著名ブランドから新興メーカーまで

“手の届く価格”の優秀スピーカーに注目 ー 独HIGH ENDで聴いた「特別な音」<2>

山之内 正

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2019年06月24日
5月にミュンヘンで開催されたHIGH END 2019について、前回はアナログ関連を中心に筆者が注目する展示を紹介した(レポート記事第1回はこちら)。今回はハイエンドオーディオの重要な一角を担うスピーカーに焦点を合わせ、話題作を紹介しよう。

昨年はフォーカルやPMCがフラグシップ機を公開して話題を集めたが、今年はもう少し現実味のあるサイズと価格帯に良品が揃っていたように思う。ハイエンドオーディオ製品の高価格化が進むなか、手に届く範囲で良いものを手にしたいという思いはヨーロッパのオーディオファンも例外ではないはずだ。

イタリアから注目スピーカーが続々登場

ソナス・ファベールが「Electa Amator III」に続いて投入する「Minima Amator II」はそんな「身近な良品」の代表格と言えるだろう。初代機はサイズの制約を聴き手に意識させない伸びやかな空間表現と、Electa Amator譲りの歌いっぷりの良さで多くのファンを獲得した。最新作のサウンドはその2つの美点を確実に受け継ぎつつ、反応が良く質感の高いベースの再生能力を獲得しているというのが筆者の第一印象だ。

Sonus Faber「Minima Amator II」

混雑が緩和された最終日に一人でじっくり聴いていたのだが、気付いたら私のまわりで大勢の来場者が熱心に耳を傾けている。通りすがりの音楽好きが思わず足を止めて聴き込んでしまうような不思議な魅力がこの小型スピーカーにはそなわっているのだ。

同じくイタリアから到着したAUDEL(オーデル)のスピーカー群も目を引く存在だ。北イタリアのヴィツェンツァに本拠を置く老舗のソナス・ファベールとは対照的に、AUDELはシチリアで誕生した比較的新しいブランド。キャビネット構造に独自のこだわりがある点は共通だが、その方向性は微妙に異なる。

AUDEL「Magika mk2」

AUDELのキャビネットは薄くスライスしたバーチ材を前後方向に貼り合わせた積層構造を採用し、さらに内部に細かいリブを設けて定在波の発生を抑えていることが特徴だ。その成果は再生音に現れていて、付帯音がきわめて少ない澄んだ低音に強い印象を受けた。中高域は音色の描き分けが丁寧で、低音がかぶらないので見通しも良い。すでに日本にも輸入されているので、機会があればぜひ音を聴いてみることをお薦めする。

木材の質感を活かしたキャビネットといえば、やはりイタリアから出展していたDIAPASON(ディアパソン)の存在も忘れるわけにはいかない。今年はヴァン・デン・ハルと同じブースで「Dyanamis」など主要モデルを鳴らしていたが、なかでも「Adamantes V」や「Karis Wave」など小型スピーカー群の素直な声の表現力に耳を奪われた。

DIAPASON「Adamantes V」

DIAPASON「Karis Wave」

無垢のウォールナット材からハンドメイドで削り出す造形の美しさもさることながら、キャビネットというより楽器のような艷やかな感触をたたえて伸びやかに歌う。特にLPレコードの音調と相性がよく、ジャズのソロ楽器から生き生きとした表情を引き出しているのが印象的だった。

エステロンやRaidho Acousticのスピーカーが登場

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