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ハイファイ性能が向上、ハイレゾ再生に大きな威力を発揮

タンノイ「PRESTIGE GR」+スーパートゥイーターを、人気プリメイン3機種と組み合わせて聴く

公開日 2018/02/01 09:30 鈴木 裕
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Kensington/GRとの組み合わせ試聴
音楽的な満足度が高い「E-650」。「F-03A」では中域がぶ厚く濃密

さて、それぞれのアンプとの組み合わせの音をリポートしていこう。まずKensington/GRとアキュフェーズの音だが、基本的な音調としては低域に厚みがあり、温度感としてやや暖かくて濃密な世界を感じる。ただし、A級アンプのパブリックイメージとしてのまったり感ではなく、中高域のクリアで抜けのいい感じ。解放感と濃密さという相反した要素が両立している。音場空間としてはセンターの密度が高く、音像は大きめ。それを芳醇な音色感、厚みのある音で聴かせてくれるのだから音楽的な愉悦、満足度が高くなる。


カットオフは16kHzに設定にして試聴
ラックスマンとの組み合わせでは、まずその反応の良いオーディオ的な偏差値の高い音が印象的だ。ヴィンテージ感漂うKensingtonからこういう音が出てきてしまうのも痛快だが、全体的な音の情報量が多く、いい意味でスピーカーが鳴らし倒されている。ハイファイな方向にシフトすると言ってもいい。ただし、プレステージシリーズの魅力として、木製のエンクロージャー自体の響きが低音のコクとして付加される点が挙げられるが、その度合いが大きいのも興味深い。音場空間としては前後左右にバランス良く、天井方向の響きも良く飛んでいる。

エソテリックとの組み合わせでは中域がぶ厚く鳴り、A級アンプらしい濃密さが愉しい。ただしさすがに現代のアンプで、まったりとか、ぽったりしていない。静かな背景の中で造形力がとてもしっかりしており、音像の三次元的なボディ感が実に高い。駆動力としても単に振動板の動きをグリップしているだけでなく、エンクロージャーの響きをまとめるほどの駆動力を感じる。音色感は有機的なまとまりがあるが、コントラストやシャープさは弱冠強めだ。音の色彩感が深めなのも特徴と思う

Canterbury/GRとの組み合わせ試聴
L-509Xは鮮度高く瑞々しい音色、音色がリアルで情報量も多いF-03A

続いてCanterbury/GRと各々のアンプの組み合わせての音質。まずアキュフェーズで鳴らし出すと、ピラミッド型の安定した帯域バランスで、音楽を安心して楽しめる。音色にはこのメーカー特有の芳醇な感じがありつつ、味わい深さといった言葉が浮かんでくる。ただし、音像の彫りの深さや音を分解するといった力は強めだ。音場空間としては、センターの密度が高いもののナチュラルに展開する。特筆したいのはクラシックを聴いた時で、リズムがひと息つく時の間合いのようなものや、揺蕩うような感じが出てきて、クラシックとの相性の良さを伺わせた。

ラックスマンとの組み合わせでは鮮度感の高い瑞々しい音色感。帯域バランスとしては、音量を上げるほどにエンクロージャーが振動する割合が多くなり、より量感タイプの低音を持ったピラミッドバランスになる。中音量くらいまでのハイファイ性能は見事で、オーケストラでのコンサートホールや、ポップスでのライブハウスの臨場感も見事に描き出してくる。ただし、Canterburyの素性か、音楽をスムーズにまろやかに愉しませてくれるのがチャーミングなところだ。前後の立体感や、音のほぐれ方なども良かったのはスーパートゥイーターのおかげもある。


「PrestigeGR SuperTweeter」の背面部
エソテリックとの組み合わせでは、このアンプがマスター・サウンド・ワークス思想、つまりオリジナルマスターに捉えられた音楽情報を聴かせようとしていることを思い出させる。A級アンプらしい肌合いの良さを持ちつつも、音色感はリアルで、音場空間は広く情報量も多い。言ってみれば正確なデッサンにシックな色彩の油絵を描いたようで、その筆致に生々しさがある。ただし、おっとりとしたCanterburyの個性をうまく駆動/制動している感覚も実に頼もしく、これもまたチャーミングな音と納得させられた。

今回の試聴で分かったタンノイ+STの対応度と魅力

スーパートゥイーターと言うと、高域が多めになるものという悪いイメージがあるが、それは誤解である。良く出来た製品は、高音感を増やすことなく高域の再現性を高め、あまつさえ低域の質感や音像のまとまりまで良くしてしまう。結果として全体的な臨場感や演奏のリアリティを高めてくれる存在と思う。それは良く出来たサブウーファーにも言えることだろう。
Prestige GR SuperTweeterはさすがにその名前の通り、現代のGRシリーズの技術、つまりKingdom Royalで開発された技術を投入し、特に今回のようなプレステージGRエディションのスピーカーとの組み合わせは、ハイレゾソースを再生する際には最良のパフォーマンスを見せる。しかし、その音圧、クロスオーバー周波数の設定の多彩さを見ると、さまざまなスピーカーに使っても音の情報量や、音楽を聴く愉悦を高めてくれそうだ。今回試聴したスピーカー自体もスーパートゥイーターも、多くのオーディオ好き、音楽好きの方に体験していただきたい製品だ。

(鈴木 裕)

「Prestige GR SuperTweeter」を自宅で試せるキャンペーン実施中!


「Prestige GR SuperTweeter」を自宅で2週間試せるキャンペーン実施
エソテリックでは現在、TANNOYのスピーカーユーザーに向けたモニターキャンペーンを実施している。本キャンペーンでは、今回紹介したスーパートゥイーター「Prestige GR SuperTweeter」を自宅で2週間試聴することができる。募集台数は1名につき1セットで計20セット、応募期間は2018年3月31日まで。
応募対象はTANNOYのスピーカー「Kensington」「GRF90」「Canterbury」「WestminsterRoyal」を自宅で使用しているユーザー。なおエソテリックでは“その他機種をお持ちの方もお気軽にご相談ください”としている。申込みは特約店経由で行い、その際スピーカーモデル名/シリアルナンバーが必要となる。貸し出しスケジュールは申込み後、特約店経由で案内。返却後はアンケートへの回答を行うことで粗品がプレゼントされるとのこと。


本記事は季刊・Net Audio vol.29 SPRING号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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