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オープンBAドライバーを搭載

Unique Melody「MASON IIカスタム」を聴く ー 卓越した表現力を備えた12ドライバーモデル

2017/07/20 編集部:小澤貴信
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Unique MelodyのカスタムIEM「MAVERICK」を、音質チェック用の主なリファレンスのひとつとして使っていることは以前の記事で紹介した(関連ニュース)。モニター的な解像力と自然な音場表現を併せ持ちつつ、音楽を活き活きと聴かせる低域も備えたこのイヤホンは、その鳴らしやすさもあって、仕事からプライベートにまで広く活躍してくれている。

Unique Melody「MASON II」カスタムモデル

昨年の年末頃だったろうか、まだ開発途中だった12ドライバーイヤホン「MASON II」試作モデルの音を聴く機会があった。印象を聞かれた私は「なんだか、ハイエンドなオーディオみたいな音がしますね」と表現力に乏しい感想を漏らしてしまったことを記憶している。ある種の高価な機器でしか聴けない、艶や色彩感のようなものをMASON IIに感じたのだ。

それから数ヶ月後、実際に手元に届いたMASON IIのカスタムモデル(以下、MASON IIカスタムと記す)をじっくりと聴き込むにつれて、この第一印象が、語彙力には乏しいにしろ、それほど間違っていなかったと感じるに至った。

Astell&Kern「AK380」との組み合わせた印象を元に、ほぼレビューを書き上げていたのだが、5月にミュンヘンの「HIGH END 2017」の取材に行った際、その時が世界初披露だった「A&Ultima SP1000」と組み合わせて、MASON IIの印象がまた更新された。それまでのレビューは一端破棄して、A&Ultima SP1000と組み合わせてMASON IIを聴き込み、改めてレビューを書き直すに至った。

オープン型BAドライバーを含む12ドライバーを搭載

まずはUnique Melodyというブランド、およびMASON IIカスタムというイヤホンについておさらいしておこう。

Unique Melodyは、中国・広東省南部の珠海(ズーハイ)市に開発・生産の拠点を置くイヤホンブランド。補聴器メーカー出身の創業者と、カスタムIEM愛好家であったサウンドエンジニアが創立した。詳しいブランドのプロフィールについては、以前のレポート記事で詳しく紹介しているので、ご参照いただければと思う。

名前が示すような“ユニーク”なドライバー構成と確かな技術力で、中国国内で確固たるポジションを確立していた同社。日本でその名を知られるようになったのは、輸入元であるミックスウェーブが、音質チューニングはもちろん、企画段階から積極的なアドバイスを行うなど共同開発したモデルが日本に導入されたのがきっかけだ。

これらモデルは“ユニーク”という言葉を飛び越えた高い評価を得て、現在のように日本でも確かな地位を確立するに至っている。Unique Melodyの高い技術力をベースに、ミックスウェーブが日本のユーザーの嗜好やトレンドを的確に読み取り音質チューニングをサポートしたことが、多くの支持を得た理由だろう。

今回紹介するMASON IIは、Unique Melodyとミックスウェーブによる共同開発によって誕生した最初のイヤホンのひとつ「MASON」の後継モデルである。

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