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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第218回】完全ワイヤレスイヤホン、買う前に絶対チェックすべき “8つのポイント” 徹底解説

公開日 2018/11/13 06:00 高橋 敦
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●接続安定性のキーワード「TWS Plus」


「TWS Plus」とは、無線チップの分野をリードするQualcomm社が普及を図っている「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」の通称。まずはこちらのイラストを見ていただければ、その概要をすっとイメージしてもらえることだろう。

再びQualcommによる概略図。こちらは従来型のリレー式TWS

こちらがTWS Plus。スマホ等から左右両方に直接接続

完全ワイヤレスイヤホンで音飛び・音切れが起きやすいのは、リレー式のBluetooth伝送のために、どちらか一方だけでも伝送が途切れてしまうと音飛び・音切れが発生しやすくなるというのも大きな理由の一つだ。

この解決策として、TWS Plusでは「スマホと左右それぞれのイヤホンを個別に接続(リレー方式をなくす!)」という明快な手法を採用した。加えて「左右まとめたステレオではなく、左右それぞれのモノラル伝送だから、データ伝送のビットレートが下がって伝送はさらに安定!」という優位性も持ち合わせている。

最近では、そんな“TWS Plus”にも対応するBluetoothチップの最新版「QCC3026」を搭載した完全ワイヤレスイヤホンも登場し始めている。

AVIOT「TE-D01b」。11月発売で実売1万4800円程度の見込みとのこと

しかし、ここで注意が必要なのは以下の条件だ。
《TWS Plusの実現には、イヤホン側で対応チップを搭載するだけでなく、スマホやDAPの側も最新SoC『Snapdragon 845』を搭載し、ソフトウェア的にもTWS Plusに対応していることが必要》

スマホやDAPの側でも「音声を左右別々にイヤホンに送り出す」といった、これまでにない処理が必要になるので、この条件は当然である。だがしかし、実は2018年10月時点(記事執筆時)では、その条件をクリアできているスマホやDAPが存在しない。Snapdragon 845搭載スマホはいくつか出てきているのだが、ソフトウェアまで含めてTWS Plusに対応した製品はまだない。

というわけで、現時点ではQCC3026/5100搭載の製品でもTWS Plusは利用できない。また将来的にも「TWS Plus対応のQualcomm製SoC搭載で、ソフトウェア的にもTWS Plus対応する」という条件をクリアするスマホやDAPが、どの程度登場してくるのかというと、それは不透明だ。

正直なところ、今はまだ「もうすぐTWS Plusの時代が来る!」と言い切れる状況ではない。TWS Plusについてはとりあえず「来年1月のCESでの動きを確認するまでは様子見かな…」くらいの距離感をおすすめする。

しかし先ほどのBluetooth 5.0の話と似ているが、TWS Plusという要素はひとまず置いておくとしても、最新のBluetoothチップである「QCC3026/5100」には様々な優位性がある。

特に大きいのは省電力化だ。同社のこれまでの主力Bluetoothオーディオチップとの比較では、消費電力を約65%削減。バッテリーをより効率的に使うための仕組みなども導入されている。実際これまでの完全ワイヤレスイヤホンの多くが、連続再生時間2〜3時間程度だったところ、QCC3026搭載のAVIOT「TE-D01b」は、一般的な筐体サイズのままで、イヤホン単体での再生時間を約9時間にまで伸ばしてきた。

また送信出力と受信感度も向上しているとのことで、接続安定性の面でも期待できる。多くのメリットをもたらしてくれる新チップだ。2018年秋の時点でのポイントとして「(TWS Plusはまだ先の話だけど)QCC3026/5100搭載は現状でも大きな強み!」と言うことができるだろう。

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