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DDFAのBTL構成で増した駆動力も魅力

“高音質×多機能×良デザイン” 実現の新プリメイン登場! デノン「PMA-150H」を聴く

公開日 2019/09/26 06:15 土方 久明
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操作系統は、本体と専用リモコン、そしてスマホやタブレットの「HEOS」アプリによるネットワーク操作に対応。Amazon Alexa搭載のスマートスピーカーと組み合わることでボイスコントロールも可能だ。

HEOSアプリから音楽ストリーミングサービスの選択も楽に行える。サービスインしたばかりの「Amazon Music HD」も対応

こういったネットワーク再生操作のトレンドはここ数年で目まぐるしく変化した部分であり、PMA-150HはDRA-100の高い基本性能は受け継ぎつつ、最新のネットワーク連携機能に対応したということになる。

最上位モデルに次ぐ厳密な音質チューニング

機能的な部分だけでも実に買い得感のあるPMA-150Hだが、魅力はそこだけではない。本機は“デザインシリーズ”の中でもトップクラスの音質を狙い、シリーズ最大級の物量投入と最高レベルの音質チューニングが実施されている。

ポイントとなるのが、第2世代のDDFAを用いたBTL方式のパワーアンプの搭載である。DDFAはクアルコムのD級アンプモジュールで、高速・高精度のデジタル・フィードバック・ループにより、一般的なクラスDアンプが持つ短所である歪の多さや電源変動による音質劣化を最小限に抑えているのが特徴だ。アンプの定格出力は70W+70W(4Ω)となる。

第2世代のDDFAモジュールとBTL構成を採用し、従来モデルよりも駆動力を強化した

PMA-150Hに搭載されている第2世代のDDFAモジュールは、モジュレーターとフィードバックプロセッサーがワンチップ化されているのだが、これによりモジュール周りの部品点数が削減され、従来ではできなかった細部まで設計を見直すことができたという。それらの部品に対する電源供給ラインもシンプルになった。

同社のお家芸とでもいうべきアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」も搭載されている。本機能が最大限に生かされるPCMフォーマットでのデジタル入力時であれば、入力された音声信号はそのまま各種の補間処理やボリューム調整、トーンコントロール等が行われ、デジタルのままDDFAモジュールに送り込まれる(DSDはPCM変換される)。つまり入力からDDFAの入力まで内部処理を全てデジタルドメインで行うアドバンテージが生まれている。

さらに、同社全製品の最終的な音決めをするサウンドマネージャーの山内慎一氏が特注した「S.Yコンデンサー」を含むオーディオグレードパーツが、DDFAの駆動段をはじめ、DDFAのロジック部、ネットワークやUSB-DAC部、また表示関連の電源部など広範囲に使用されていることも見逃せない。またネットワーク、デジタル、アナログセクションが独立基板となるなど、DRA-100からのオーディオ回路部の全面的な刷新も印象的だ。

製品の試聴とは別の機会に、同社サウンドマネージャーの山内慎一氏から開発についての話を直接うかがったのだが、同氏はそこで「回路や各パーツの世代が新しくなったことで、今まで見えなかった音の領域が見えてきた。そこで周辺パーツについて、さらにこだわらざるを得なくなった」と語っていた。

また、開発にはやはり相当な労力がかかったそうだ。例えばDDFAでBTLのバランス駆動を採用した結果、回路規模は2倍となり、効率的なパターンレイアウトや実装方法の模索に長い期間がかかったという。また音質チューニングにおいても、パーツを変更した際の反応がアナログアンプとは異なり、加えてDDFA以外にもデジタルの信号処理系が多いため、カットアンドトライが繰り返された。幸いにも、同社には数世代に渡りDDFAを用いてきたことで蓄積したノウハウがあり、またPWMの処理周波数などDDFA内部の調整により、立体感やディテールに関わる細かいチューニングが実現できたという。

PMA-150Hは、最上位モデル“SX1 LIMITED”のチューニングも手掛けた山内氏が、それに勝るとも劣らない厳密な音質チューニングを施した製品といえるのだ。

透明感に立体感と低域の重心をプラス。使い方も自由自在

PMA-150Hを自宅に持ち込み、筆者がサブシステムで愛用する“デザインシリーズ”のプリメインアンプ「PMA-60」と聴き比べながらクオリティチェックを行った。こちらもDDFAを採用している、PMA-150Hよりひと回り小型の製品だ。

同じ“デザインシリーズ” 製品で筆者愛用のプリメイン「PMA-60」(右)と並べた

設置性は抜群で、電源/LAN/スピーカーケーブルを接続し、あとはソースに合わせてUSBメモリやUSBケーブル、ラジオ用アンテナを接続するだけ。筆者の自宅では、ラック上にPMA-60と並べて設置した。本機のシャーシは“デザインシリーズ”の中でも一番大きな部類だが、それでもフルサイズコンポーネントと比べるとコンパクトだ。

まずはRoonをインストールしたMacBook ProにUSB接続して音質を比較した。駆動するスピーカーは筆者宅にあるDYNAUDIOのブックシェルフスピーカー「The Special Forty」である。

PMA-60やブックシェルフスピーカーを設置した、筆者宅のサブシステムで試聴した

次ページデザインシリーズをまた一段上に押し上げる完成度

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