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<連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト>

全録レコーダー 2017年最新モデル対決! 東芝「DBR-M3007」vs パナソニック「DMR-UBX7030」

2017/07/25 折原一也
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M3007は7倍相当までの5段階、UBX7030は1.5倍から15倍まで全21段階から選べるので、M3007は選択肢が少なく、高画質モード寄りに偏っているとも言える。

さて、それでは同一モード同時で録画した場合の画質はどうなるのだろうか。今回は実際に利用機会の多くなりそうな「AVC低画質」(東芝M3007)と「6倍録画」(パナソニックUBX7030)で同一シーンを比較してみた。それが次の画像だ。

東芝M3007(左)とパナソニックUBX7030(右)の画質比較

画面全体の精細感でみるとパナソニックのUBX7030の方が上手で、特に衣服のディテールが残る。東芝のM3007はノイズ感を抑える方向で、テロップの文字等はクリアだった。


■2017年モデルの注目点は“再生画面の進化”

2017年の全録は2015年から何が進化しているのか、その最大のポイントが、両社とも改善に取り組んでいる「全録した番組の探しやすさ・視聴しやすさ」だ。

まず、東芝のM3007にはリモコンから一発で呼び出せる「時短で見る」画面が追加された。東芝が通常タイプのレコーダーでアピールしている“時短”機能である「らく見」(=スキップ再生)「らく早見」(=スキップ+早見再生)「飛ばし見」(5分ダイジェスト)が全録モデルにも入った形だ。「らく見」はスキップ再生として誰でも役に立つものだし、「飛ばし見」もスポーツ等では特に有効だ。

東芝の新たな再生画面である「時短で見る」

「らく見」では本編以外の箇所をスキップして再生

実はこの「時短で見る」画面は、本来の目的である早見以外でも役に立つ。全録用HDD内にある番組を、ジャンル、オススメを切り替えて探せるため、録画番組を探す目的でも実用的に使えるのだ。「お好み設定」としてキーワードも登録できるところなどは、昔の東芝レコーダーの番組検索を彷彿とさせる。通常録画側で使える「お好み録画」との一体化も実にシステマティックだ。

ジャンル別の絞り込み表示に対応

表示条件は「おすすめ」やキーワードまで可能

なお2015年モデルにあった、録画の関連番組を探す「ざんまいプレイ」画面は廃止され、「あなたにオススメ」「いつもの」といった機能へ統合されたようだ。

パナソニックのUBX7030は、メニュー画面のトップにあらわれる「新着番組」の画面に、「録画数ランキング」「再生数ランキング」「あなたへのおすすめ」、そして各種ジャンルといった条件がズラリと並ぶ。

パナソニックUBX7030の「新着番組」

そして「ドラマとりおき」の画面では、番組名がそのままフォルダのようになってドラマ番組ごとに各放送回がまとめられ、過去の放送も振り返りやすい仕組みとなっている。

ドラマのみ「ドラマとりおき」として番組名でフォルダを作成

自分の探していた番組には「ジャンル」「キーワード」を登録して深掘りもできる。初心者でもとっつきやすい一方で、上級者が思う存分使いこなす間口も用意されているというわけだ。

ジャンル別、条件別にも番組を探しやすい

またUBX7030は再生時にはインターネットを介した番組情報サービス「ミモーラ」と連動した番組シーン情報も継承しているし、全録の番組にも自動チャプターが付くので再生時もスキップ操作がしやすい。こうした小回りの効き具合はさすがだ。

過去番組表”で録画番組を探しやすいのは?

全録の顔とも呼べるUIと言えば「過去番組表」。全録してある過去番組を、通常の番組表(EPG)と同じ感覚で選べる機能だ。

先に述べた通り東芝、パナソニックともに、いかにこの画面を使わず番組を探せるかということにこだわりを見せているが、その一方で同時に、過去番組表の操作性改善も進められている。

まず、東芝のM3007は新たに「ビジュアル過去番組表」となり、番組表一覧に番組内容のサムネイルまで表示するリッチな仕様となった。

東芝M3007の「ビジュアル過去番組表」

ただ、NHKに合わせて一週間分のスクロールのレスポンスをテストしたみたところ、途中でスクロールが何度か引っかかってしまい、最後までスクロールするのに約2分30秒と表示速度は重く、数日レベルの番組探しにもひと苦労だった。もし過去番組表を積極的に使うのであれば、「ビジュアル過去番組表」はオフにしてしまった方が良いだろう。

