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PCUHD導体採用のスピーカーケーブル

ゾノトーンの新フラグシップ「Shupreme X」ケーブルを評論家6人がレポート

公開日 2017/11/28 09:30 貝山知弘
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研ぎ澄まされた音質に進化した(福田雅光)

福田雅光氏

ゾノトーンの次世代最高級スピーカーケーブルである。同社はPCUHD導体を重視したハイブリッド構造が最近効果を上げているが、このモデルも聴いてみると、新世代の研ぎ澄まされた音質に進化していることが分かる。高速レスポンス、高SN比、強力に引き締まり、低音は分離よく立体感のあるコントラストで描かれる。

低音弦楽器の旋律も、克明に音の変化を表現する。全域で一貫したニュートラルで解像度の高い性能が特徴になり、混濁や弛みがなく、低歪みでヴォーカル帯域は透き通るようにピュアでクセが少ない。高音の濁りも少なく、繊細な解像力で倍音を表現するのが魅力である。

高額製品であるが、9.5スケアの極太導体のエネルギー伝送力を、これほどの解像力とSN比、レスポンスの高速な性能で洗練されたケーブルは少ない。性能は、端末処理に使われているロジウムメッキのYラグ、バナナプラグの品質も大きく関係している。




一層磨き上げ洗練された進化を表出(井上千岳)

井上千岳氏

ゾノトーンのケーブルは代を重ねるごとに確実に進化しているのが明らかだが、このモデルはPCOCCの生産終了に伴う変更によるという。確かに新素材PCUHDは優れた線材だが、それだけの違いとは思えない。音調全体が一層磨き上げられ、洗練されたものになっているからだ。

レンジが上下に伸び、レスポンスが均質に広がっている。そして質感の密度が高い。だから同じ厚手の音でも重苦しくなることがなく、出方や動きが常に軽快なのである。例えばピアノのタッチひとつ取ってみても、響きが透明で肉質感が曇らない。弦楽器は粘るようなキメ細かい艶がみずみずしく、そこに少しも無理がない。オーケストラやジャズの起伏の大きさも楽々として、歪みや刺々しさを感じないのがすなわち進化の表れである。

ここ1、2年の同社の特徴と言っていいが、設計にも精度にも円熟が感じられる。このモデルはその好例と言ってよさそうである。




音楽の核心に届く圧倒的プレゼンス(林 正儀)

林 正儀氏

トップエンドケーブルの世代交代は難しいものだが、この7NSP-Shupreme Xはゾノトーンのプライドにかけて、さらなる高みへ到達した製品だ。新素材PCUHDを投入しての絶妙なチューニングであるが、トータルバランスと完成度の高さ。そして何より音楽の核心に届くような、圧倒的なパフォーマンスに感服させられた。

聴けば、Shupreme Ver.2にしない理由が分かるはずだ。リアリズムを追求した圧倒的なプレゼンスと実在感たっぷりな表現性は正しく継承。そこにもう数ランク上の峻烈なキレとスピード能力が加わり、パースペクティブの効いた空間への浸透力など、新たなフラグシップにふさわしいモデルに仕上がっている。

スピーカーの駆動力が一気に高まり、覚醒して鍛え直されたような変化である。熱く、濃密なジャズピアノとベースプレイが印象に残る。交換式バナナプラグの採用も嬉しい、ハイエンドユーザー向けの逸品だ。




音楽に没頭できる高忠実度な表現(炭山アキラ)

炭山アキラ氏

第1世代の7NSP-Shupreme 1は、豪壮雄大なスケール感と、もはや「品が良い」などという言葉で言い表すことができない気品と典雅さ、そしてアタックのパワーや微小域の表現能力を高度に確保しながら極めて肌当たりが優しく、羽毛布団のような軽やかな柔らかさを持つ、非常に珍しい個性の高級ケーブルだったと記憶する。

このたび登場した7NSP-Shupreme Xは、前園 力代表によると、表現の継続性も考えて「そう大きくは変えていない」ということだが、じっくり聴いてみるといろいろな変化を感じ取ることができる。まず、前作ではやや緩めに躾けられていた観のある低域がいくらか引き締まり、帯域間の音色バランスが向上したように感じる。

音場空間に馥郁と漂う上質なワインを思わせる香気と、ビロードを彷彿させる渋い艶やかさ、音楽そのものへ没頭させてくれる高忠実度には、一段と磨きがかけられたように感じる。真に優れた装置と組み合わせたくなるケーブルだ。




位相の合った空間表現力の高さに感服(鈴木 裕)

鈴木 裕氏

最近珍しい“大蛇系”のスピーカーケーブルで、太さがあるだけに曲げにくい。導体構成は5種の異種・異径線材を独自の黄金比でハイブリッドさせたストランドで、5極の線材群を形成している。もちろん、それ以外にも中空のパイプとか絶縁体とかシールドなどいろいろ複雑かつ入念な構造なので、太くなってしまうのも仕方ない。

ゾノトーンのラボに伺った時に、開発途中のケーブルも多数置いてあって、もっと高域を、もっと味わいを、もっと位相を、みたいに、いろんな試行錯誤を積み重ねたようだ。そう、Shupremeシリーズの特徴として、空間表現力が高いことが挙げられる。よくこれだけいろいろと入っていて位相が合うものだとも思うが、餅は餅屋なのだろう。

そう言えば試聴テストのあとに、お楽しみとして聴かせてくれる6ウェイだか7ウェイのマルチアンプシステムの音も、今回はアキュレートにまとめてあって感動した。あの、オーディオへの飽くなき探究心が生み出したスピーカーケーブルなのだ。



なお、7NSP-Shupreme Xのスピーカー側バナナ端子部の交換用プラグを先端のみ、「LUG-S」シリーズとして販売。ゾノトーンオリジナルのユニバーサルタイプのスピーカーケーブル端子、LUG-5.5シリーズと共通で使える先端交換用のプラグとなる。

「LUG-S」シリーズ

LUGY-SRh」(ロジウムメッキ・Yラグ、先端のみ4本組、¥5,200・税別)
LUGB-SRh」(ロジウムメッキ・バナナプラグ、先端のみ4本組、¥5,200・税別)
LUGV-SRh」(ロジウムメッキ・ヴィンテージプラグ、先端のみ4本組、¥5,200・税別)
*24K純金メッキのバージョン(各形状いずれも先端のみ4本組、¥3,900・税別)も用意

「7NSP-Shupreme X」Specifications
●導体構成:超高純度7NクラスCu、高純度銅特殊合金、高純度無酸素銅PCUHD、純銀コートOFC、高純度無酸素銅 ●構造:全16芯の独立導体を+−各4芯ずつ分配、DMHC-Quadri方式、ポリエチレン中空パイプをコアとして周囲に配置するエアー制振構造 ●導体サイズ:シングル接続時→9.5スケア×2。バイワイヤリング接続時→高域側3.84スケア×2、低域側5.66スケア×2 ●絶縁体:高純度PE ●シールド:4芯各々にアルミラップシールド装備 ●介在:中空PEパイプ×5によるエアー絶縁 ●外径:26mmφ※標準完成品はシングル仕様(アンプ側Yラグ、スピーカー側バナナプラグ)。※バイワイヤリング仕様は特注対応 ※標準完成品(2.0m)以外の長さは1.0mより0.5m間隔にて特注対応

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