最新DACアーキテクチャー搭載機で実現
DSDに対応したLINN「KLIMAX DS」を聴く。登場10年を経て進化を続けるネットワークプレーヤー
山之内 正
2017年12月20日
■10年目を迎えてなおメイン機種として活躍する「LINN DS」
ディスクプレーヤーを使い始めてから30年以上経つが、その間に継続して10年以上使い続けた製品は1台も存在しない。一方、ネットワークプレーヤーのKLIMAX DSは購入後ちょうど10年目を迎え、いまもメイン機種として活躍中だ。比較的短いサイクルで入れ替えるディスクプレーヤーとは対照的な長寿命で、筆者のリスニングルームにはDSが欠かせない存在になっている。
ディスクプレーヤーのような物理的トラブルがほとんどないことに加え、時間を経ても内容が古くならないことが寿命の長さの秘密だ。ディスクプレーヤーは新フォーマットが登場すると本体まるごと入れ替えなければならないが、ネットワークプレーヤーはファームウェアや一部パーツを更新することで多様なファイルに対応すると同時に音質改善も果たし、最新仕様に生まれ変わる。筆者が所有するKLIMAX DSも2016年秋に大幅なアップグレードを経て最新モデル(KLIMAX DS/3)と同等の内容に進化を遂げた。
■KLIMAX DS/DSMが待望のDSDネイティブ再生に対応
そのKLIMAX DSとKLIMAX DSMの最新モデルを対象にしたファームウェアが開発され、12月上旬に再び重要な更新が行われた。今回の更新の目玉は「DSD対応」。KLIMAX DSのユーザーにとってはまさに待望のアップグレードであり、ひと足早いクリスマスプレゼントになった。
対象となるKLIMAXシリーズは、最新の「KLIMAX DS/3」と「KLIMAX DSM/2」に加え、基板交換によってDACをKATALYST仕様にアップグレードした製品に限られる。KATALYSTはAK4497を採用したリンの最新DACアーキテクチャーだ。もちろんDACチップ自体がDSDのネイティブ再生をサポートしているが、それをDSのシステムのなかで実現するためには周辺回路のハードウェア変更やDSPで動作するアルゴリズムを変更する必要がある。その点を考慮すると、遅くともKATALYSTの導入前にDSDのサポートを視野に入れてハードウェア設計を変更し、それから約1年をかけてプログラムの最適化を行ったことが想像できる。
リンがこれまでDSDのサポートに消極的だったのは、伝送や信号処理をフルデジタル化したEXAKTシステムをPCMベースで構築し、その技術面および音質面での優位を確保することが最大の理由と思われる。
さらに、録音まで遡ってもDSDではなくPCMが優位とみなしていることは明らかだ。傘下のリンレコーズは早い時期からSACDをリリースしているが、大半のタイトルはPCM方式で録音しており、スタジオマスター音源のファイル形式もPCMに限定している。録音から再生まで一貫してPCMを採用することにより、変換プロセスを減らし、デジタル伝送とデジタル信号処理のメリットを最大限に引き出すことを狙っているのだ。
PCMにこだわる思想にはハイエンドオーディオメーカーとしての一貫性があり、十分な説得力があるが、その一方でユーザーからDSD対応を望む声が高まっていたこともリンは認識していた。特に北米とアジアの両市場でDSDへの支持が広がっているというのが同社の認識だが、それは筆者の実感とも一致している。
ディスクプレーヤーを使い始めてから30年以上経つが、その間に継続して10年以上使い続けた製品は1台も存在しない。一方、ネットワークプレーヤーのKLIMAX DSは購入後ちょうど10年目を迎え、いまもメイン機種として活躍中だ。比較的短いサイクルで入れ替えるディスクプレーヤーとは対照的な長寿命で、筆者のリスニングルームにはDSが欠かせない存在になっている。
ディスクプレーヤーのような物理的トラブルがほとんどないことに加え、時間を経ても内容が古くならないことが寿命の長さの秘密だ。ディスクプレーヤーは新フォーマットが登場すると本体まるごと入れ替えなければならないが、ネットワークプレーヤーはファームウェアや一部パーツを更新することで多様なファイルに対応すると同時に音質改善も果たし、最新仕様に生まれ変わる。筆者が所有するKLIMAX DSも2016年秋に大幅なアップグレードを経て最新モデル(KLIMAX DS/3)と同等の内容に進化を遂げた。
■KLIMAX DS/DSMが待望のDSDネイティブ再生に対応
そのKLIMAX DSとKLIMAX DSMの最新モデルを対象にしたファームウェアが開発され、12月上旬に再び重要な更新が行われた。今回の更新の目玉は「DSD対応」。KLIMAX DSのユーザーにとってはまさに待望のアップグレードであり、ひと足早いクリスマスプレゼントになった。
対象となるKLIMAXシリーズは、最新の「KLIMAX DS/3」と「KLIMAX DSM/2」に加え、基板交換によってDACをKATALYST仕様にアップグレードした製品に限られる。KATALYSTはAK4497を採用したリンの最新DACアーキテクチャーだ。もちろんDACチップ自体がDSDのネイティブ再生をサポートしているが、それをDSのシステムのなかで実現するためには周辺回路のハードウェア変更やDSPで動作するアルゴリズムを変更する必要がある。その点を考慮すると、遅くともKATALYSTの導入前にDSDのサポートを視野に入れてハードウェア設計を変更し、それから約1年をかけてプログラムの最適化を行ったことが想像できる。
リンがこれまでDSDのサポートに消極的だったのは、伝送や信号処理をフルデジタル化したEXAKTシステムをPCMベースで構築し、その技術面および音質面での優位を確保することが最大の理由と思われる。
さらに、録音まで遡ってもDSDではなくPCMが優位とみなしていることは明らかだ。傘下のリンレコーズは早い時期からSACDをリリースしているが、大半のタイトルはPCM方式で録音しており、スタジオマスター音源のファイル形式もPCMに限定している。録音から再生まで一貫してPCMを採用することにより、変換プロセスを減らし、デジタル伝送とデジタル信号処理のメリットを最大限に引き出すことを狙っているのだ。
PCMにこだわる思想にはハイエンドオーディオメーカーとしての一貫性があり、十分な説得力があるが、その一方でユーザーからDSD対応を望む声が高まっていたこともリンは認識していた。特に北米とアジアの両市場でDSDへの支持が広がっているというのが同社の認識だが、それは筆者の実感とも一致している。
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