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上位モデルの音質思想を継承

デノン “新世代エントリー”、CDプレーヤー「DCD-800NE」とプリメイン「PMA-800NE」の実力を探る

公開日 2018/08/09 06:15 生形三郎
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付帯感のない澄んだ音色がハイスピードに展開するPMA-800NE

続いてプリメインアンプのPMA-800NEを聴く。本機もDCD-800NEと同傾向のサウンドを持ち、そして上位NEシリーズからの質感を正統に継承することがすぐさま伝わってくる出音だ。何よりも快いのが、付帯感のない澄んだ音色。全帯域に亘って均質にハイスピードが確保されていることが実に爽快だ。

「PMA-800NE」

各楽器の演奏のきめがクリアに描写され、ディティールを味わう快感を堪能できる。グランドピアノの微細な音色表現を操る鍵盤のタッチ、スネアドラムのヘッドを巧みに震わせるワイヤーブラシのばち捌きなど、細かい表現までを明瞭度高く拾い上げる。

また、驚かされるのが、803D3を違和感なく鳴らし上げることだ。低域方向のグリップ力不足などを感じさせないことに感心させられた。その駆動からは総じて、増幅や回路構成の徹底したシンプル&ストレート化の恩恵が伺える。

800NEのコンビは爽快感に満ちた完成度の高いサウンドを聴かせる

DCD-800NEとPMA-800NE、両機を組み合わせて試聴すると、互いが持つ音の方向性がさらに伸張された、魅力的な音楽再生を堪能できる。どのようなソースを試聴しても生き生きとした爽快感に満ちており、音楽表現にポジティブな勢いが伴う。

「DCD-800NE」(写真上)と「PMA-800NE」(写真下)

ピアノトリオによる楽曲では、曲中後半での盛り上がりなど、微細な音量変化も逃さずに敏感に追従し、スピード感溢れる快活な演奏を楽しませてくれた。当然ながら両機の組み合わせはバランスが良く、こうしたスピード感や音色の豊かさなど互いの魅力を引き出すのに理想的な組み合わせだと感じさせる完成度の高さだ。

さらにここで、PMA-800NEのデジタル入力の実力もチェックする。敢えてDCD-800NEのデジタル出力をPMA-800NEのデジタル入力に接続し、アナログ出力した時との音の違いを比較してみた。

やはり、ディティール表現のシャープネスや低域描写力の深みは、DCD-800NEのDACを用いた場合に軍配が上がる。しかしながら、基本的な描写性能はしっかりと確保されていると共に、DCD-800NEよりも若干温かみのあるサウンドを楽しむことができる。テレビやBDレコーダー、そしてゲーム機などのソースを高音質で再生する用途として、必要十二分な性能を備えていると判断できた。

小型ブックシェルフのダリ「DALI Menuet」を組み合わせて聴く

最後に、スピーカーを「DALI Menuet」に接続してみる。するとどうだろう、これもまた理想的なマッチングを堪能することができた。つまり、800NE両機のエネルギッシュで溌剌としたサウンドに、ソフトドーム・トゥイーターを搭載するDALI Menuetならではの、柔らかみあるほんのりウェットな質感が融合し、豊穣な聴き心地がリザーブされるのだ。

「DALI Menuet」

バッフル面積が最小限の小型ブックシェルフならではの、キュッと引き締まった音像が眼前に展開され、リアリティ高い楽器のステージングを楽しめる。DALI Menuetと800NEの組み合わせは、絶妙なマッチングの好例であるといえるだろう。



DCD-800NEとPMA-800NEの両機は、想像を超える実力を聴かせてくれた。冒頭で述べたように、上位機種で掲げられている「ビビッド」(音の鮮度)と「スペーシャス」(空間再現性)をこの価格帯の機種で実現させたという同社の謳い文句に偽りはない。まさに、高い鮮度感と、立体的な空間再現が実現されている。上位NEシリーズのサウンド傾向を、価格を抑えて堪能したいユーザーにとって、うってつけの選択肢であると言える。

引き続き、次稿では、ネットワークプレーヤー「DNP-800NE」をレビューする。

(生形三郎)

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