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世界初のトリプルドライバー完全ワイヤレス!AVIOTの意欲作「TE-BD21f」は“良い音ファン”最注目だ

公開日 2019/09/12 09:24 鴻池賢三
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モニターライクだが、色気のような味わいを感じるサウンド

試聴はまず、本機のポテンシャルを探るべく、ポータブルプレーヤーと組み合わせ、aptX接続でハイレゾ音源を中心に行った。

1曲目は筆者のリファレンス、Susan Wongの「How Deep is Your Love」。軽やかな楽曲で、ボーカルの華やかさ、ほんのりとした甘さ、艶やかさ、空気感が感じられるかどうかがポイント。録音が良く超高解像度で、ギターやベースの質感に耳を傾けると、オーディオ機器の実力が手に取るかのように分かる。

まずポータブルプレーヤーと組み合わせ、aptX接続試聴を行った

本機では、Susan Wongの類稀なる歌唱力が引き立つ。シルキーで有機的な美しさは、上質なバランスド・アーマチュアドライバーにのみ許される特権で、抑揚の滑らかさに惹き込まれて行く。埋もれがちな微小音も丁寧に拾い、粒立ち良く再現。楽器の音色がリアルで輪郭豊かに鼓膜に飛び込んで来るのも快感だ。

音源に含まれた情報をより多く忠実に再現する点ではモニターライクといえるが、色気のような味わいを感じるのも本機の魅力。わずかに響きが加わり、デッドになり過ぎず、心地よい艶感として楽しめる。この効果は、恐らくジュラルミン素材によるものだろう。響きは乗っても濁りを感じず、美しい響きとして味わえるのだ。乾燥しがちな圧縮音声にとって、こうしたアコースティックな手法による手助けは好印象だ。

ほか、EDM系もリズム感たっぷり。Daft Punkの「Give Life Back to Music」は質を犠牲にした重低音派ではなく、収録されている波形を歪みなく鼓膜に届けてくれる印象。スッキリと軽快な空間に、ドラムのインパクトが鮮やかで、余韻も丁寧かつキレが良く、静寂との分離感が爽快。余計な音がしないので、低域の真の深み、強弱、距離感の変化も的確につかめるのだ。本機は、低音は増強した量感に頼るのではなく、インパクトが重要だとリスナーを諭しているようにも思える。

iPhoneと組み合わせて、YouTubeでPVも試聴してみた。近年YouTubeは有用な音楽ソースだが、より高音質で楽しめればリスニングスタイルも広がるだろう。ポイントは、音源のスペックがCD程度かそれ以下で、伝送時にAAC圧縮される点で、イヤホンの評価は、高忠実に再生するよりも、快適に聴かせる「チューニング」が左右する。

楽曲はTWICEの「YES or YES」を選択。冒頭、Michael JacksonのThrillerを想起させるホラー映画仕立ての場面は、重厚な効果音が轟いて臨場感が豊か。映画やドラマの視聴にも適しそうだ。同曲はアップテンポでパワフルなダンス・ミュージック。本機ならキレが良くリズム感が増し、映像の素晴らしいダンスパフォーマンスとの相乗効果で、のめり込んでしまう。

ちなみに筆者は「What is Love?」も超お気に入り。本機なら、楽曲の中毒性もさらに増しそうだが、長時間聴き続けても、良い音なら疲れにくいというものだ。

いい音を求めるなら真っ先に注目したい

本文で装着感の良さに触れたが、試聴を通して、音質面でもベストポジションが的確に見つかることに気がついた。実のところ、イヤホンの音質は装着状態に大きく左右され、いくら物量をつぎ込んでも、リスナーにフィットしないと意味がない。

耳にやさしくフィットする装着感

過去の経験で、良いイヤホンは個人差をものともせず、1発でピタッと最適ポジションが見つかるもの。その点で本機は、共同開発された特注SpinFitイヤーピースも含めて大変優秀だ。

贅沢なドライバー構成で高音質と個性を備えつつ、2万円を切る価格設定も非常に魅力的。オーディオファン、良い音ファンなら真っ先に注目したいコストパフォーマンスにも優れた好製品といえる。

贅沢なドライバー構成がコンパクトな本体に収まっている。高音質と個性を備えつつもコスパは高い

(特別企画 協力:バリュートレード)

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