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日本未導入製品を検証

Roonが開発した初の“純正サーバー”「Nucleus」を試す。音質や操作性をパソコンと比較

2018/08/16 逆木 一
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パソコンとNucleusでどこまで音は変わるのか? 比較してみた

ひととおりNucleus+の動作を確認したところで、音質評価に移った。

音質評価では筆者を含めて誰もが気になるであろう「PCと比べてNucleusの音はどうなのか?」を確かめるべく、筆者の何の変哲もないノートPCとNucleus+を比較した。

同じ音源を入れたノートPCとNucleus+でそれぞれRoon Coreを動かし、音の差を確認する形である。この時、Coreの切り替えを含むUSBケーブルの差し替え以外の操作はすべてiPadのRoon Remoteから可能。ちなみに筆者のノートPCはCPUにCore i7-8550U、RAMは16GB搭載しており、Roon Coreを動かすにあたってスペック的な不安はない。

試聴システムはUSB-DACにラックスマン「DA-06」、プリメインアンプにアキュフェーズ「E-370」、スピーカーにエラック「FS247 BE」という組み合わせ。音源はKygo「Kids in Love」から表題曲を使った。

パソコンとNucleus+でRoonの音質を比較した

まずはノートPCで聴く。良質なUSB-DAC、良質なアンプ、良質なスピーカーのおかげで、じゅうぶんすぎるほど良いと思える音である。上にも下にもよく伸びているし、試聴室の空間を満たせる音の広がりもある。少なくともこれだけ聴く限り、特に不満を感じるような音ではない。

続いてNucleus+で聴くと、最初の音が出た瞬間からもはや別物だった。一音一音の粒立ち、空間の透明感、ボーカルの伸びやかさ、低音の沈み込みと量感などなど、あらゆる要素でノートPCを凌駕している。

あらためてノートPCで聴けば、Nucleus+と比べて明らかにノイジーで、音の伸びが足りず、常に頭を押さえつけられたかのような窮屈さがある。それに対してNucleus+は、一般的なPCとオーディオ機器を接続した際に付き纏うノイズの影が小さい。音の輪郭から滲みが減り、定位感も大きく改善される。これは想像以上の差と言うほかない。

その後も時間の許す限りRoonを使って様々な曲を聴いたが、Nucleus+が聴かせたクリアかつ厚みのある音は間違いなく「オーディオ機器の音」であって、「PCの音」ではなかった。今回のNucleus+は付属の電源アダプターを使用し、音源ストレージはごく普通のポータブルHDDを使用するなど、限りなく「素」の状態であったにも関わらず、一般的なPCとは次元の違うポテンシャルをいきなり見せ付けることとなった。



完璧なRoonの体験を約束し、音質的にも一般的なPCとは一線を画す。そんなNucleusが日本に正式導入された暁には、Roonならではの体験を多くのオーディオファンに届けるうえで、大きな役割を果たしてくれるだろう。

(逆木 一)

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