なお、M3007は東芝“レグザサーバー”ファミリーの機能として「タイムシフトリンク」機能も搭載。旧機種を持っていて本機を買い増したような場合、同一ネットワーク上に設置すれば2機種分の全録をまとめて一画面で表示できる。

M3007はチューナー数的に、どうしても地デジ専用機になりがちなので、この機能を利用して旧機種をBS/CSの全録用に割り振ると合理的。東芝製のレコーダーを買った人は次も東芝機を選びたくなるという上手い仕掛けだ。

パナソニックUBX7030の過去番組表画面である「チャンネル録画」は、良い意味で大きな変更はない。1週間分のスクロール速度も1分14秒で、2年前の測定と比べても誤差レベルの違いだ。

パナソニックの「チャンネル録画」の画面

UBX7030の使いこなしのポイントは「モーションリモコン」利用を心がけることだ。「チャンネル録画」の画面で、背面ボタンを押してポインタ操作することで、日/時間帯をショートカットできる。

パナソニック「モーションリモコン」によるショートカット

そのほか観たい番組が決まっているなら、東芝、パナソニック両機とも番組名をリモコンに向かって話しかけるだけでダイレクトにジャンプできる。

音声検索では番組名による一発検索も可能

■番組を消去せず残しておくためにどうしたらいい?

ところで、全録した番組を上書き消去されないよう残しておくにはどうすればいいのか。そこにも簡単に触れておこう。

まず番組の保存は、全録用のHDD領域から通常録画用のHDDへのダビングがメイン。全録とは別に通常録画領域で録画しておく(※通常録画は上書き消去されないため)方法もあるが、今は両機種とも合理化が進められている。

東芝のM3007では「過去番組表」「時短で見る」の画面から「保存する」を選ぶことで上書き消去を回避できる。その都度保存先を選ぶマニュアル志向だが、保存先にHDDだけでなくディスクも選択できるのがポイント。「周期保存」を登録すれば繰り返し登録も可能だ。

東芝M3007による「周期保存」

単体の保存は保存先も選択できる

ただし実際に実行してみると、保存の実行には1時間で約30分かかった。これは保存時に自動チャプターを設定しているためだろう。

パナソニックのUBX7030は「ワンタッチ保存」という画面があり、ボタンを押してすぐにバックグラウンドで実行でき約3分で完了。毎回保存にも「保存予約」という機能が付いたため、ドラマなどをアーカイブしたい際には有効だ。もちろん「ドラマおとりおき」の画面からも保存は実行できる。

パナソニックUBX7030も「保存予約」で繰り返しも自動保存

単体の番組保存は録画ボタンのワンタッチだ

最後にスマホ視聴の機能も簡単に比較しておこう。東芝はデジオンによる「DiXIM Player」アプリ(1,300円)を使うことで、全録での録画番組含めてスマホ視聴可能。その際は最低約600kbpsから対応できる。

東芝はデジオンの「DiXIM Player」のアプリで視聴

パナソニックは純正アプリ「media access」(無料)で、こちらも全録含めて全番組の再生に対応。スマホ視聴は最低約150kbpsと、低ビットレートでの視聴ができる。

パナソニックの純正アプリ「media access」

■テレビ好き日本人の趣味趣向に密着した作り込みが問われる時代に

以上、2年ぶりの全録レコーダー対決となったが、今年特に実感したのは「脱・全録レコーダー風」が進められたことだ。

全録は録画熱心なマニア向けというより、むしろバラエティやスポーツ、歌番組などを満遍なく観るテレビフリーク向けのものであるというのが筆者の持論なのだが、最新モデルでは、その方向により進化した印象だ。

一方で、パナソニックのUBX7030はレコーダー購買層にドラマ好きが多いことをふまえて、「ドラマおとりおき」を付け、ドラマファン向きの施策にも抜かりはない。しかも、UltraHD Blu-ray再生対応機でもあるのだ。

これらのレコーダーは需要のほとんどが国内市場。全録レコーダーも高機能化は一段落し、どれだけ日本のテレビ好きの趣味趣向に密着した作り込みができるかが問われている。

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