セパレート型で目指した“最上の音”の実現

エソテリック「N-03T」を聴く ー ファイル送り出しに特化して音楽の臨場感まで再現

鈴木 裕

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2018年12月17日
ハイエンドブランドとして「N-05」と「N-01」を登場させ、ネットワークオーディオにも果敢に取り組んできたエソテリック。N-05とN-01はすでに高い評価を得てきたが、次の一手が「N-03T」だ。デジタル音源の送り出しに特化したトランスポートで、セパレート型での“最上の音”を目指した注目モデルをレビューする。

ESOTERIC ネットワークオーディオトランスポート「N-03T」¥780,000(税抜)

本機の概要を知る
■とにかく良い音を追求した、こだわりのトランスポート


エソテリックのネットワークオーディオへの取り組みは慎重だった。その最初のプレーヤー「N‐05」がリリースされたのは2016年4月、フラッグシップ「N-01」の登場は2017年8月だ。慎重だったが、いざ登場した機器の音を聴くとさすがの出来栄えで、次はどんな製品が出てくるのか期待は高まった。そしてネットワークトランスポート「N-03T」が登場した。

トランスポートという意味は、D/A変換部やアンプ部を持たず、ハイレゾデータを再生してデジタル信号として出力するプレーヤーという意味だ。エソテリックにはD/Aコンバーターやデジタル入力を持ったデジタルプレーヤーが、多彩にラインナップされている。それらにUSBケーブルを通して出力して下さい、という考え方のようだ。

このように書くと、DELAやfidataのようなオーディオ専用のNAS(ミュージック・サーバー)もUSBケーブル等でダイレクトに接続していい音がしているのではないか?とお考えの方もいらっしゃると思う。先に結論を記せば、ミュージックサーバーからの音とN‐03Tからの音を比較すると、その差は相当に大きい。

ネットワーク用とデジタル回路に2つの強力な独立電源を装備

N-03Tの概要をかいつまんで紹介すると、ボディやスパイク機能付きの脚はエソテリックの製品に共通する仕様だが、内部には工夫が凝らされている。ボトムシャーシは5mmと2mmという厚みを変えた鋼板を使用したデュアルレイヤー構造で、電源トランスとその他の基板などを分けて立体配置。各レイヤーにはスリット加工による振動コントロールを行っている。

ハイレゾ音源を走らせる(再生する)内蔵ネットワークモジュールと、その他のデジタル回路用には、2つの独立した大容量トロイダルトランスを搭載。また、大容量フィルターコンデンサー、ショットキーバリアダイオード、1F(100万μF)の大容量キャパシターなど、贅沢な部品で構成されたリニア電源部と組み合わされている。また、ネットワークプレーヤーというと、NASに入っているハイレゾデータを再生するイメージが強いが、Spotifyなどのストリーミングサービスにも対応している。

N‐03Tの背面端子部。デジタル出力にはUSB以外にRCA、XLR端子を装備。ネットワーク端子の他にUSB端子も備え、USBメモリ等を装着すればミュージックサーバーとして利用可能。10MHzの外部クロック入力(XLR/RCA出力時のみ有効)も搭載

N‐03Tの内部。2つの独立した大容量トロイダルトランスを搭載、贅沢なパーツを投入したリニア電源がデジタル音源の送り出しに大きく寄与している

操作については独自の「ESOTERIC SoundStream」を設定。ネットワーク再生コントロール用のiPad/iPhoneアプリケーションだ。タブレットやスマートフォンの画面で曲を選び、プレイリストを作成して再生していく使いやすいもので、タグ情報を使った検索性も良く、アルバムのアートワークのスクロールがすぐにできたり、録音年代別、作曲者別、カテゴリー別などライブラリーの並べ替えも行える。こうした操作性と使いやすさも大きな特徴といえる。

コントロールアプリには操作性の高い独自iOS向けアプリ「ESOTERIC Sound Stream」を採用。タグ情報を活用し、アルバムアートワークもスムーズに表示


本機の音に触れる
■NASから本機を通した後に、USBでK‐03Xsに接続し試聴


試聴テストはエソテリックの試聴室で行った。ミュージックサーバーはfidata「HFAS1-H40」。D/Aコンバーターとして使ったのはデジタルプレーヤーの「K-03Xs」。インテグレーテッドアンプ「F-03A」でタンノイの「キングダム・ロイヤルカーボンブラック」を駆動する。他にルーターとコントロール用のiPadを使用した。

静寂でサウンドステージに近く、音像が大きめで音楽に近い感覚

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