<連載>オーディオワンショット

文句なしの音楽的バランスを備えたハイエンドスピーカー。ソナス・ファベール「AIDA II」を聴く

藤岡 誠

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2018年10月25日
オーディオ評論家・藤岡 誠氏が自身の推薦するオーディオ機器、関連アクセサリー、あるいはコンポーネントの組み合わせ、またある時は新技術や様々な話題など、毎回自由なテーマで進めていく本連載。今回はソナス・ファベールのスピーカーシステム「AIDA II」について紹介する。

「AIDA II」13,800,000円/ペア(税抜)

はじめに

Sonus faber(ソナス・ファベール)は、フランコ・セルブリンが1980年(昭和55年)に北イタリアでスピーカーシステム専門メーカーとして設立した。

日本市場に初登場したのは、3年後の「エレクタ・アマトール」からだと記憶している。なぜ覚えているかといえば、当時取材で初めて試聴した際に、ブックシェルフ型として群を抜く音質・音調、さらにキャビネットのバッフルなどに本革を用いたデザインや仕上げなど、国産にはないこだわりに大きく感心させられたからである。

私は取材中に「これを買う!」と決めて、すぐさま輸入元の(株)ノアの社長に電話。製品は、翌日には自宅に届いた。社長いわく「送ったエレクタ・アマトールは、日本導入の第1号モデル」ということだった。その後1991年(平成3年)には「エクストリーマ」も購入。私はそれぞれをブックシェルフ型のリファレンスとして愛用したものだ。

ところで、「Sonus faber」という言葉は “音の工房” を意味しているとのことだ。その名の通り同社のシステムは、室内にセットした時の佇まいが視覚的にも聴覚的にも素晴らしく、特に寄木細工の外観や本革を使用したバッフルによるキャビネットは他社にない芸術的な感性がある。聴こえもハッタリ的な性格を一切表出しない。

読者ならご存知の通り、同社はこれまで多くの銘機や話題作を展開しているが、今年になって新しい最高級型スピーカーシステム「AIDA II」を登場させた。型名から容易に想像できるように、2012年(平成24年)に発売された「AIDA(アイーダ)」¥13,500,000(税別・ペア)の新世代モデルである。

この「AIDA II」を初めて見て聴いたのは、去る6月に開催された「音展(OTOTEN)2018」での完実電気のブースだった。入場者の中にはオリジナルの「AIDA」を知識としてご存知の方や、現用中の方も居られ「一体、どこが変わったのかな?」と熱心に観察されている姿が印象的だった。

「AIDA II」は、オリジナルの基本的デザインにはほとんど手を加えず、内部構造を新設計し、最新のユニットや部品などを使用。外形寸法、重量に変化はない。発売は今年6月からスタート。価格は¥13,800,000(税別・ペア)。旧型に対し、ペアで30万円の価格上昇である。既に数セットを発売済みとのことだ。ウーファーやミッドレンジ・ユニットの振動板は、新しくSonus faber社が素材開発。デンマークのユニットメーカーのスキャンスピーク社が生産しているとのことである。

AIDA IIの概要

驚くのは表示されているクロスオーバー周波数の数だ。何と、55Hz、150Hz、200Hz、3,000Hzという具合である。いかにも独自のこだわりを感じさせるマルチウェイだ。

クロスオーバー・ネットワークは、独自の “パラクロス・トポロジー=位相幾何学” と呼ぶ回路に寄るもので、振幅/位相特性、空間/時間特性を最適化しながらアンプの低域方向のインピーダンスも制御するという新機軸のアプローチが成されている。なお、本機の全体的構成をシンプルに表記すれば、「3.5ウェイ・5スピーカーユニット+“サウンド・シェイパー”(後述)」ということになる。例によってSonus faber独自で着脱自在の糸状のグリルが、前方バッフルはもちろん、背面のバッフルに付属する。これは音の透過性が抜群で、デザイン的にも優雅さがある。

それでは以下、ユニットを含めて極めて単純に分かりやすく紹介しよう。

トゥイーターは、リング・ラジエーター型とソフトドーム型の特質を兼ね備えたΦ2.8cmタイプでオリジナル設計。ミッドレンジは18cmのコーン型。写真からも分かるように、ウーファーは22cm×2でフロントバッフル下方にマウント。さらに外部からは見えないが、キャビネットの底部に32cmのサブ・ウーファーが下方へ向けてマウントされ超低域方向の音圧を担当させている。

新旧AIDAの内部比較

世界最高水準の聴こえと多機能が魅力の逸品

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