプラグであるLUGB-8.5ST、LUGB-10ST、LUG-5.5や、同社の純正完成品スピーカーケーブル7NSP-ShupremeX、Grandio SP-1を使っている方は勿論のこと、バナナプラグによる利便性の享受や音質チューニングを存分に楽しみたい方は、ぜひとも試してほしいアイテムだ。

(特別企画 協力:株式会社前園サウンドラボ)

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