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ブライトな高域で、豊かなサウンドながら緻密に再現

他にない“オンリーワン”のワイヤレススピーカー。Bang & Olufsenの名作「Beoplay A9」最新世代レビュー

公開日 2019/10/10 06:30 高橋 敦
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そのようなわけで、導入時の「設定」は思いのほか簡単だ。悩ましいのはむしろ、部屋のどこに置くかという「設置」の方かもしれない。

ただそれは、「部屋のどこかに置くかによって音が変わるのでそれを考慮した設置が必要」といったような、オーディオ的な悩ましさではない。先ほどの初期設定の中にも組み込まれているように、このスピーカーには、その部屋その場所の響きをテストトーンで測定して設定する「自動音響調整機能」が搭載されている。部屋のどこに置いても問題なく、そのポジションから部屋中に素晴らしい音を提供してくれるのだ。


どこに置いても最適な音質を実現。あとは部屋の様相とどのように合わせるかがポイント
なので、ここで言う「どこに置くかに悩む」というのは、ただ純粋にインテリア的な観点からの話。部屋に溶け込むデザインではあるが、だからこそ「部屋に完璧に溶け込ませるように置く」のか、「あえてちょっと目立たせるように置く」のか、インテリア的なセンスの見せどころになりそうだ。

ネットワークやオーディオのセッティングよりも、インテリアとしての見せ方の検討に時間を要する、時間をかけたくなる。それもこのスピーカーならではの魅力と言えるだろう。

もちろんB&Oの系譜にあるアイテムであるから当然、純粋にオーディオとしての魅力も素晴らしいものを備えている。アンテナのようなフォルムの正面には、8インチウーファー×1、3インチミッドレンジ×2、3/4インチツイーター×2、そして背面に1.5インチフルレンジ×2と、計7基のスピーカーユニットを搭載。


A9最新世代機は、ブライトな高域とクリアな中低域が魅力

電源ケーブルの被膜部分もファブリック素材を採用
それらを活用し、低音から高音までのワイドレンジさ、正面全体からの放射と背面からの反射による部屋全体への音の広がり、精密な自動音響調整などを実現。設置した場所から部屋全体に向けて、見事に整えられた音をバランスよく届けてくれるのだ。

サウンドの傾向として印象的なのは、高域の適度なシャープさやブライトさ。その成分がシンバルの鋭さやギターのエッジ感を際立たせてくれる。部屋全体に音をふわっと広く届けてくれるタイプのスピーカーにはソフトタッチなサウンドの製品が多いのだが、こちらのスピーカーは音を豊かに広げつつも、カチッとした硬質さや精密感の表現も得意だ。


音質設定等もこの「Bang & Olufsen」アプリから

大まかなイメージで音調を調整できる「ToneTouch」設定

高音と低音を個別に調整できる「Equalizer」設定
だが耳に痛い鋭さや硬さではないので、ストリーミングサービスをBGM的に流し続けておくといった使い方においても、音が主張しすぎて邪魔になることはない。またその高域も含めて、音調はアプリに用意されているイコライザー機能でも調整可能。柔らかな音が好みの方はそちらを使って好みに合わせるもの良いだろう。

中低域もクリアで、ブライトな高域とのマッチングが見事。大口径のウーファーとミッドレンジを高出力アンプで完璧に制御することで、余計な膨らみやだぶつきを抑え込んでいるのだろう。ポップスやロックのエレクトリックベースのフレーズラインの明確さはもちろん、ジャズのウッドベースの描写までも見事。タッチの瞬間の感触、弦の張りの強さまでも感じられるような、弾みのある音色を届けてくれる。



Beoplay A9は一般的なBluetoothスピーカーと比べると大柄で、価格帯もかなり上となるアイテムなのは事実。そもそもそれらと比較して選ぶような製品ではないだろう。大型ワイヤレススピーカーといってもパーティユースの派手な大迫力モデルとは別物だし、本格的なピュアオーディオシステムともやはり色が違う。

他にないコンセプトによるオンリーワンなワイヤレススピーカー、それが「Beoplay A9」なのだ。この魅力にピンときてしまったなら、もうこれを選ぶしかないだろう。

(高橋 敦)

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