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現行フルサイズ機、トップクラスの表現力!

パナソニック「LUMIX DC-S1R」レビュー。妥協なきフラグシップの真価に迫る

公開日 2019/12/02 06:00 山田久美夫
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■しっくりとしたホールド感。「大きく重い」には理由がある


本機ほど、第一印象と、実際に使用してからの印象が大きく変わるモデルは珍しい。

実機を前にすると、素直に「大きいなぁ〜」と思うし、手にするとやっぱりズッシリとした重さがある。しかし、いざ構えてみると、グリップが大きく、手のひら全体で支えられるため、しっくりとしたホールド感、安定感がある。レンズとのバランスもよく、不思議なほどに大きさや重さを感じさせないのに驚く。

むしろ、ビクともしないほどの、きわめて高いボディ剛性に、えもいわれぬ安心感と高級感を覚える。もちろん、首から提げていると、さすがに重く、肩首が凝る。だが、バッグに入れて持ち歩いてみると、意外に重さを感じないのも不思議なところ。

そう、冷静に考えると、本機の大きさや重さは、中堅クラスのフルサイズ一眼レフとほぼ同等。もちろん、レフ機のフラグシップ機よりは小型軽量だ。数年前まで、本格派モデルなら当たり前だった大きさや重さなのだが、小型軽量なミラーレス機に身体が慣れてしまった昨今では、まずその点を感じてしまうのだろう。


操作部のレイアウトもわかりやすい。使用頻度の高い「露出補正」「ISO」「ホワイトバランス」はシャッターボタン周りに専用ボタンを配置。指先だけで簡単に操作でき、ファインダー内の表示も直感的だ。また、ジョイスティックの反応もよく、AF測距点の変更もスムーズ。特に斜め方向に動かしやすいのがポイントだ。

■現行機でトップレベルの見え味を誇るEVF


撮影を進めていくと、本機がとても真面目に作られているのが実感できる。最も感心するのがEVFだ。ファインダーはカメラの命。撮影中、全神経を集中させる部分だけに、そのクオリティは重要だ。

本機のEVFは、約576万ドットの超高精細な有機ELパネルを採用しているが、その見え味は現行機でトップといえるレベル。とてもきめ細かで、画面周辺まで歪みや色付きがなく実にクリア。ピントの芯も掴みやすく、マニュアルフォーカス時でも安心感がある。

しかも、表示される絵作りがとても自然で心地いい。また、画質モードなどを変更した際も、表示がリニアに変化するため、最終的に写る色や階調を、EVFできちんと確認しながら撮影できる点も嬉しい。表示も秒120フレームと超高速で、タイムラグもきわめて短く、動きモノの撮影にも十分対応できる。

さらに細かなことだが、ファインダー倍率が、デフォルト設定の0.78倍に加え、0.74倍、0.70倍の3段階で切り換えられる点も見逃せないポイント。倍率を下げることで、動きながらの撮影や縦位置中心の撮影などでは、視点を動かさずに全視野を見ることができ、メガネをかけている方も快適にフレーミングが行えるだろう。


EVFの右上に配置された「V.MODE」ボタンを押すことで、ファインダー倍率を素早く切り換えることができる。メガネをかけたままでも快適なフレーミングが可能だ。

また、シャッターの感触もいい。キレ味がよく、動作も静か。シャッターの振動も少なく、とても安心感がある。

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