現実的なサイズ/価格帯のオーディオ用バッテリー

ホンダがオーディオ用バッテリー参入。アクセサリー銘機賞グランプリの本機を審査委員6名が語る

福田雅光/井上千岳/生形三郎/鈴木 裕/炭山アキラ/林 正儀

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2019年12月10日
本年度の「オーディオアクセサリー銘機賞2020」審査会での大きなトピックスのひとつは、ホンダがオーディオ専用の蓄電機を発表したこと。ホンダがオーディオ分野に進出したのも初であれば、オーディオ専用バッテリーというジャンルにおいても、ここまで現実的なサイズと価格で製品化が実現したのは初めてのことである。その音質効果に関しても全ての審査委員が賞讃の声を上げ、満場一致で本年度のグランプリに輝いた。本項では審査委員長の福田雅光氏をはじめとした6人の審査委員が、その効果の魅力を語る。

オーディオ専用蓄電池「LiB-AID E500 for Music」¥270,000(税抜)

2020年2月中旬、200台限定発売
購入申込はホンダWebサイトにて、12/18(水)まで受付

ホンダが手軽に試せるバッテリー電源でオーディオ参入

社会の必需品として活躍しているリチウムイオン電池の発明にノーベル化学賞が与えられた。喜ばしいことであるが、この革命的な技術はもっと早く受賞してもよかったのではないか。

オーディオ分野においては、ホンダからリチウムイオン電池を採用したオーディオ用バッテリー電源「LiB-AID E500 for Music」が発表され、今期大きな話題になっている。オーディオの必需品になるのだろうか。すでに何度か試聴会が行われているが、大変盛況でマニアの関心は高い。

「LiB-AID E500 for Music」の正面とリア部。質量は5.4kgで持ち運びも自由にできる

リチウムイオン電池をエネルギー源とする交流100Vの電源によって、オーディオシステムの消費電力の少ない機器を、家庭の商用電源経路から切り離して駆動できる本製品。オーディオ機器は電源の品質が音質を左右することは知られているが、ホンダがオーディオに参入してきた驚きと、マニアが手軽にバッテリー電源の効果を試せることは興味深い。

そもそも、リチウムとはどのような物質なのか。水素、ヘリウムの次になる原子番号3という位置にある、金属元素の中でもっとも軽い物質だ。電気を帯びたイオンになりやすい特性があるため、乾電池の得られる電圧が1.5Vであるのに対し、一般的なリチウムイオン電池は3〜4Vの電圧が得られる。

発電機時代から培ってきた、直流を交流に変換する技術

このモデルのデザイン形態は、2017年に発売されたアウトドア用蓄電池「LiB-AID E500」が原型となっている。最大出力は500WでUSBポートを備えるなど基本的な機能は同じだが、オーディオ性能を高めるため、電流経路の部品やシールド構造に対策を施し音質性能を徹底したオーディオ用高級製品である。

バッテリーパックはリチウムイオン電池のセルを並列、直列の組み合わせにした構造で、電圧は約36V、電池容量は377Whとなっている。この直流電圧をインバーターユニットで昇圧し、PWM方式で交流100Vに変換。出力コンセントを通してオーディオに供給される。

本機のインバーターユニット。極めて⾼い精度で正弦波の交流100Vを⽣成するため、⼀般的なノイズフィルターや波形の補正を⾏うオーディオ電源とは異なり、商用電源による影響を受けず、理想的な正弦波を引き出す

この回路で肝になる技術は、直流を交流に変換する方法だろう。矩形波によるデジタル的な方法を採用する製品も安い価格帯にあるが、ホンダは発電機の時代から、直流を変換するスイッチング信号に美しい理想的な正弦波を採用してきた。波形歪みの少ない交流波形を出力する、目に見えないホンダの自慢の技術である。

オーディオ性能としてこだわった部分としては、出力コンセントの電極にロジウムメッキ採用のフルテック最高級デュアルコンセント「GTX-DNCF(R)」を採用。また、配線材にはオヤイデの102SSC精密導体のワイヤーが使われていることがある。

コンセントはフルテック社「GTX-DNCF(R)」で、E500用に専用設計したものを搭載(写真右)

内部配線材にはオヤイデ電気の精密導体「102 SSC」を採用

加えてコンセントの固定パネル部には制振性能を重視してマグネシウム含有のアルミ合金を採用。ボディ内部には電磁波を吸収するシールド材を採用して、内部/外部からの電磁波に対策する設計がされている。

音楽の陰影表現力が高く、厚い響きの低音にも注目

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